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2006年11月23日

キー・ラーゴ 1948年/アメリカ【DVD#135】

key-largo.jpg
 ”KEY LARGO ”

 監督:ジョン・ヒューストン
 製作:ジェリー・ウォルド
 原作:マックスウェル・アンダーソン
 脚本:リチャード・ブルックス/ジョン・ヒューストン
 撮影:カール・フロイント
 音楽:マックス・スタイナー
 出演:ハンフリー・ボガート/ローレン・バコール
    クレア・トレヴァー/エドワード・G・ロビンソン
    ライオネル・バリモア/モンテ・ブルー
    トーマス・ゴメス/ハリー・ルイス
    ジョン・ロドニー/マーク・ローレンス


詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ちょいとネタバレ

舞台はフロリダ、キー・ラーゴのホテル。一夜のハリケーンに閉じ込められた悪党とヒーロー。悪党はやりたい放題。ヒーローは我慢に我慢。やりたい放題と我慢の振幅がだんだん大きくなって限界点を迎えたところでヒーローの大逆転。

そういうことですねぇ。悪党のボスジョニー・ロッコにエドワード・G・ロビンソン、ロッコの情婦クレア・トレバー。ホテル・ラーゴの主人ライオネル・バリモア、その娘ローレン・バコール、そしてバコールの戦死した夫の戦友でロッコと対決するヒーロー、フランク・マクラウドにハンフリー・ボガート。

人物に迫力があります。主役クラスの5人はもちろん、ロッコの手下たちも含めて画面映りに味があるというかくせのある俳優がそろっていますね。その上、冒頭のバスの中のボギーの横顔から始まって、ボート小屋に向かって歩くボギーとバコールのツーショットや、ロビンソンの登場場面などクローズアップや鏡に映る人物像をうまくつかって非常に”人”のインパクトを出すような撮り方をしています。

犯罪映画では悪役が重要ですが、名優エドワード・G・ロビンソンの悪役ぶりはすばらしく、ふてぶてしさ憎々しさは秀逸。彼の悪意は直接ボガートではなくホテルの主人親子と情婦に向けられていて、バコールなども散々いたぶられます(あの野村のささやき戦術みたいなのはなにを言ってたんだろう・・・?)。ホテルの主人バリモアは車椅子に乗っているため、いくらロビンソンにやられても反撃することが出来ません。バリモアの悔しそうな言動がまた悪党ロビンソンを引き立てます。

観客としては「おいおい、何とかしてやれよ、ボギー!」ということで、ヒーロー・マクラウドの反撃への期待が盛り上がっていきます。この辺の期待感の盛り上げには、落ちぶれた歌手でアル中の情婦ゲイも一役買っており、酒欲しさにみんなの前で衰えた歌を歌わされるシーンは痛々しく、ロッコへの怒りの指数がさらにアップ。ゲイを演じたクレア・トレバーはアカデミー助演女優賞を獲得しました。

ロッコへの怒りを盛り上げ反撃の期待感をあおる部分は状況設定、ストーリー、人物描写ともに文句なし。意外なほどにハリケーンにうろたえるロッコやあまりゴタゴタに関わりたくない風情のマクラウドの描き方も良かった。しかし、個人的にはクライマックスのボギーの反撃シーンにもう少し迫力とギリギリ感が欲しかったかなと感じます。船室へのドアをはさんでお互いに姿の見えないロッコとマクラウドの対峙などサスペンスを盛り上げる工夫はありますが。

ボギーとベティ(ローレン・バコール)、やっぱり絵になりますね。顔が似てるかも・笑★★★☆☆

キー・ラーゴキー・ラーゴ
ジョン・ヒューストン リチャード・ブルックス ハンフリー・ボガート

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2006年11月17日

大脱走 1963年/アメリカ【DVD#134】

great escape.jpg
”THE GREAT ESCAPE”

監督:ジョン・スタージェス
製作:ジョン・スタージェス
原作:ポール・ブリックヒル
脚本:ジェームズ・クラヴェル/W・R・バーネット
撮影:ダニエル・ファップ
編集:フェリス・ウェブスター
音楽:エルマー・バーンスタイン    
出演:スティーヴ・マックィーン/ジェームズ・ガーナー
    リチャード・アッテンボロー/ジェームズ・コバーン
    チャールズ・ブロンソン/デヴィッド・マッカラム
    ハンネス・メッセマー/ドナルド・プレザンス
    トム・アダムス/ジェームズ・ドナルド
    ジョン・レイトン/ゴードン・ジャクソン
    ナイジェル・ストック/アンガス・レニー
    ロバート・グラフ/ジャド・テイラー

詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレですよ

もう、『大脱走』については、いまさら何にも言うことはないでしょうねぇ。★★★★★
でも、ちょっとだけいいですか・笑

エルマー・バーンスタインのテーマ曲が響いてくるだけで大興奮でしょう。脱出不可能なドイツ軍の刑務所から、なんと250人を同時脱出させようという大プロジェクト。

こういう映画は、前半で着々と準備が行われて後半で目的達成に向けて一気に集中というのがパターンですね。同じくスタージェス監督の『荒野の七人』でもそうでしたが、前半の準備段階が意外と面白い。というか、前半の準備プロセスが丹念に練りこまれているほど、後半のアクションが生きてくるということになります。クルーゾー監督の『恐怖の報酬』などもちょっと違いますが同じようなタイプと言って良いかもしれませんね。

さて、『大脱走』の前半部分は、丹念どころではありません。映画が始まってからトンネルを抜けて脱走するシーンまでなんと1時間50分以上。映画一本分の時間をかけて脱走準備を描きこみます。

トンネルキング、偽造屋、調達屋などその道のプロフェッショナルの活躍や、一糸乱れぬ連携プレーで敵の目を欺く工夫がサスペンスを引き出し、そこにマックィーン扮する脱走常習犯ヒルツのヒーロー的キャラクタが加わり、前半だけでも十分そこらの映画をしのぐ面白さを味わうことができます。

しかし、この”大脱走計画”は”大失敗”ですから後半は大変ですね。本来前半で準備に準備を重ねたプロジェクトが成功に向かって走り出すところ、この映画の場合はトンネルが短かった時点ですでに失敗決定。あとは、敗戦処理です。なので、あっちでもこっちでも志半ばで倒れていく仲間達の姿を目撃することになります。

そもそも、捕虜が脱走するのは敵軍の後方かく乱というひとつの任務ということからすると、多くの仲間達が命を賭けてその使命を果たしたということにはなります。最後に司令官が”この脱走に価値はあったか”と聞かれて、”考え方次第だ”と答えるのがむなしくて悲しい。

しかし、捕らえられ戻ってきたヒルツ(マックイーン)がわずかな会話で仲間の死を悟った後、独房で壁相手にキャッチボールをはじめるラストシーン。むなしさを乗り越えてすでに次への挑戦の意志を固めている、不屈の闘志を余韻とした幕切れはさすが名作。見事なラストシーンを見せてくれました。やっぱり何回観ても素晴らしい名作であります。

大脱走
大脱走ポール・ブリックヒル ジョン・スタージェス スティーブ・マックイーン

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2006年11月14日

昼下りの情事 1957年/アメリカ【DVD#133】

loveintheafternoon.JPG
”LOVE IN THE AFTERNOON”


監督:ビリー・ワイルダー
製作:ビリー・ワイルダー
原作:クロード・アネ
脚本:ビリー・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド
撮影:ウィリアム・C・メラー
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:オードリー・ヘプバーン
    ゲイリー・クーパー
    モーリス・シュヴァリエ
    ジョン・マッギーヴァー
    ヴァン・ドード



詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ちょいとネタバレ

前回の『イヴの総て』その前の『サンセット大通り』と、いろんな意味でスーパーヘビー級の作品が続いていましたが、今回はビリー・ワイルダーの傑作ラブコメディ『昼下りの情事』を鑑賞しました。ほっと一息という感じでしょうか・笑

ストーリーの面白さは相変わらず抜群のワイルダー作品、今回は大富豪であり百戦錬磨のプレイボーイ・フランク・フラナガン(ゲイリー・クーパー)とパリに住む初心な音楽学生アリアーヌ(オードリー・ヘップバーン)の恋の物語。このカップルは父親と娘以上に年が離れていますが、そんな違和感は全く感じさせないほど軽やかにに二人のやり取りは進んでいきます。

”愛して逃げる(Love and Run)”がモットーだというフラナガンは絶対恋に深入りしない自信があります。恋愛経験のないアリアーヌは、フラナガンの気を惹きたくて、名前も住んでいるところも彼に明かさず、恋多き女のように見せかけ、フラナガンに会うのも夕方の一時だけ。彼女の焦らし作戦はまんまと成功しフラナガンはだんだん彼女のことが頭から離れなくなっていきます。

いくつになっても恋愛とはこういうものなのでしょうね。追われると逃げたくなる。じらされると追いたくなる。天下の大富豪と少女のそういう心模様の変化をいかに映像化するかというのが監督の腕の見せ所。そういう意味で特に目を惹くのが室内楽団の四人ですねぇ。

フラナガンがパリに来たときにいつも連れている楽団は、フラナガンがリッツホテルのスィートルームで女性たちと過ごすときに部屋で”魅惑のワルツ”をはじめとする優雅な音楽を奏でます。フラナガンと女性がいよいよということになると、彼らは役目を終えていそいそと帰っていくのですが、つまりはフラナガンの恋のプロセスに応じてプロフェッショナルに役割を果たしているわけです。特にセリフがあるわけでも芝居をするわけでもありません。

そういう彼らの演奏は、フラナガンの気持ちの変化に応じて曲調が変わったり、掛け声に元気があったりなかったり。また、フラナガンの心持が平静でなくなるといつものプロセスから外れて酒を飲んだりします(ワゴンに乗せた酒をフラナガンとやり取りする場面は傑作)。室内楽団の様子で観客は目と耳からフラナガンの気持ちの変化を受け取れるわけで、映画作りとして面白いなぁと感心することしきりです。

ところで、このブログのご紹介作品はどれも名作ぞろいですので、おすすめ度を5段階でつけても、みんな4つ星5つ星になってしまいます(甘すぎなんですけどね)。それでも最近一応5つをつけるのは特に感動したものだけにしようとしています。4つでも傑作レベルですが5つはそれに加えてかーっとくるような感動があったものだけ。

正直なところ、この作品はラストシーンまで星4つだなと思っていたのですが、最後の駅のシーンでやられましたね。アリアーヌの強がりはもうすべてフラナガンにお見通しになっています。そのことを観客もすでに知っているわけですが、それでも彼女が涙をこらえて強がり続ける姿はなんと言えばいいのでしょう。実はオードリー・ヘップバーンにはあまり入れ込んでいないのですが、このシーンをあれだけ演じきることができるオードリーはやはり素晴らしい女優なんでしょうねぇ。全く素晴らしい!。感動しました。気の利いた表現方法が思い浮かばないのでせめてしつこく書いておきますが、すごい。

チェロの大きなケースを抱えて娘を見送る父親ジャヴィス(モーリス・シュヴァリエ)の笑顔も絶品。エンディングは今までこのブログで紹介した作品の中でもかなり上位に入りますね。

ますます、ビリー・ワイルダーの作品に魅了されてきました。『アパートの鍵貸します』もうちにあるんですよねぇ^^

★★★★★

昼下りの情事 (ニューマスター仕様)
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2006年11月12日

イヴの総て 1950年/アメリカ【DVD#132】

allabouteve.gif
”ALL ABOUT EVE”

監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
製作:ダリル・F・ザナック
脚本:ジョセフ・L・マンキウィッツ
撮影:ミルトン・クラスナー
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:ベティ・デイヴィス/アン・バクスター
   ジョージ・サンダース/ゲイリー・メリル
   マリリン・モンロー/ヒュー・マーロウ
   グレゴリー・ラトフ/ランディ・スチュアート
   セレステ・ホルム/セルマ・リッター
   バーバラ・ベイツ/クレイグ・ヒル


詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレですよ

前回感想をアップした『サンセット大通り』と同じ1950年の作品。アカデミー賞延べ14部門にノミネートされ、作品賞・監督賞・助演男優賞(ジョージ・サンダース)・脚色賞など6部門受賞。ちなみに『サンセット大通り』は12部門にノミネートされて、脚本賞など4部門受賞ですね。しかし、意外にも主演女優賞/男優賞はどちらの作品も獲得できなかったようです。本作で激突したベティ・デイヴィスとアン・バクスターはともに主演女優賞にノミネートされていました。

一番印象的だったのは、俳優、特に女優陣の演技合戦ですね。新進女優イブ・ハリントンを演じるアン・バクスターはクールな表情を大きく変えることなく従順さや、計算高さ、傲慢さなど全く違う感情を見せるところは素晴らしい。アン・バクスターがこの役に向かう意気込みがうかがえます。

映画を見て俳優の演技が良いと思うときには、当然シナリオや演出や撮影の巧さも大きく影響しているのですが、やはり演じる本人の”気合い”が伝わってこないと感動できません。その気合がビンビンと伝わってくる名演技です。

一方のベティ・デイヴィスもさすが。女優として成り上がるという野望を秘めて、冷静に着実に計算づくで手を打ってくるイヴに対して、彼女の演じるマーゴは自分勝手で感情的ですが”女の勘”でイブの本性を感じ取ります。女優としての危機を感じて平静を失うマーゴが恋人のビルと喧嘩別れする場面は、大女優ベティ・デイヴィスの実力発揮の名シーンですね。

マーゴは最終的にビルの愛を得て立ち直りますが、イブとマーゴの二人の在りようはそれぞれ女性の特質を極端に示した姿ですね。それに比べて、男たちは単純というかなんというか。人を見下す態度が天下一品のジョージ・サンダース演じる評論家アディスンのような悪魔的なワルはいるとしても、それ以外は実に他愛ないもんです。

気合十分の俳優の名演技を、画面の真ん中に人物をすえて小細工なしでぶつけてくる横綱相撲の名作でした。

★★★★☆


イヴの総て
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2006年11月05日

サンセット大通り 1950年/アメリカ【DVD#131】

sunset.jpeg
”SUNSET BOULEVARD”

監督:ビリー・ワイルダー
製作:チャールズ・ブラケット
脚本:ビリー・ワイルダー/チャールズ・ブラケット/D・M・マーシュマン・Jr
撮影:ジョン・サイツ
特殊効果:ゴードン・ジェニングス
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:グロリア・スワンソン/ウィリアム・ホールデン
   エリッヒ・フォン・シュトロハイム/ナンシー・オルソン
   フレッド・クラーク/ジャック・ウェッブ
   ヘッダ・ホッパー/バスター・キートン
   セシル・B・デミル

詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレしてます

最初からショッキングなシーンで始まりますねぇ。死んだ男のナレーションでストーリーが語られるというのも面白い。ラストに向けての狂気の盛り上がりもさすが。シナリオの面白さは天下一品であります。

売れない脚本家ギリス(ウィリアム・ホールデン)が、借金取りに追われて逃げ込んだ大豪邸に暮らしているのは、サイレント時代の大女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンスン)と執事マックス(フリッツ・フォン・シュトロハイム)。ノーマは、すでに世間から忘れ去られた存在ですが、今だに自分はスターだと信じ込んでいます。彼女のために復帰作のシナリオを書きはじめることになったギリス。ノーマは半ば無理やりギリスを邸宅に住まわせて仕事をさせます。徐々に彼女はギリスを愛しはじめ、仕事だけではなくギリスの私生活にまで干渉をはじめ、二人の関係は悲劇に向かいます。

売れなくなった大女優の妄想というと、ベティ・デイビスの怪演がすさまじかった『何がジェーンに起こったか?』を思い出しますが、本作のグロリア・スワンスンも負けていませんね。スワンスン自身トーキー化の波にうまく乗り切れなかったらしく16年ぶりの映画出演。実像と役柄がオーバーラップするため、ノーマがチャップリンの真似などをする場面などおかしいけど笑えない。リアリティというんですかね、観るのがつらい。

他にも、彼女のカード仲間がみんなサイレンと時代の老俳優たちだったり(バスター・キートンが出てますよ)、ノーマとギリスがホームシアターで観る映画が、グロリア・スワンスン全盛のころの映画『Queen Kelly』だったり(監督は共演のシュトロハイム!)。ワイルダー監督は、ちょっと残酷なほどに”過去の栄光”を盛り込んでいきます。

妄想に取り付かれた人間が破滅を迎える物語では、主人公がはっきりと狂気に陥る瞬間の描写に興味があります。『何がジェーンに起こったか?』では、ピアノマンを雇って少女時代の大ヒット曲を歌い踊る醜くすぎるジェーンの姿が、完全な狂気を見せた瞬間でした。恍惚とした彼女の表情と、ピアノマンの狂人を見る冷たい目のコントラストが本当に怖かったですよ。まだ観ていない人はぜひ一度。去年公開された『蝋人形の館』にもこのシーンが登場したらしいので、それで見た方もいらっしゃると思いますが。

本作の場合、ノーマが完全に狂気を見せるのは映画もほとんどラスト近くですかね。取り囲む警察にも気づかず映画出演のためのメークに執着する姿が痛々しい。もっと早い段階かなと思っていたのですが、ノーマに仕えるマックスの献身的奉仕のため、彼女が完全に狂ってしまっているのか、単に思い込みとプライドが激しいだけなのかわからないんですよね。何回か見直せば、「ああここだな」というポイントが見つけられるかもしれませんが。

すでに狂ってしまっている彼女にマックスが一縷の望みを与えてしまうため、ノーマは完全な狂気に逃げ込むこともできず、中途半端に狂気と正気の間を漂っているのかもしれません。そう考えるとマックスのノーマに対する愛情こそが最も残酷。ノーマの狂気とマックスの狂気とが悲しく交差して、『何がジェーンに起こったか?』よりも複雑な悲劇を描き出しています。シュトロハイムの演技に脱帽。

★★★★★

サンセット大通り(1950) - goo 映画
サンセット大通り@映画生活


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2006年10月31日

情婦 1957年/アメリカ【DVD#130】

Witness-for-the-Prosecution.jpeg
”WITNESS FOR THE PROSECUTION”

監督:ビリー・ワイルダー
製作:アーサー・ホーンブロウ・Jr
原作:アガサ・クリスティ
脚本:ビリー・ワイルダー/ハリー・カーニッツ
撮影:ラッセル・ハーラン
音楽:マティ・マルネック/ラルフ・アーサー・ロバーツ
出演:タイロン・パワー
   マレーネ・ディートリッヒ
   チャールズ・ロートン
   エルザ・ランチェスター
   トリン・サッチャー


詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


『必死の逃亡者』のコメントでマレーネ・ディートリヒのことを少し書いたら無性に彼女を見たくなったので、未見のままおいてあった『情婦』のDVDを鑑賞しました。

1957年というと、ディートリヒはなんと56歳。もうじき還暦ですよ。共演のチャールズ・ロートンとは二歳しか違いませんから。孫もいたんじゃなかったかな。それでこの魅力ですから。すごいですねぇ。酒場の舞台でアコーディオンを弾きながら歌うシーンがありますが、やっぱり彼女の歌は良いです。ちょっと低めの歌声でね、たまりません。黒のパンツ姿ですが、酔った兵士にパンツのすそを破られて左足だけ披露してくれます。いやー、素晴らしい。

今回のディートリッヒの役回りは、殺人容疑で裁判にかけられるボール(タイロン・パワー)の妻クリスチーネ。イギリス軍に所属していたボールが占領下のドイツに駐留していたときに知り合い結婚。しかし、その結婚には裏があります。ボールのアリバイを唯一証言できる立場の彼女が検察側証人に立ちますが、その証言内容は意外なもので・・・。

マレーネ・ディートリッヒの魅力は一見冷たいほど無表情に見える中に、実は女性らしい感情が渦巻いていて、ある瞬間にそれがほとばしりでる。そのギャップにあると思います。前回の『必死の逃亡者』のコメントで、「ハッとさせるシーンを見せてくれる女優が好き」というようなことを書きましたが、この作品にもありましたよ。ボールの評決が出るのを証人控え室のガラス戸のところで見ているディートリッヒの心配そうな姿ですね。実に女らしいでしょう。証言台に立っていたときの氷の女王のような風情とは対照的です。こういうところにぐっと来ますねぇ。

エンディングに、「このストーリーの結末を誰にも話さないで下さい」とありました。『悪魔のような女』でも出てましたね。わざわざ断り書きを出すだけあって、ストーリーはラストに向けて二転三転。『悪魔のような女』みたいなショッキングなサプライズはありませんが非常に良く出来たストーリーです。話すなといわれている限り書けませんが、これは間違いなく面白い。

ビリー・ワイルダーは自ら脚本も書いていますが、脚本を厳選する監督ということで有名なんですってね。今回のシナリオはストーリーとしての出来のよさに加えて、会話のテンポがすこぶる良い。特に、はじめのウィルフリッド卿の事務所でボールから一通り老婦人殺害事件の話を聞くシーンの三人のやり取りが非常に軽快でずいぶん楽しめました。事件の話をしながらも、一歩部屋を出ると看護婦がいろいろと口を挟んだり、看護婦の目を掠めて葉巻が欲しいチャールズ・ロートンの悪戦苦闘があったり、いろんな小細工を含めて見かけ以上に複雑なシナリオだと思うのですが、抜群のパス回しを見ているようで気持ちが良いですねぇ。おまけにチャールズ・ロートンは顔にあんなに肉がついているのに、細かい目線とか表情の変化ですごくよい演技をしますよね。彼も好きな俳優の一人です。

絶妙のストーリーテラーと名優の共演で実に楽しい作品でした。★★★★☆

情婦(1957) - goo 映画
情婦@映画生活


情婦
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2006年10月27日

必死の逃亡者 1955年/アメリカ【DVD#129】

the desperate hours.jpg
”THE DESPERATE HOURS”

監督/製作:ウィリアム・ワイラー
原作/脚本:ジョゼフ・ヘイズ
撮影:リー・ガームス
音楽:ゲイル・クビク
出演:フレデリック・マーチ/ハンフリー・ボガート
   マーサ・スコット/メアリー・マーフィ
   デューイ・マーティン/アーサー・ケネディ
   ロバート・ミドルトン/ギグ・ヤング
   ビヴァリー・ガーランド

詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
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悪役。ですねぇ。今回のボギーは堂々たる悪役です。沈着冷静な脱獄囚グリフィン。弟のハルと巨漢コルビッシュを従えてヒリアード(フレデリック・マーチ)邸に押し入ります。決して過剰な演技をするわけでも表情豊かなわけでもないのに、徐々に追い詰められていく様の演技はひきつけられるものがありますねぇ。

ヒリアード邸に目をつけるシーンはちょっと気に入っています。ゆっくりと走る車の窓から見える家並み。車に乗っているグリフィンの腕だけが見えています。やがて窓の中にヒリアード邸が現れ、子供用の自転車が窓越しにフォーカスされ車が停車します。

グリフィンがヒリアード邸を選んだのは、”小さな子供のいる家は危険を冒さない”から。その目印になってしまった自転車は、長男ラルフィが母親の注意をなおざりにしてほったらかしにしてあったものです。そのほんのちょっとしたことが原因でヒリアード一家は恐怖の体験をするんですねぇ。車窓に自転車をとらえて、ぐるーっと車が庭に乗り入れゆっくり停車するところにそういう運命的な偶然が良く表現されています。

その後は、家族を必死に守ろうとするヒリアードと居座るするグリフィン、それにグリフィンを必死で追う刑事ジェス・バード(アーサー・ケネディ)の三人をポイントに緊迫したドラマが展開されます。

一番の見所は、ヒリアードとグリフィンの”死闘”。この作品は男二人の対決のドラマ。序盤、暴力で圧倒的優位に立つグリフィン。ヒリアードはなす術もなく、ひたすら家族の無事を心配しグリフィンの言いなりになっています。

息子ラルフィがいい感じで絡んでますね。生意気盛りのラルフィは、ヒリアードを強盗なんか簡単にやっつけちゃう強い父親だと信じているのに、父親はグリフィンの言いなりになっている。その姿にショックを受け、自分には勇気があるとばかりに、助けを求めるメモを家庭訪問に来た先生に渡そうとしたり、二階の窓から飛び降りて逃げようとしたりします。当然そのたびに状況は悪くなるのですが、ヒリアードはそんな息子からのプレッシャーと家族を守る責任の板ばさみになります。父親の辛い立場がひしひしと・・・・。

しかし、グリフィンに届くはずの金が届かず、いらつくハルやコルビッシュのコントロールが効かなくなってくると共に、ヒリアードも覚悟を決て反撃に転じます。余裕しゃくしゃくだったグリフィンがじわじわ追い詰められて狼狽しだし、ヒリアードは決意をにじませてグリフィンに迫る。二人の立場が徐々に逆転していく様子は見ごたえ十分。

”籠城”というシチュエーションのサスペンスもよく描かれていましたね。長女シンディのボーイフレンドがドアのところで彼女に話しかける。そのドアの裏側には拳銃を握り締めたコルヴィッシュが身を潜めている。両側から二人ともの手がドアにかかる。すごいサスペンス描写。こういうドア一枚隔てた内と外のギャップや、建物内の1階と2階で強盗たちと人質たちの動きを同時に見せる構成などすばらしい工夫が数多く見られます。

悪役ボギーは拳銃片手に葉巻をふかします。相変わらずかっこいい。でも、そんなに葉巻すうなよ、ボギー・・・。ハンフリー・ボガードはこの映画を撮った翌々年には過度の喫煙による咽頭癌で死んでしまうのですよ。

動作の微妙なところがちょっと年寄りっぽくなってたりして、身体の不調も感じてたかもしれないのに。。。そんなことも考えて観ていると、ラストシーンにチラッとうつるボギーの横顔にものすごくショックを受けてしまうのです。
★★★★☆

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必死の逃亡者ジョセフ・ヘイズ ウィリアム・ワイラー ハンフリー・ボガート

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