新ブログ『川越名画座』に引っ越しました。さらに充実した内容で運営していますので、ぜひご訪問ください。

2007年01月21日

#146『ローラ殺人事件』オットー・プレミンジャー監督 1944年アメリカ

Laura.JPG
”Laura”

監督・製作:オットー・プレミンジャー
原作:ヴェラ・キャスパリー
脚本:サム・ホッフェンスタイン/ジェイ・ドラットラー/ベティ・ラインハート
撮影:ジョセフ・ラシェル
音楽:デヴィッド・ラクシン
音楽監督:エミール・ニューマン
出演:ジーン・ティアニー
   ダナ・アンドリュース
   ヴィンセント・プライス
   クリフトン・ウェッブ
   ジュディス・アンダーソン

詳しい作品情報はこちら
    ⇒IMDb(英語)
    ⇒ローラ殺人事件(1944) - goo 映画
    ⇒ローラ殺人事件@映画生活

これもフィルム・ノワールの傑作中の傑作。監督のオットー・プレミンジャーはビリー・ワイルダーと同じく1906年オーストリアのウィーン生まれ。正統なフィルム・ノワールの担い手ですね。

映画は、高名な評論家ウォルド・ライデッカー(クリフトン・ウェッブ)とマーク・マクファーソン刑事(ダナ・アンドリュース)が、ローラ(ジーン・ティアニー)殺人事件の真相を追うストーリー。二転三転する複雑なストーリーが最大の売り物なので、詳しく触れるわけにはいきません。

広告会社のクリエイターであるローラは、万年筆の製品評を書いてもらうべく、ウォルドに飛び込みアプローチ。それが縁でウォルドに気に入られてメキメキと頭角を現します。すっかり有名クリエイターとなり、結婚も決まった彼女が週末の夜、自宅で何者かにショットガンで射殺されて。。。

正確には四転するのかな。これだけでもネタバレになりそうですが、実は私絶対もう一転すると思ってたんですねぇ。この作品を見た方は多分後半の展開にずっと引っかかりを感じたんじゃないかと思うんですけど。そう、それですよそれ。

で、気になってIMDbなど調べてみるとやはりいわくつきでした。この作品途中で監督が変わっているそうです。もともとの監督は、『クレオパトラ』(63)でも監督交代の憂き目を見た(というより、莫大な予算オーバーで20世紀FOXをつぶしかかった)ルーベン・マムーリアン。元は製作に専念していたプレミンジャーは、監督を引き継いだときにマムーリアンが考えていたラストを書き換えてしまったらしいですね。マムーリアンが考えていたラストシーンの伏線となる、マクファーソン刑事のある行動が後半への入り口となるシーンにポツンと残ってるんですよ。これは意図的に残したんでしょうか。まあ、ラストシーンとしてはフィルム化されたものの方がずっといいと思いますが、どうも気になります。

しかし、そんなことがありながらも映画としての完成度は高いと思いますよ。ストーリがめまぐるしく変化するわりに、鼻につくようなわざとらしさはないし、強面切れ者・ゲーム好きの刑事ダナ・アンドリュースをはじめジーン・ティアニー、ヴィンセント・プライス(ローラのいい加減な婚約者役)などの俳優陣も良かったと思います。どれも一筋縄ではいかない男たちとローラの間の裏表ありありの人間関係が面白かったですね。

★★★★☆にほんブログ村 映画ブログへよろしくお願いします!

ローラ殺人事件 <特別編>
ローラ殺人事件 <特別編>ジーン・ティアニー オットー・プレミンジャー ダナ・アンドリュース

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2006-08-18
売り上げランキング : 46302
おすすめ平均star


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


アクセス解析
posted by FROST at 22:24| 埼玉 ☔| Comment(4) | TrackBack(1) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月19日

非情の罠 1955年/アメリカ【DVD#145】

killerskiss.jpg
”KILLER'S KISS”

監督:スタンリー・キューブリック
製作:モリス・ブーゼル
脚本:スタンリー・キューブリック/ハワード・O・サックラークレジットなし)
撮影:スタンリー・キューブリック
編集:スタンリー・キューブリック
音楽:ジェラルド・フリード
録音:スタンリー・キューブリック
出演:フランク・シルヴェラ
   ジャミー・スミス
   アイリーン・ケイン
   ジェリー・ジャレット
   ルース・ソボトゥカ

詳しい作品情報はこちら
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレですよ

実に不勉強にして、スタンリー・キューブリックが1950年代にこういうノワール作品を作っていたことを知りませんでした。alllcinemaによると、キューブリックの長編作品第二弾で商業映画ではデビュー作にあたるとか。27歳で撮った作品です。

ストーリーは、アパートの窓越しにすむ下り坂のボクサーと場末の劇場の踊り子のサスペンスがらみの恋愛劇。いくつかのレビューで述べられている通り取り立ててどうということもない脚本に思えます。クライマックスのマネキン工場での格闘シーンも、実に粘っこく丁寧に描いているがそれもそこそこと言う感じ。

キューブリックの作品の主だったものは観ていますが、一番好きなのは、画面から異常性を感じることでしょうか。異常な行動、異常な心理、異常なシチュエーション、そういったものが映像からにじみ出てくるようなところがお気に入りです。

この作品の前半部分は、あまりにも平凡に見えて「ふーん、キューブリックも若い頃はごく普通だったのね」と思っていました。まじかに向かい合ったアパートの窓を通して男の様子と向こうの部屋の女の様子を同時に見せたりするあたりちょっとおもしろいかなと思えた程度。

しかし、後半女が姉の思い出を語る、バレリーナをバックにした回想シーンあたりから、急に映像は凝り始めます。劇場の市松模様の階段を女が上っていくシーンや、男と間違えられたボクシングマネジャーが路地に追い詰められる場面の影の怖さ、道端でおどけるトルコ人の二人組みの違和感、隣の部屋をうかがう男の手の影がブラインドに映る不気味さ、それに極めつけは冒頭写真にもある物陰に隠れて様子を伺う男の頭上にぶら下がるマネキンの手首。観る側の感性にビンビン響いてくるような凝った映像が繰り出されてきます。しかも、どれも他のノワール作品にはないようなちょっと狂った感覚。これぞ、キューブリック。キューブリックは20代の頃からすでにキューブリックであったか。

何気ない映像にもなにか引っかかるものがあるなと思ってよく観てみると、最後の駅のシーンでストーリーに全然関係のないエキストラが主人公を凝視していたりして、こういうものもサブリミナル効果よろしく観る側に異常な雰囲気を感じ取らせるのかなとも思いましたが、考えすぎでしょうか。

絶品!とは言えませんが、後のキューブリックの名作にも思いをはせながら観ると実に興味深く楽しめる作品であることは間違いないと思います。

★★★★☆にほんブログ村 映画ブログへよろしくお願いします!


アクセス解析
posted by FROST at 11:03| 埼玉 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月14日

深夜の告白 1944年/アメリカ【DVD#144】

double.indemnity.jpg
”DOUBLE INDEMNITY”

監督:ビリー・ワイルダー
製作総指揮:バディ・G・デシルヴァ
原作:ジェームズ・M・ケイン
脚本:ビリー・ワイルダー/レイモンド・チャンドラー
撮影:ジョン・サイツ
音楽:ミクロス・ローザ
出演:フレッド・マクマレイ
   バーバラ・スタンウィック
   エドワード・G・ロビンソン
   ポーター・ホール
   ジーン・ヘザー
   トム・パワーズ

詳しい作品情報はこちら
    ⇒深夜の告白(1944) - goo 映画
    ⇒深夜の告白@映画生活
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレですよ

ようやく今年第一号のレビューをアップすることが出来ました。何はともあれ今年もよろしくお願いいたします。

さて、スタートはフィルム・ノワールの名作『深夜の告白』。ビリー・ワイルダーはやっぱりすごかった。今までに見た『サンセット大通り』『失われた週末』を上回る凄みのある作品でした。昨年最後の『アスファルト・ジャングル』のレビューでも書きましたが、この作品も最初の一瞬から釘付け。白いバックに松葉杖をついた男のシルエット。男が杖をつきながらこちらに歩いてくる映像にのせてオープニングクレジット・・・ゾクっときました。

深夜のオフィスで瀕死の重症を負いながら主人公ネフ(フレッド・マクマレイ)が真相を告白する、回想形式のストーリー展開。見事なファム・ファタールぶりを見せるバーバラ・スタンウィックの魅力。緻密な犯行が成功したかと見えたところから一転してたどる破滅のプロセス。そして、何よりフレッド・マクマレイとスタンウィックに名優エドワード・G・ロビンソンが絡んだ3人をめぐって途切れることのないサスペンス。これが、フィルム・ノワールの真骨頂かと目を見張る一本でした。

中でも記憶に残るのは、保険犯罪を絶対に見逃さない凄腕調査員キーズ(ロビンソン)がはじめて疑いを持つシーン。

フィリスの誘いに乗ってフィリスの夫を殺したネフは、切れ者キーズの疑いをかわせたと思い有頂天でアパートに戻ると、彼女からの電話で会いたいと言ってきます。危険を承知でネフは彼女をアパートに招じます。しかし、電話を切った直後にドアベルが鳴る。不安がよぎり一瞬ドアを見つめるネフ。現れたのはあろうことかキーズその人。ネフはやっとの思い出いつもの通り「ハロー、キーズ」と声をかけます。キーズは事故について誰も気づかないほどわずかな矛盾を嗅ぎつけてフィリスを疑い始めており、それをネフに話にきたのです。フィリスと鉢合わせになればそれですべて一巻の終わり。ネフのことは全く疑わず不可解な点を話すキーズ。そこにやってきたフィリスはかろうじてドアの外で二人の話し声を聞きつけ様子を伺います。帰ろうとするキーズ。ドアを開ける。とっさにフィリスはドアの後ろに身を隠す。廊下を歩み去るキーズ。ドアを背に見送るネフ。ドアの後ろに立つフィリスがそっとドアノブを引く。彼女に気づくネフ。その時、キーズは振り返る。必ずフィリスを白状させてやると宣言する。いつものように葉巻をくわえマッチを探しながら二人の方に戻ってくるキーズ。ネフはキーズの葉巻に火をつけてやり、キーズは帰っていきます。

気がつくときちんと座りなおして観てました。肩にパンパンに力が入っていて、思わず「ほぉぉぉ〜」っと声が漏れましたね。文章が巧くないんでこれを読んでもらっても1%も伝わらないと思いますが(いや、どんなにうまく書いても文字では伝わらないに違いない)。

ロビンソン演じるキーズがね、いいんですよ。ネフとキーズが会う時はかならず”Hello、Keyes”からはじまって、いつも火を持っていないキーズにネフがマッチで火をつけてやって終わる。実はそれは伏線になっていて、ラストシーンでは逆にキーズがネフに火をつけてやるんです。その行為と最後の二人の会話からキーズの心情が痛いほど伝わってくるんですね。キーズは最後の最後までネフを信じていた。

この作品を観る前はバーバラ・スタンウィックに注目していたのですが、すっかりエドワード・G・ロビンソンに魅せられてしまいました。ロビンソンはオーソン・ウェルズの『ストレンジャー』でもナチスの残党を追い詰める役をやっていましたが、こういう人を追う役で特に凄みをきかせますね。あの目と表情のせいかな。

スタンウィックも良かったんですよ。いや、十分にすばらしかった。全体に表情を押さえた演技でしたが、それが逆にフィリスの悪女ぶりをよく語っていましたねぇ。最後に見せる涙も引き立ちました。

2007年も素晴らしい映画でスタートすることが出来ましたね。ますますフィルム・ノワールの魅力に惹かれてきましたのでもうしばらくこの路線でいこうと思います。

★★★★★にほんブログ村 映画ブログへよろしくお願いします!

深夜の告白
深夜の告白トム・パワーズ/ジーン・ヘザー/フレッド・マクマレイ/バーバラ・スタンウィック/エドワード・G・ロビンソン ビリー・ワイルダー

ファーストトレーディング 2006-12-14
売り上げランキング : 10684

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


アクセス解析
posted by FROST at 01:03| 埼玉 ☁| Comment(9) | TrackBack(4) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月31日

アスファルト・ジャングル 1950年/アメリカ【DVD#143】

asphalt_jungle.jpg
”THE ASPHALT JUNGLE”

監督:ジョン・ヒューストン
原作:W・R・バーネット
脚本:ジョン・ヒューストン/ベン・マドー
撮影:ハロルド・ロッソン
音楽:ミクロス・ローザ
出演:サム・ジャッフェ
   スターリング・ヘイドン
   ルイス・カルハーン
   マリリン・モンロー
   ジーン・ヘイゲン
   ジェームズ・ホイットモア
   アンソニー・カルーソ
   ブラッド・デクスター

詳しい作品情報はこちら
    ⇒アスファルト・ジャングル(1950) - goo 映画
    ⇒アスファルト・ジャングル@映画生活
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレですよ

少しご無沙汰しておりました。年末バタバタと忙しいのはサラリーマンの宿命ですが、いやいや今年は大変でした。ようやく昨日仕事が終わってギリギリもう一本感想をアップできそうです。

さて、今年最後の記事はジョン・ヒューストン監督の『アスファルト・ジャングル』。最後にふさわしい傑作でした。

7年の刑期を終えて出所した希代の知能犯ドック(サム・ジャッフェ)。早々宝石店から100万ドルを強奪する計画を携えて悪徳弁護士エメリッヒ(ルイス・カルハーン)のもとを訪れます。エメリッヒの協力で金庫破りの名人ルイ(アンソニー・カルーソ)、カフェの店主ガス、強盗常習犯ディクス(スターリング・ヘイドン)と共に深夜宝石店に押し入り宝石を手にすることに成功しますが、予定外に警報が鳴ったことから次々に計画に狂いが生じていきます。

いい映画は開巻の一瞬からひきつけるものがありますが、この作品もしかり。画面いっぱいに写る石畳とゆっくり走ってくるパトカーの映像がぞくぞくするほどかっこいい。この場面から、パトカーをやり過ごしたディクスがガスの経営するカフェに入って犯行に使った拳銃を預けるところまで、これぞフィルム・ノワールというような犯罪映画のにおいがぷんぷんとする素晴らしいオープニング。

登場する人物描写がみんな実に生々しくて良い。子煩悩な金庫破りルイや破産した父親の牧場を買い戻すために競馬と強盗で金をつくろうとするディクス。クールな知能犯でありながら若い女に目がないドック、情婦に入れ込んで泥沼にはまるエメリッヒなど主役級はもちろん、ディクスの女友達ドール(ジーン・ヘイゲン、『雨に唄えば』のリナ・ラモント!)が警察に踏み込まれて泣き笑いしながらつけまつげをはがすシーンなんかも、とにかく人物設定と映像が抜群に奥深い。役者も良い。

それぞれの登場人物の裏側まで丁寧に描いているため、ジョン・ヒューストン独特のアンハッピー・エンディングが冴えわたることこの上ない。一人また一人と倒れていく様は、思わず深くため息をついてしまうような無常観がジーンと染み込んできました。

しかし、フィルム・ノワールは白黒映画の一つの極致ですね。夜の闇に浮かび上がる人間のシルエットなどため息が出ます。一つ一つ記憶に残る場面をメモしていきたいと思っていますが、この作品では上で書いた冒頭のシーンと、金庫を破るルイとディクス・ドックの縦並びのステージングや、ジュークボックスで踊る少女が窓に寄って離れた時に、カフェを覗き込んでいる警官の姿が写るシーンなどが印象的でした。

さて、最後になりましたが、今年一年ブログを訪れていただいた皆様、大変ありがとうございました。途中二ヶ月ほどの中断がありましたが、こうして続けてこれたのは皆様のおかげと感謝しております。

来年も、もっともっとオールド・ムービーの世界を極めていきたいと思いますので、これからも是非よろしくお願いします。

それでは皆様、良いお年をお迎えください(^^)/

★★★★★にほんブログ村 映画ブログへよろしくお願いします!

アスファルト・ジャングル
アスファルト・ジャングルジョン・ヒューストン サム・ジャッフェ マリリン・モンロー

ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-05-12
売り上げランキング : 45367
おすすめ平均star


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


アクセス解析
posted by FROST at 23:56| 埼玉 ☀| Comment(4) | TrackBack(3) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月20日

記憶の代償 1946年/アメリカ【DVD#142】

Somewhere in the Night.jpg
”SOMEWHERE IN THE NIGHT”

 監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ
 脚本:マーヴィン・ボロウスキー
     ジョセフ・L・マンキウィッツ
 脚色:リー・ストラスバーグ
 撮影:ノーバート・ブロダイン
 音楽:デヴィッド・バトルフ
 出演:ジョン・ホディアク
     ナンシー・ギルド
     ロイド・ノーラン
     リチャード・コンテ
     ジョセフィン・ハッチンソン
     フリッツ・コルトナー


詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)



『イヴの総て』で圧倒的なドラマの面白さを見せてくれて好きになったジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の作品。

フィルム・ノワールらしい白黒感は存分にかもし出されており雰囲気は満点。戦傷で記憶を失ったジョージ・テイラー(ジョン・ホディアク)が、わずかな手がかりを手繰って自分の過去の秘密を握るラリー・クラバットという男を追います。悪漢に追われて逃げ込んだクラブ楽屋で出会った歌手クリスティ(ナンシー・ギルド)と愛し合うようになり、彼女の協力を得て真相に近づきますがそこには驚くべき真実が・・。

ということで、こじんまりしたキャストによる典型的なB級フィルム・ノワール。主演のジョン・ホディアクはどこかで見覚えがあるなと思って調べて見ると、ヒッチコックのしぶ〜い密室劇『救命艇』に出てました。救命ボートに乗り合わせたメンバーの中でも結構攻撃的な性格の男を演じていました。

病院で目覚めた主人公ジョージ・テイラーが故郷L.A.でわずかな手がかりを探りますが、ストーリーの組み立てとしては手に汗握ると言うほどでもありませんがまずまずの工夫でしょうか。終盤の桟橋に向かう頃には大体ラストは読めますけどね。ただ、話のつながり、要するにヒントを得て次のエピソードに移動するつなぎに若干無理があるんじゃないのと思わせるところが二箇所。ひとつはロスに戻った直後に受け取るカバンの出所。もうひとつは女占い師フィリスの家で「ヒントをくれ!」と言うというところ。ヒント探しが面白さの核なのに、おもむろに「ヒントをくれ」と頼むのもいかがなものでしょ・笑。

ミステリとかホラーなどの作品では、ご都合主義が透けて見えると、その後映画ががんばるほど逆に心は白々とさめていくという、”逆スパイラル症状”に陥ってしまうことがあるのですが、今回はそこまでになることはなく、まあラストまでそこそこ楽しむことはできました。

しかし、主演二人。あんまり好みじゃないですねぇ。ジョン・ホディアクは、とにかく最初から最後まで表情がまったく変わらないので感情移入しづらいことはなはだしい。必死で真剣のは良いのですが、ちょっとくらい笑うとか泣くとか・・・。『救命艇』ではもう少し動きのある表情をしていたと思うので、これは演出なのでしょうか・?

一方、クリスティを演じるナンシー・ギルドは逆に結構表情豊かなんですが、顔のつくりがなんていうんでしょ、B級アメコミに出てくるちょっと妖艶な悪女の感じ?多分自分でも意識してるんだと思いますが、眉を長くたれ気味に引いて、ちょっと上向き加減にしてニタッと笑うと頬骨が強調されて、なんかこう少し卑猥な笑顔になるんですねぇ。これ、結構印象に残る顔なので女優が作る表情として決して悪いとは思いませんが、個人的に好みじゃないです。はい。

しかし、なんですね、B級フィルム・ノワールっていうのは、前に感想をアップした『都会の牙』もそうですが、あんまりストーリーがとか役者がとかコムツカシイことを言わずに、スコンと心を開いて雰囲気を味わうものかもしれないなとそんなことを感じました。

★★★☆☆にほんブログ村 映画ブログへよろしくお願いします!

記憶の代償
記憶の代償ロイド・ノーラン ノーバート・ブロダイン リチャード・コンテ

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2006-04-14
売り上げランキング : 72601

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


アクセス解析
posted by FROST at 16:00| 埼玉 🌁| Comment(4) | TrackBack(1) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月17日

1940・50年代アメリカン・クラシックの世界

オールド・ムービーの一つの中核をなすのが1940年代に頂点を極めたハリウッドの作品。50年代になるとその繁栄は一夜の夢のように凋落の一途をたどります。

「ハリウッドはエジプトみたいなものだ。
どこを見ても崩れかけたピラミッドらだけ。決してよみがえりはしない。
やがて一陣の風が、撮影所の小道具を砂地のかなたに吹き飛ばしてしまうまで、
崩壊を続けるのだ」

(デイヴィッド・O・セルズニック)


しかし、個々の作品を観ると50年代のハリウッド作品は40年代のものに劣らない傑作が数多くあるような気がします。ここしばらくで何作かアップしていますが、フィルム・ノワールを中心にそういう40・50年代のハリウッド作品を特集してみたいと思います。
posted by FROST at 03:22| 埼玉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

孤独な場所で 1950年/アメリカ【DVD#141】

in a lonely place.jpg
”IN A LONELY PLACE”

監督:ニコラス・レイ
製作:ロバート・ロード
原作:ドロシー・B・ヒューズ
脚本:アンドリュー・ソルト
撮影:バーネット・ガフィ
音楽:ジョージ・アンセイル
出演:グロリア・グレアム
   ハンフリー・ボガート
   アート・スミス

詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレですよ

我がヒーローハンフリー・ボガートと、期待のグロリア・グレアムの共演。監督は当時、グロリアの夫であったニコラス・レイ。

今回のハンフリー・ボガートの役どころは、映画の脚本家ディクソン・スティール。腕は良いものの、激しやすい性格が災いし戦後はヒット作が出ていません。

ディクソンは、脚本執筆の手伝いという名目で、クラブウェイトレスを自宅に招じ入れます。しかし、彼女はディクソンの家を出た直後、絞殺されて車から投げ捨てられているところを発見され、ディクソンに嫌疑がかかります。警察に連行されたディクソンのアリバイを証言し助けるのが隣人の謎めいた美女ローレル(グロリア・グレアム)。

先日感想をアップした『仕組まれた罠』では、グロリア・グレアムの魅力に惹きこまれたものの、後一歩キャッチすることができませんでしたが、この作品では・・・きましたよ、すばらしい。

『仕組まれた罠』の感想を改めて読み返すと「泣き顔が似合う」と書いていました。確かに、そちらでは泣いてばかりいてそれも魅力的なのは間違いないのですが、彼女の一番の魅力は泣き顔ではありませんでした。ワケも事情もありそうな女のちょっと謎を含んだ笑み。これですねぇ。いっやー(大喜び)、この作品前半のグロリア・グレアムを見たことのない方はぜひご覧になったほうが良いです。お奨めします。抜群に魅力的です。

ハッとするシーンもたくさんありました。ロングスカートのポケットに両手を突っ込んでボギーと話すシーン、窓の外からのぞいている友人メル(アート・スミス)と窓辺に腰掛けて格子ごしに話すシーン、極めつけはバーのピアノカウンターで隣のボギーに送るながし目。

グロリア・グレアム、今度こそ完璧に惚れました。実に素晴らしい。


前半はね・・・。


この作品、後半に急速に入れ込み度がダウン。浜辺のピクニックで、ローレルが警部と話したことを知ったディクソンは怒り狂い、車で暴走した挙句接触事故を起こした相手の運転手を半殺しの目に合わせます。この後、ローレルはディクソンの激しやすい性格に恐怖し始めます。ウェイトレス殺しはやはりディクソンの仕業ではないのかという疑いも再び頭をもたげてきます。

ここでですね、ローレルの謎めいた部分が一気になくなってしまうんですよね。身の危険に恐怖するごく普通の女になってしまいました。。。で、泣くでしょ。『仕組まれた罠』のヴィッキーと同系統の表情・演技です。それでも十分魅力的なんですが、前半の飛びね抜けた魅力からすると今ひとつ(いや二つ)。

見終わってから知ったのですが、この作品は製作途中で大きくストーリーが変わったそうです。当初はシリアル・キラーチックなサイコ・サスペンスだったらしいですね。そう言われれば刑事にウェイトレス殺しの状況を推理して見せるボギーの表情はかなりアブノーマルな感じでさもありなんと思わせます。しかし、最終的にはボギーのアドリブにあわせてニコラス・レイがシナリオを書き直し、ボギーとグロリアの恋愛のいきさつを中心にすえたドラマになっています。

前半のグロリア・グレアムがかもし出しているなんともいえない妖艶な雰囲気はきっとなにかの複線になっていたんじゃないかと思うんですね。でもシナリオが変わってしまったので結局そのあたりは後半のストーリー展開に何にも関係なく素通りになってしまったのではないかと。ドラマの方も、あ、そういうことなのねという感じで終わってしまいました。これは観る人の好みにもよると思いますが、ロマンスよりサスペンス・スリラーな方が好みな私としてはちょっと拍子抜けの感が否めませんでした。

全体3つ+グロリア・グレアムに1つ★★★★☆にほんブログ村 映画ブログへよろしくお願いします!


COLUMBIA TRISTAR FILM NOIR COLLECTION VOL.1
COLUMBIA TRISTAR FILM NOIR COLLECTION VOL.1ジョン・クロムウェル スチュアート・ヘイスラー ニコラス・レイ

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2004-02-25
売り上げランキング : 59989

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

BOXしかないのかな・・・

アクセス解析
posted by FROST at 02:56| 埼玉 ☁| Comment(4) | TrackBack(1) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。