新ブログ『川越名画座』に引っ越しました。さらに充実した内容で運営していますので、ぜひご訪問ください。

2006年02月10日

#0056『紳士協定』エリア・カザン監督 1947年アメリカ

gentlemansagreement.gif”GENTLEMAN'S AGREEMENT”

監督: エリア・カザン Elia Kazan
製作: ダリル・F・ザナック Darryl F. Zanuck
原作: ローラ・Z・ホブソン Laura Z. Hobson
脚本: モス・ハート Moss Hart
撮影: アーサー・C・ミラー Arthur C. Miller
音楽: アルフレッド・ニューマン Alfred Newman
 
出演: グレゴリー・ペック Gregory Peck
    ドロシー・マクガイア Dorothy McGuire
    ジョン・ガーフィールド John Garfield
    セレステ・ホルム Celeste Holm
    アルバート・デッカー Albert Dekker
    ジェーン・ワイアット Jane Wyatt
    アン・リヴェール Anne Revere
    ディーン・ストックウェル Dean Stockwell


ネタバレ注意!

あらすじ
妻に先立たれた人気ルポライターのフィル(グレゴリーペック)は、ある出版社に請われてニューヨークに移り住むことになった。出版社社長の姪キャシー(ドロシー・マクガイア)の発案により、反ユダヤ主義に関する記事を書くことになるが、執筆は難航。行き詰っフィルは自らユダヤ人だと偽り、周囲の反応を伺おうとするが、予想もしなかったほどのユダヤ人への偏見を目の当たりにする。愛し合い結婚を誓ったキャシーでさえ、自ら意識することなくユダヤ人を偏見の目で見てしまう。

みどころ
正統派社会ドラマ。テーマが1700年続く反ユダヤ主義ですから重いです。あからさまにユダヤ人差別を行う者たちよりも、それを黙って見ているだけで何もしないほうがよほど罪深い。という主張には納得感があります。ユダヤ人になりきることで出始めてその事実を痛感する、しかもそれを愛する者から思い知らされるというストーリーも秀逸ですね。

それを、自ら意識しないまま実証してしまうことになるドロシー・マクガイアに、冷静にそのことを気づかせる友人デイブ(ジョン・ガーフィールド)の演技は実にすばらしいと思います。デイブ役のジョン・ガーフィールドは、ユダヤ人であることの誇りや苦しみ、反ユダヤ主義の存在を事実として受け止めながら、決してそれに屈しない強い男、という感じが無骨な顔立ちや自信に満ちた言動から滲み出してますね。

ガーフィールドのほかにもこの作品、フィルの母親(アン・リヴェール)や息子(ディーン・ストックウェル)、フィルの同僚アン(セレステ・ホルム)など、脇役陣が渋くまとまっていて感じいいです。

で、オチは主役の二人が今ひとつね。。ということですが、ドロシー・マクガイアはまだいいんですけど、肝心のグレゴリー・ペックが・・・。ヒッチコックの二作品(”白い恐怖”、””パラダイン夫人の恋”)では、線が細いのなんのといいましたが、相手にぐっと押し込まれたときに、目が泳いでふらふらっと行っちゃう感じがして、ああなんて弱々しいんだろう、横にいる女性に守られてるなぁと。”大いなる西部”では、周囲の誤解をものともしない芯の強さを見せてくれて、お、結構いろんな役柄演じられるじゃないかと思わせてくれたのですが。

この作品ではかなり一本調子な感じですね。シナリオにも若干無理があるように感じます(一瞬でユダヤ人になりきりすぎだよ)が、なんかこうとっかかりがないというかそんな感じ。うまい表現が出来ないのですが。何の混じりけもない正義漢というのがどうも、要は共感できる演技が見られなかったということで、残念。

個人的には
やっぱりまた、グレゴリー・ペックがわからなくなってきましたね。巧妙な演技べた・・・?
もう少し観てみましょう。

おすすめ度
★★★☆☆

次回は、”白昼の決闘”。グレゴリー・ペック、悪役のようです。




紳士協定
紳士協定グレゴリー・ペック エリア・カザン ドロシー・マクガイア

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2005-02-04
売り上げランキング : 31,876
おすすめ平均star


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


POSTER


banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
よろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 23:59| 埼玉 🌁| Comment(2) | TrackBack(2) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月09日

#0055『大いなる西部』ウィリアム・ワイラー監督 1958年アメリカ

big country.jpg
”THE BIG COUNTRY”

監督: ウィリアム・ワイラー 
    William Wyler
製作: ウィリアム・ワイラー 
    William Wyler
原作: ドナルド・ハミルトン
脚本: ジェームズ・R・ウェッブ 
    James R. Webb
    サイ・バートレット Sy Bartlett
    ロバート・ワイラー Robert Wyler
撮影: フランツ・F・プラナー Franz F. Planer
音楽: ジェローム・モロス Jerome Moross
タイトルデザイン: ソウル・バス Saul Bass
 
出演: グレゴリー・ペック Gregory Peck
    チャールトン・ヘストン Charlton Heston
    ジーン・シモンズ Jean Simmons
    キャロル・ベイカー Carroll Baker
    バール・アイヴス Burl Ives
    チャールズ・ビックフォード Charles Bickford
    チャック・コナーズ Chuck Connors
    アルフォンソ・ベドヤ Alfonso Bedoya


あらすじ
ジム・マッケー(グレゴリー・ペック)は、船乗りをやめ牧場主の娘パット・テリル(ベイカー)と結婚するために西部の町にやってきた。そこは、町の大物マラガンが遺した豊かな水源ビッグ・マディをめぐってテリル家とヘネシー家が争っていた。暴力を嫌うマッケーは荒っぽい西部の男たちから臆病者と嘲られ、パットにも愛想をつかされる。そんな時ビッグ・マディの持ち主であり、マラガンの孫娘ジュリー(ジーン・シモンズ)がヘネシー一家に連れ去られる。一触即発の両家の対峙。マッケーはジュリーを救うため、単身ヘネシー一家に乗り込んだ。

みどころ
big country_2_edited.JPG
↑やっぱりこれです。地平線まで続く大平原を見るとなんともいえない幸せな気分になります(田舎育ちのせいですけどね)。

それだけで結構気に入ってしまうこの作品ですが、家同士の因縁の対決とそこにやってくるぜんぜん世界の違う男、しかもその男が実はスーパーヒーローというこの上なくわかりやすいストーリーが、これだけの大自然の中で繰り広げられると、とっても魅力的に見えてきて楽しいですね。

ヘネシーの息子バック(チャック・コナーズ:漫画みたいな顔でGOOD)やテリルの牧童頭スティーブ(チャールトン・ヘストン・若っ)などの粗暴なキャラクターもちゃんと配置されていて主人公に絡んできます。この二人との大立ち回りに十分時間をかけてアクション面も押さえていますね。

父と娘の仲がべたべたに良い上品で金持ちのテリル親子と、親父が息子に「いつか殺してやる」と吼えるようなハードな親子関係の粗暴な貧乏人ヘネシー親子。ところが、頭首である親父だけを比較するとヘネシーの暴力親父のほうが人間としてまちがいなく格上。このあたりのキャラ設定のおかげで、両家の争いを単純な善悪の戦いにしていないあたりも大変興味深い。

ロケーション設定、ストーリー、キャラクタ、ばっちりかみ合ってると思いますよ。

あとは、あれですよ。音楽最高。

個人的には
グレゴリー・ペックは線が細いのか芸達者なのか。そりゃあ、これだけの大役者ですからね、線の細さも演技のうちだとわかっちゃいますが、グレゴリー・ペックの演技の幅ってどのくらいあるんだろう??っていうのが観てみたいわけです。

ということでこの作品ですが、目泳いでないですね。よかったです。非暴力主義ゆえ臆病者かとも思わせるところが笑えます。優男(やさおとこ)系であることは間違いないので、グレゴリー・ペックの
キャラクターをうまく生かしたキャスティングですね。線の細さばかりではないということはわかってきましたが、もっといろいろな役柄のグレゴリー・ペックを見てみたい。

個人的に不思議なのはこの映画、興行的には失敗。ハリウッドメジャーから独立したグレゴリー・ペックをかなり苦しめたらしい(確かにこれと”白鯨”が連発でこけたら大ショックではありましょう)のですが、なんででしょう。面白いのに。ラストがやっぱりちょっとだめなのかなぁ。

おすすめ度
★★★★☆

グレゴリー・ペックをもう一本。西部劇の”白昼の決闘”か”マッケンナの黄金”を観たいところですが、タイミングよく手に入りません。ということで”紳士協定”、今度はユダヤ人問題に挑むジャーナリストです。




大いなる西部
大いなる西部ジーン・シモンズ グレゴリー・ペック チャールトン・ヘストン

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2005-12-09
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


Sound Track 名曲!
大いなる西部大いなる西部
ザ・フィルハーモニア・オーケストラ・ロンドン

by G-Tools



POSTER
posted by FROST at 22:54| 埼玉 🌁| Comment(2) | TrackBack(1) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月07日

#0054『パラダイン夫人の恋』アルフレッド・ヒッチコック監督 1947年アメリカ

paradine case.jpg
”THE PARADINE CASE”

監督: アルフレッド・ヒッチコック
    Alfred Hitchcock
製作: デヴィッド・O・セルズニック
    David O. Selznick
原作: ロバート・ヒッチェンス
脚本: デヴィッド・O・セルズニック
    David O. Selznick
    ジェームズ・ブリディ
    James Bridie
撮影: リー・ガームス
    Lee Garmes
音楽: フランツ・ワックスマン Franz Waxman
 
出演: グレゴリー・ペック Gregory Peck
    アリダ・ヴァリ Alida Valli
    アン・トッド Ann Todd
    ルイ・ジュールダン Louis Jourdan
    チャールズ・ロートン Charles Laughton
    チャールズ・コバーン Charles Coburn
    エセル・バリモア Ethel Barrymore
    レオ・G・キャロル Leo G. Carroll



あらすじ
盲目の退役将校パラダインが毒殺され、若く美しい妻マダレーヌ(アリダ・ヴァリ)が逮捕された。敏腕弁護士キーン(グレゴリー・ペック)が弁護にあたるが、キーンは次第にパラダイン夫人の魅力に魅かれていく。真実を語らぬ彼女の裁判がいよいよ始まった。


みどころ
後半丸々1時間の法廷ドラマはぐっと引き込まれます。そもそもこの作品のストーリーはかなり早い段階から結末の予測がつくシンプルなもので、サスペンスドラマというよりは法廷を巡る人間ドラマといったほうが近いと思います。

登場人物のさまざまな思惑が絡み合い、裁判の攻防の緊張感が高まっていきます。裁判を取り仕切る判事(チャールズ・ロートン)は、キーンの妻ゲイ(アン・トッド)に欲望を感じておりホームパーティの席で彼女に拒絶されています。そのために、裁判全体を通して、キーンが判事から逆恨みの不利益をこうむるのではないかという不安が付きまといます。

そのゲイはというと、パラダイン夫人に惹かれていく夫を制止するすべもなく、嫉妬と恐怖心を懸命にこらえながらも、裁判での夫の勝利を願っています。もし夫が裁判に勝てばゲイとキーンの幸せだった結婚生活はどうなってしまうのだろうか。傍聴するゲイの姿が映るたびにそういう不安がよぎります。キーンが有利になればなるほど気がかりになってきます。

そして、キーンは検察側証人である元下男と夫人との関係を疑い、心を乱すあまり元下男に対して過酷な追求を行います。彼を犯人に仕立てて夫人を救おうとするキーンのこっけいなほどの熱心さとそれを見つめるパラダイン夫人の冷たい表情のコントラストも興味深いものでした。

パラダイン夫人が法廷に登場するシーンでは、被告人席に直接通ずる地下の通路から、傍聴人でいっぱいの法廷に姿をあらわし、好奇の目に対抗するようにぐっと表情を引きしめます。アリダ・ヴァリは、この作品でも2年後の”第三の男”でも、ほとんど笑顔を見せない重めの役柄ですが、微妙な表情の変化がとても印象的。被告人席に座る彼女の後ろから、証人の元下男が入場してきますが、彼の方に目を向けることなくそのの気配を感じとる表情も同じくすばらしい演技でした。


個人的には
この作品は、ヒッチコック作品としては興行的にも成功とは言えず、ヒッチコック自身もキャスティングで大失敗(またしても!)したと語っています。確かにヒッチコックの作品としては今ひとつ中途半端なのかもしれませんが、前述の法廷ドラマは秀逸だと思います。最後のキーンの退場シーンも心に残りました。

この作品でも、グレゴリー・ペックってなにかこう線の細い感じがしますね。 ”白い恐怖”の記憶喪失の主人公役の時もそう思ったのですが、そのときは若さゆえかと納得していました。

自信がなかったり、思いを遂げられなかったりの役にはまりすぎ。で、ちょっと泳ぎ気味のあの目がまた…。端正な顔立ちも手伝って、弱々しい感じをぷんぷん匂わせます。この人はこういう芸風なんですかね?どの作品でもこんな感じでしたっけ? 見ていて「もうちょっとしっかりしろよう」といいたくなるんですが・笑。

少しグレゴリー・ペックを追っかけてみようかという気になってきました。ということで次回は西部劇シリーズのスタートを兼ねて”大いなる西部”。果たして男らしいグレゴリー・ペックは見られるのでしょうか(期待)。

おすすめ度
★★★★☆




パラダイン夫人の恋
B00006HBLQアン・トッド デヴィッド・O.セルズニック リー・ガームス

ビクターエンタテインメント 2002-09-27
売り上げランキング : 47,720


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

※通常のDVDは中古しか入手できないようです。ファーストトレーディングの500円DVDが販売されています。画質・音声に特に問題なし。

POSTER


banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
よろしくお願いします

アクセス解析
posted by FROST at 14:55| 埼玉 🌁| Comment(1) | TrackBack(3) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月03日

#0053『救命艇』アルフレッド・ヒッチコック監督 1944年アメリカ

lifeboat.jpg
”Lifeboat”

監督:アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作:ケネス・マッゴーワン Kenneth MacGowan
原作:ジョン・スタインベック John Steinbeck
脚本:ジョー・スワーリング Jo Swerilng
撮影:グレン・マックウィリアムズ Glen MacWilliams
 
出演:タルーラ・バンクヘッド Tallulah Bankhead
   ウィリアム・ベンディックス William Bendix
   ウォルター・スレザック Walter Slezak
   メアリー・アンダーソン Mary Anderson
   ジョン・ホディアク John Hodiak
   ヘンリー・ハル Henry Hull
   ヘザー・エンジェル Heather Angel
   ヒューム・クローニン Hume Cronyn
   カナダ・リー Canada Lee



あらすじ
貨物客船がドイツ軍との交戦に巻き込まれ、砲撃を受けて沈没。生き残った乗員乗客は一艘の救命艇に乗り合わせる。その救命艇にドイツ砲艦の乗組員が助けあげられるのだが…

みどころ
全編が一艘のボートの中で繰り広げられる密室劇。いわゆる極限状態ものです。
ポイントは乗り合わせたドイツ兵の存在。遭難という状況で、迫り来る死と戦いエゴが爆発…、というよりもドイツ兵を巡る様々な思惑がメインとなっており、簡単に言うとボートの中でミニチュアの戦争してるわけです。

そういう筋立てなのでドイツ兵が強くないと映画が成り立たないのですが、これがまた見事なキャラ。よく映画にでてくる切れ者のドイツ軍人(決まってオールバック)という感じではなく、頭ボサボサのおデブで気持ち良さそうに歌なんか歌うんですが、実は知略縦横、技術もあり肝の座り具合も見事。じわじわと明らかになっていく彼の正体が実に不気味で見応えがありました。

それでもアメリカ映画ですから、当然ドイツに勝つわけですが、ドイツ兵との決着は4・50年代の作品には見られない過激さ。いいんですかこれって感じ。戦争ヒステリーがシナリオに反映されたものか戦意昂揚を狙ったものかわかりませんが、厳しいことで有名だった当時の映倫を良くバスしたものです。最近の映画ではどうってことない平凡なシーンですけどね。

あと特筆はこの作品のヒッチコックカメオ。全作品中でも傑作のひとつでしょう。なんと新聞のダイエット広告(の使用前)のイラストで出演です・笑

個人的には
女優陣に魅力が乏しくいまひとつ没入出来ないんですよね。主役のコニーの持ち物がどんどんなくなっていったり面白くはあるんですけど。役者に魅力がないとエピソードが映えません。前回の”逃走迷路”とは逆で、ストーリーはまずまずながら役者がいまひとつ。

おすすめ度
★★★★☆


次回は、アリダ・ヴァリ&グレゴリー・ペック、”パラダイン夫人の恋”


救命艇 特別編
B000CMNLWUタルラー・ハンクヘッド アルフレッド・ヒッチコック ウィリアム・ベンディックス

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2006-01-20
売り上げランキング :


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

※ファーストトレーディングの500円DVDで見ましたが、特に画質等問題ありませんよ。

POSTER


banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
よろしくお願いします!

アクセス解析

posted by FROST at 23:17| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(1) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月02日

#0052『逃走迷路』アルフレッド・ヒチコック監督 1942年アメリカ

saboteur-2.jpg”Saboteur”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: フランク・ロイド Frank Lloyd
     ジャック・H・スカーボール Jack H. Skirball
脚本: ピーター・ヴィアテル Peter Viertel
     ジョーン・ハリソン Joan Harrison
     ドロシー・パーカー Dorothy Parker
撮影: ジョセフ・ヴァレンタイン Joseph Valentine
音楽: チャールズ・プレヴィン Charles Previn
     フランク・スキナー Frank Skinner
 
出演: ロバート・カミングス Robert Cummings
     プリシラ・レイン Priscilla Lane
     ノーマン・ロイド Norman Lloyd
     オットー・クルーガー Otto Kruger
     アラン・バクスター Alan Baxter



あらすじ
軍需工場で大規模火災が発生し、主人公ケインは同僚を亡くした上、テロリストの容疑をかけられる。からくも警察の手から逃れたケインは火災現場から姿を消した男を追う。

みどころ
イギリス時代に”サボタージュ(Sabotage)”という作品があり、存題が紛らわしいですが、Sabotageは「破壊工作」。SaboteurはSabotageをする人ということで「破壊工作員」。そういうことだそうです。はい。ちなみに作品としては何の関係もありません。

1942年制作と言えば゛疑惑の影゛と同じ年ですね。疑惑の影は純粋なサイコスリラーという感じでしたが、こちらは全体主義者の悪事を暴くべく孤軍奮闘する主人公と言うことで、戦意昂揚もかなり意識されているようです。

これまた賛否の分かれる作品のようですが、いい作品だと思いますね。なぜかというとヒッチコックらしさがプンプン漂ってるから。ヒッチコック定番の巻き込まれ二重追跡劇。アクの強い悪役やブロンドのヒロイン、サスペンスを盛り上げる小道具(手錠!)、凝った映像、そしてクライマックスの自由の女神での大立ち回り。ヒッチコック的魅力のショーケースとでも言えそうです。

有名な自由の女神のシーンはもちろんのことですが、そのほかにも火災発生シーンの煙がトタン張りの・を這ってくる不気味さや、手錠をめぐるサスペンス、スパイの館からの脱出劇など、あげればきりがありません。

ストーリー面では、ヒロインの行動にいまひとつ意味不明なところがあり、同じプロットの゛三十九夜゛や゛北北・に進路を取れ゛とくらべると十分こなれていないような感じがしますが、なにそんなこと、一つ一つのエピソードが非常に良くできているのでストーリーの未熟さを補っても十分におつりがきます。

個人的には
主役の二人がヒッチコック映画らしくてよかったなあと。プリシラ・レインは、顔立ちに親しみがありますね。サーカスのトラックで警官の尋問をはぐらかすためにあくびをしますか、なんかわざとらしくて愛嬌があって印象的でした。

と思ったら、ヒッチコックご本人はまったくキャストには不満だった様子。制作者セルズニックが本作の権利をユニバーサルに売ってしまったため、監督のヒッチコックも貸し出された形になってしまい、キャスティングの面でかなり制約を受けたようです。特にユニバーサルから押し付けられたプリシラ・レインには不満だったようで、トリュフォーとの対談では「下品でおよそヒッチコック作品にはおよそ似つかわしくない女優」とバッサリ。もともと女優の評価は非常に厳しいヒッチコックですが、やっぱり自分で選んだのではない女優の場合は特に辛口になるようですね。”見知らぬ乗客”のルース・ローマンや”私は告白する”のアン・バクスターも同様に酷評されています。

おすすめ度
★★★★☆

次回は1944年製作の”救命艇”。ハードな作品のようですね。

逃走迷路
逃走迷路ロバート・カミングス アルフレッド・ヒッチコック プリシラ・レーン

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2005-01-01
売り上げランキング :
おすすめ平均star


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


↓Poster↓
Saboteur


Saboteur
Buy this Mini Poster at AllPosters.com



banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
よろしくお願いします

アクセス解析




posted by FROST at 15:12| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(1) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月28日

#0049『断崖』アルフレッド・ヒッチコック監督 1941年アメリカ

suspicion.jpg
”Suspicion”
監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: デヴィッド・O・セルズニック David O. Selznick
原作: フランシス・アイルズ
脚本: サムソン・ラファエルソン Samson Raphaelson
    アルマ・レヴィル Alma Reville
    ジョーン・ハリソン Joan Harrison
撮影: ハリー・ストラドリング Harry Stradling Sr.
音楽: フランツ・ワックスマン Franz Waxman
 
出演: ジョーン・フォンテイン Joan Fontaine
    ケーリー・グラント Cary Grant
    ナイジェル・ブルース Nigel Bruce
    セドリック・ハードウィック Cedric Hardwicke
    レオ・G・キャロル Leo G. Carroll


あらすじ 
列車の中で知り合ったジョンと結婚したリナは、早々にジョンのとんでもない浪費癖に気がつく。妻にはでまかせの嘘をつき続けながらギャンブル三昧のジョン。ジョンが親戚の好意で職を得た不動産会社の金を横領したことを知ったリナは次第に疑心暗鬼に陥っていくが・・・

みどころ 
主人公リナ(ジョーン・フォンティン)の疑心暗鬼ぶりとジョン(ケイリー・グラント)のダメ男ぶり。ジョーン・フォンティンは”レベッカ”のときもそうですが、主演女優としては微妙に影が薄い。強烈な印象を残すことが多いこの時期のハリウッド女優(しかもオスカー女優)の中で、どんな顔立ちだったかなかなか思い出せないという珍しい存在。しかし、この作品では常識欠如男ケイリー・グラントを疑い、身の危険を感じながらも結局はひきずられてしまう主体性のない女リナの役が影薄女優フォンティンにぴったりはまっている・とも言えます。

一方のケイリー・グラントはヒッチコック映画の看板男優。ハリウッドにおいて1940年時点ではすでに超大物。契約していたパラマウントから独立して自由に作品を選べる立場になっていました。で、このジョンの役ですがキリッと引き締まった表情と身なりの良さはいつも通りながら、金銭感覚のかけらもないダメ男。うそをつく、金をせびる、言い訳をする、挙句に横領と二枚目イメージから程遠いというか、見た目が完璧な二枚目なだけにそのギャップでとんでもないダメ男に見えます。。私生活まですべてを計算して俳優のブランドイメージをコントロールしていた当時のハリウッドで、良くこの役を引き受けたと感心させられます。

個人的には・・・
うーん、どうなんでしょう。非常に微妙。このあいまいなラストシーンをどう解釈するかで大きく作品の趣が変わりますねぇ。天下の二枚目が汚れ役をやるということが狙いの一つだったとすると、若干シナリオに徹底しきれないところも感じられます。当時のもろもろの事情に負けたのか、キレという意味ではヒッチコックらしさがありません。終盤までの心理劇が秀逸で自分好みなだけに、個人的にはラストシーン残念でした。


おすすめ度★★★☆☆ 
ちょっとねちねちした心理劇を観たい人におすすめ

さて、次回ですがヒッチコックに一息ついて、JEMINI-Bさんお勧めの”第三の男”を鑑賞します。一回観てるはずなんですけどねぇ、記憶が・・・。

断崖 (トールケース)断崖 (トールケース)
ケイリー・グラント アルフレッド・ヒッチコック ジョーン・フォンテイン

アイ・ヴィー・シー 2004-02-25
売り上げランキング : 31,816
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
よろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 23:50| 埼玉 ☁| Comment(5) | TrackBack(3) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月19日

#0045『知りすぎていた男』アルフレッド・ヒッチコック監督 1956年アメリカ

The Man Who New Too Much.jpg”The Man Who Knew Too Much”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原案: チャールズ・ベネット Charles Bennett
    D・B・ウィンダム=リュイス D.B. Windham-Lewis
脚本: ジョン・マイケル・ヘイズ John Michael Hayes
    アンガス・マクファイル Angus MacPhail
撮影: ロバート・バークス Robert Burks
作詞作曲: レイ・エヴァンス Ray Evans
    ジェイ・リヴィングストーン Jay Livingston
音楽: バーナード・ハーマン Bernard Herrmann
出演: ジェームズ・スチュワート James Stewart(ベン)
    ドリス・デイ Doris Day (ジョー)
    ラルフ・トルーマン Ralph Truman (ブキャナン警視)
    ダニエル・ジェラン Daniel Gelin (ルイ・ベルナール)
    クリス・オルセン
    ブレンダ・デ・バンジー Brenda de Banzie
    キャロリン・ジョーンズ Carolyn Jones



マラケシュでの休暇にむかうバスの中で、マッケナ医師夫妻はルイ・ベルナールという男と知り合う。夫妻はルイとディナーの約束をするが、直前でルイにキャンセルされてしまい二人でレストランに向かう。そこで、ドレイトン夫妻と知り合って意気投合し翌日一緒に市内観光に出かける。市場を見学している最中に突然騒ぎが起こり、一行は現地人と思しき男がナイフで背中を刺される現場を目撃。刺された男は現地人に偽装したルイ・ベルナール。実は情報局員であったルイは、死ぬ間際マッケナに大物政治家暗殺の情報を託す。ドレイトン婦人に一人息子のハンクを預け、目撃者として警察に行くマッケナ。警察署内で証言中に何者かから電話があり、ハンクを死なせたくなければなにもしゃべるなと言う・・・・・。

前回レビューした1934年の”暗殺者の家”をヒッチコック自身がリメイクした50年代ヒッチコック映画の傑作。主演にジェームズ・スチュアートを配してキメにきてますねぇ。相手役はドリス・デイ。この二人は本当に絵になります。ジェームズ・スチュアートは言わずもがなのヒッチコック映画の顔。ケイリー・グラントと並ぶ二枚看板ですね。豊かな感情表現がポイントのときはジェームズ・スチュアート、軽快なユーモアがポイントのときはケイリー・グラントと使い分けていたそうです。

ジェームズ・スチュアートについては言うまでもありませんが、この作品主役はなんといってもドリス・デイです。私はジャズが好き(ちなみにジャズも4・50年代しか聴きませんが)なものですから、ドリス・デイは女優としてよりもセンチメンタル・ジャーニーに代表されるジャズシンガーとしてインプットされていましたが、この作品では誘拐されたわが子を思う気持ちがぐっと切実に表現されてすばらしい演技。俳優としても一流であることを知りました。教会の前やアルバート・ホールで、心配のあまり居ても立ってもいられなくなってウロウロするシーンが妙に印象に残ります。役柄でも観察が鋭く頭脳明晰でしかも元人気歌手ということで、ちょっとのんきなマッケナ医師との夫婦関係は妻優位という感じでしたが、演技の面でもジェームズ・スチュアートと渡り合って遜色なく、というか逆に食っていたと感じましたね。

さて、今回オリジナルとリメイクを続けてみた”The Man Who Knew Too Much(原題)”ですが、ドラマとしては、リメイク版の”知りすぎていた男”の方が面白かったと思います。巻き込まれるまでの経緯や夫婦の描写、アルバート・ホールのシーンの描きこみ度合いなど、ドラマを作る手練手管に圧倒的な違いがありますよね。ヒッチコック本人も「”暗殺者の家”は何がしかの才能のあるアマチュアが作った映画、”知りすぎていた男”はプロが作った映画」と言っていますが、確かにそれだけの完成度のちがいはありそうです。さすがに22年の年月は伊達じゃありません。

ただし、ピーター・ローレファンの私としては、”知りすぎていた男”にピーター・ローレに匹敵する悪役がいなかったのが少し残念でした。悪事を引き起こして主人公を巻き込み、追いつ追われつを演じて、最後には”立派な”最後を遂げる「一本筋の通った悪役」としてピーター・ローレは非常に魅力的でした。それに比べて、”知りすぎていた男”の悪役で一番前面に出ている男は実は人に使われている身で今ひとつ”悪役の貫禄”に欠けるし、本当の黒幕は少ししか出てこず"立派な最後”も遂げません。そういう意味ではヒッチコックには珍しく、「キャラの立った悪役が見当たらない。でも面白かった映画」という感じでしょうか。

ともあれ、この作品良いです。文句なしです。星5つ★★★★★

次回は、また年代順に戻って、サボタージュ。なんだかヒッチコック監督この作品については後悔がいっぱいのようですが・・・




知りすぎていた男
B000BIX8JQジェームス・スチュアート アルフレッド・ヒッチコック ドリス・デイ

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2005-12-23
売り上げランキング :

おすすめ平均star
star夫婦愛

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
よろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 23:48| 埼玉 ☀| Comment(4) | TrackBack(3) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月09日

#0042『欲望という名の電車』エリア・カザン監督 1951年アメリカ

streetcar.jpg”A STREETCAR NAMED DESIRE”

監督: エリア・カザン Elia Kazan
製作: チャールズ・K・フェルドマン Charles K. Feldman
原作: テネシー・ウィリアムズ Tennessee Williams
脚本: テネシー・ウィリアムズ Tennessee Williams
    オスカー・ソウル Oscar Saul
撮影: ハリー・ストラドリング Harry Stradling Sr.
音楽: アレックス・ノース Alex North
 
出演: ヴィヴィアン・リー Vivien Leigh
    マーロン・ブランド Marlon Brando
    キム・ハンター Kim Hunter
    カール・マルデン Karl Malden
    ルディ・ボンド Rudy Bond
    ニック・デニス Nick Dennis
    ペグ・ヒリアス Peg Hillias
    ライト・キング Wright King
    リチャード・ガリック Richard Garrick


「わたしいつも見ず知らずの方のご好意に頼ってきましたの」

田舎町オリオールからニューオーリンズに住む妹ステラを頼ってきたブランチ。実は、夫を亡くしたショックから身をもちくずし、17歳の少年を誘惑したことで追われるように故郷を出てきた。大荘園の娘だったブランチはことごとに上品ぶった態度をとるが、ステラの夫スタンレーはそれが我慢できない。粗暴で猜疑心の強い彼はオリオールでのブランチの行状を調べ上げ、精神的に彼女を追い詰めていく。

テネシー・ウィリアムズの同名戯曲の映画化。1947年にはブロードウェイ舞台劇として上演されており、ブロードウェイ史上最高のヒット作として高い評価を得ました。本作はこの舞台劇の演出家を務めたエリア・カザンを監督に迎えて製作されています。

アンナ・カレニナ”、”哀愁”、”美女ありき”とヴィヴィアン・リーを追いかけていますが、悲劇のヒロインとしての壮絶な演技と彼女の実生活がダブってしまい感情移入しすぎることが多々あります。特にこの作品は、結核と躁鬱病にさいなまれていたまさにその時期に、スタンレーによって追い詰められ狂気に陥るブランチの役を演じたわけで、そう思うとどうしても容色も衰えたヴィヴィアン・リーの姿もつらく、追い詰めるマーロン・ブランド演じるスタンレーにも生理的な嫌悪感を感じてしまって、観たくない(観るのがつらすぎる)映画として自分の中では位置づいてしまっているのです。

が、そういう”ヴィヴィアン・ファンクラブ”的な感情はさておいて観直すと、特に俳優の演技という面で非常に優れた映画であることは間違いありません。

主要キャスト4名(ブランチ役のヴィヴィアン、ステラ役のキム・ハンター、その夫スタンレー役のマーロン・ブランド、ブランチに結婚を申し込むスタンレーの友人ミッチ役のカール・マルデン)のうち、ヴィヴィアン以外の三名はブロードウェイ舞台劇で同じ役を演じています。

三人とも有名なアクターズ・スタジオ(夜中にNHKでアクターズ・スタジオ・インタビューという番組をやっていますがそのアクターズ・スタジオですね)の出身。アクターズ・スタジオでは”メソッド”と呼ばれる演技法をとっていますが、これは演技に形から入るのではなく内なる感情の吐露としての演技を求めるということのようです。より自然体に近い演技を求めるわけですが、”切れる”ブランドは当然のことながら、過去を知ったミッチがブランチをなじるときのマルデンの演技や、殴られて家を飛び出した後にスタンレーの元に戻るときのステラ役キム・ハンターの演技などはまさに感情の爆発。すさまじいの一言に尽きます。

かたや、ヴィヴィアン・リーは映画と同じく舞台にも情熱を傾けた女優で、”欲望という名の電車”のロンドン公演でブランチの役を演じています。ロンドン版は夫ローレンス・オリヴィエが演出を行っていたわけで、オリヴィエといえば現代最高のシェイクスピア役者といわれる人。当然ヴィヴィアンも演技の面でオリヴィエの影響を受けていたであろうと思われます。

結果、この4名の競演は強烈な演技合戦となるわけですが、アクターズ三人組と伍してもヴィヴィアンの演技はまったく引けをとりません。目の表情、首の傾げ方、歩き方から指先の使い方まで、筋金入りの”悲劇の達人”。アカデミー主演女優賞も当然!と思わせてくれます。(アカデミー賞といえば、この4人の中でマーロン・ブランドだけとれなかったんですね。やっぱり、あんまりいやな奴ぶりがリアルすぎたんでしょうか・笑)

久々に観なおしてみてこの映画のすばらしさに改めて気づいたということで、
評価は星5つ★★★★★ すばらしい


さて、ヴィヴィアン・ファンクラブとしては当然”風と共に去りぬ”を観なければいけないのですが、1月いっぱい銀座でロードショーがかかってるんですよ(⇒こちらを参照)。実は随分昔、子供のころに映画館で観た事があり、そのときはとにかく長いのに閉口してタラの炎上シーンくらいしか記憶にのこらなかったのです。当然その後、テレビやDVDで何度も観てはいるのですが、もう一度ぜひ映画館で観て、どのくらい感じ方が変わったかを確かめたいと思い本業のスケジュールを調整中です。

ということで、”風と共に去りぬ”はいつになるかわからないので、いったんヴィヴィアン・リーから離れて”アフリカの女王”を観てみたいと思います。実はこの映画、今回のマーロン・ブランドを破ってアカデミー主演男優賞を獲得。獲得したのはハンフリー・ボガート(ひさびさ^^)。”いやな奴No.1”とはいえマーロン・ブランドはインパクト抜群でしたので、彼を上回ったボギーの演技をぜひ鑑賞したいと思います。

欲望という名の電車 オリジナル・ディレクターズカット欲望という名の電車 オリジナル・ディレクターズカット
ビビアン・リー テネシー・ウィリアムズ エリア・カザン

ワーナー・ホーム・ビデオ 2005-11-25
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 00:23| 埼玉 ☁| Comment(4) | TrackBack(4) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月31日

#0040『哀愁』マーヴィン・ルロイ監督 1940年アメリカA

waterloo bridge.jpg  
”WATERLOO BRIDGE” 

  監督: マーヴィン・ルロイ Mervyn LeRoy
  製作: シドニー・フランクリン Sidney Franklin
      マーヴィン・ルロイ Mervyn LeRoy
  原作: ロバート・E・シャーウッド Robert E. Sherwood
  脚本: S・N・バーマン S.N. Behrman
      ハンス・ラモウ Hans Rameau
      ジョージ・フローシェル George Froeschel
  撮影: ジョセフ・ルッテンバーグ Joseph Ruttenberg
  音楽: ハーバート・ストサート Herbert Stothart
  出演: ヴィヴィアン・リー Vivien Leigh
      ロバート・テイラー[俳優] Robert Taylor
      マリア・オースペンスカヤ Maria Ouspenskaya
      ルシル・ワトソン Lucile Watson
      ヴァージニア・フィールド Virginia Field
      レオ・G・キャロル Leo G. Carroll

    
ネタバレ注意

「私は彼女を捜し続ける。だが見つかることはない・・・」    

第一次大戦下、公演でロンドンを訪れているバレリーナのマイラ。空襲を逃れて避難した防空壕で陸軍大尉ロイと親しくなり恋に落ちる。ロイの休暇はわずか二日間。その間に結婚しようとする二人だが、わずかなタイミングで式をあげることができず、ロイは緊急召集で前線へと呼び戻されていく。バレエの公演よりロイとの別れの時間を優先したマイラはバレエ団を解雇され、親友キティとともに新しい生活を送ろうとするが仕事は見つからない。苦しい生活を続ける彼女の元にロイ戦死の報せが届くが・・・。

10年ぶりで観ました。何回目でしょう。さすがにこの映画は主要なシーンとか台詞をよく覚えていました。隅々まで覚えているといってもいいくらい。わかっていてもやっぱり感動するんですよね。いい映画です。

マイラ役のヴィヴィアン・リーはこのとき27歳。前年の39年には”風と共に去りぬ”で、スカーレット・オハラを演じてアカデミー主演女優賞を受賞。ローレンス・オリヴィエとの熱愛さなかでもあり、彼女の絶頂期といえます。幸せそうに笑う表情や不幸のどん底で涙する表情など、とにかく感情表現が豊かですばらしい。ラスト近くの橋の上で魂の抜け殻のようにたたずむ彼女が、徐々にある決意に向かっていくときの表情の変化は必見。

前回レビューの”アンナ・カレニナ”のヒロイン・アンナと同じくマイラも罪の意識にさいなまれて悲劇の運命をたどるわけですが、アンナの場合はあくまで自分の意思でとった行動に対する罪悪感。ほかの選択肢もあったのではないかと思います。

一方マイラの場合は、もちろん自分の意思もあるのですが、本人がいかんともし難い運命のいたずらによって追い詰められていきます。それだけに、幸せを求める気持ちと罪悪感のはざ間で葛藤するマイラの姿は悲しい。ついにロイの母親に真実を告白してロイの元を去っていく、その姿を観ている側も彼女の心情にシンクロして涙してしまうわけです。ああかなし。ああかなし。

ロイを演ずるのはロバート・テイラー。甘い二枚目ぶりがお金持ちの坊ちゃんにぴったりですね。このロイ・クローニン大尉、とにかく自分の感情にストレートで鈍感でのんき。マイラがどれだけ苦しんでいてもまったく気づかず一人舞い上がっているところが観ていてやきもきするわけですが、こののんきさとの対比でヴィヴィアン・リーの迫真の演技がより冴えわたるかと思えばそれもまた良しです。

ということで、評価はもちろん星5つ★★★★★

※この作品は、コスミック・キープ・ファーストトレーディングの3社から500円DVDが発売されています。画質・音質に特に問題はないようです。

次回は、”哀愁”を買いに行って見つけた”美女ありき”。ヴィヴィアン・リー&ローレンス・オリヴィエ。夫婦で主演の1940年の作品です。




POSTER



banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 11:57| 埼玉 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月16日

#0036『そして誰もいなくなった』ルネ・クレール監督 1945年アメリカ

AND THEN THERE WERE NONE.jpg”AND THEN THERE WERE NONE”

監督: ルネ・クレール Rene Clair
原作: アガサ・クリスティ Agatha Christie
脚本: ルネ・クレール Rene Clair
    ダドリー・ニコルズ Dudley Nichols
撮影: ルシアン・アンドリオ Lucien Andriot
音楽: チャールズ・プレヴィン Charles Previn
出演: バリー・フィッツジェラルド Barry Fitzgerald
    ウォルター・ヒューストン Walter Huston
    ルイス・ヘイワード Louis Hayward
    ローランド・ヤング Roland Young
    ジューン・デュプレ
    ミシャ・オウア Mischa Auer
    C・オーブリー・スミス C. Aubrey Smith
    リチャード・ヘイドン Richard Haydn
    ジュディス・アンダーソン Judith Anderson


予定では、フェリーニの”甘い生活”ですが、機会があって本作を観ましたのでレビューアップしておきます。

アガサ・クリスティ原作の傑作ミステリの映画化ですね。ストーリーを語るまでも無いほど有名ですのではしょろうかと思いましが・・・。

孤島の館に招待された10人の客がリトル・インディアンの童謡にになぞらえて一人、また一人と殺されていく。いったい犯人は誰なのか???

ということで、二行だけストーリー紹介。

ルネ・クレールが戦争を避けてハリウッドに渡って撮った4作品のうち最後の1本。アメリカへの置き土産ですか。ルネ・クレールの映画は他に観たことが無いので、ジャストこの一本でコメントしますが・・・・。

ええっとですね、この作品、、、面白くないです。スミマセン。残念ながら。
姿の見えない殺人者に一人ずつ殺されていくんですから、次は誰か?今度はどんな方法か?やったのは誰か?犯行が進むにつれて登場人物の心理はどう変わっていくのか・・この辺でちゃんと盛り上げてくれないとねぇ。最近、ずっとヒッチコックを観ていたので余計かもしれませんが、あまりにも、、あまりにも淡白すぎます。はい次、はい次という感じで全然ドキドキしなかったのでした。

いろいろ参考文献を見る限り、ルネ・クレールの持ち味は軽いウィットにとんだってそういう感じですか?確かに、みんなで鍵穴を覗きあったりしてるあたり面白くはあるのですが。なにも、こんな密室連続殺人劇を選ぶ必要も無いのに、というのが正直な思い。なんでこの題材を選んだのかと、それが一番興味がありますね。

以上、評価はごめんなさいの星ふたつ★★☆☆☆ クレールファンの皆さんあしからず^^;

本来のルネ・クレールらしい作品をちゃんと観てみたいと思います。


にほんブログ村 映画ブログへよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 23:55| 埼玉 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月14日

#0034『私は告白する』アルフレッド・ヒッチコック監督 1953年アメリカ

iconfess.jpg”I Confess"

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: バーバラ・ケオン
原作: ポール・アンセルメ Paul Anthelme
脚本: ウィリアム・アーチボルド William Archibald
    ジョージ・タボリ George Tabori
撮影: ロバート・バークス Robert Burks
音楽: ディミトリ・ティオムキン Dimitri Tiomkin
    レイ・ハインドーフ Ray Heindorf
 
出演: モンゴメリー・クリフト Montgomery Clift
    アン・バクスター Anne Baxter
    カール・マルデン Karl Malden
    O・E・ハッセ O.E. Hasse
    ドリー・ハス Dolly Haas
    ブライアン・エイハーン Brian Aherne
    チャールズ・アンドレ Charles Andre


【ネタバレ気味です。ご注意!】

教会の使用人ケラーは、金銭トラブルからビレットを殺害。恩人であるローガン神父にその顛末を懺悔します。ケラーが僧衣をまとって殺人を行ったことから警察の捜査はローガンの身辺に及びますが、実はローガン自身レビットとは因縁浅からぬ間柄。アリバイを証明することができないために殺人容疑者として裁かれることになるローガンですが、カトリックの戒律により懺悔で聞いた話は絶対に他言できません。真犯人を知っていながらそれを告げることができないまま、裁判は進み・・・。

く・・・暗い。ケベック州の重苦しい町並みに重厚な教会の建物。そして何よりモンゴメリー・クリフトの演技。デビュー作の”赤い河”ではジョン・ウェイン相手に火の出るような殴り合いを見せてくれたモンゴメリー・クリフトですが、本作ではとにかく直立不動。歩いても話してもまっ四角という感じで終始一貫表情すら変わりません。カトリックの神父という役柄もあるのでしょうが、ヒッチコック映画の中でも異例の暗さじゃないかと思います。しかもヒッチコックらしいユーモアもない(冒頭の道路標識くらいかな)のでかなり重苦しい雰囲気。

その、モンゴメリー・クリフト扮するローガン神父ですが、殺人犯の濡れ衣を着せられるという状況にもかかわらず、とにかくしゃべりません。「沈黙により深まるサスペンス」というんでしょうか。見ているこちらは、果たして彼は真相をしゃべるのか、もししゃべらないのならどうやってこの危機を脱するのか、その一点に意識が集中します。映画の中に他にアソビがない分集中も高まります。ラストは書けませんが、「そうきたか」と言う感じでふぅっとためていた吐息が漏れてしまいました。

今まで観てきたヒッチコック作品では、巻き込まれた主人公は、とにかくそれから逃げよう、もしくは反撃しようとするわけですが、ローガン神父の場合巻き込まれた事件そのものにかなり深く関わっています。しかも、それは同時に大切な人を守ることにもなっているわけで、こうなってくると戒律が理由で黙っているのか、大切な人を守るために黙っているのか、それとも罪の意識からなのか、いくつもの見方が頭をよぎります。

この映画、賛否両論かなり幅のある作品のようで、モンゴメリー・クリフトの硬い演技に不満を唱えるレビューもかなりあるようです。が、このまったく愛想のない神父が頑なに口を噤むからこそ、さまざまな複線が生き想像が膨らむわけで、そういう意味ではモンゴメリー・クリフトは鬼気迫る名演・・・・なのかもしれません。

彼については、同性愛とかアルコール中毒であったとか、後の事故と顔面麻痺の件などどうもネガティブな話題が頭に入っているので、ちょっと割引き気味に観てしまうのですが、どちらにしてもこの映画はモンゴメリー・クリフトの映画であることは間違いなさそうです。

相手役のアン・バクスターには今ひとつ入り込めませんでした。”見知らぬ乗客”のルース・ローマンを見たときも感じたのですが、なんか役柄にそぐわない違和感を感じます。いい女優さんだと思うんですけどね。前回レビューした”北北西に進路を取れ”のエヴァ・マリー・セイントや"ダイヤルMを廻せ!”のグレース・ケリーのような作品を引っ張る存在感が感じられません。

ルース・ローマンとアン・バクスターに共通するのは・・・製作会社から押し付けられた女優さんということ。ヒッチコック監督やる気なくしちゃうんでしょうか(笑)。もともとは、ブロンドのスウェーデン女優を使いたかったようですが、イングリッド・バーグマンのロッセリーニ事件があったために製作会社からキャンセルされてしまったそうです。アン・バクスターをブロンドにしちゃったのはその腹いせですかね(笑)

評価は星4つ★★★★☆

さて、次回ですが、手元のヒッチコックDVDを全部観たのでヒッチコックシリーズはいったんおいてヨーロッパ映画に行ってみたいと思います。持っているDVDを眺めて、どれにしましょう・・・・フェリーニの”甘い生活"1960年の作品ですね。これにしてみましょうか。

ヒッチコックはまだまだ大所でレビューしてないものも多数ありますので、順次加えていきたいと思います。


banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

B0002QY0XU私は告白する 特別版
モンゴメリー・クリフト ポール・アンセルム アルフレッド・ヒッチコック

ワーナー・ホーム・ビデオ 2004-10-15
売り上げランキング : 6,620
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



アクセス解析
posted by FROST at 09:06| 埼玉 ☔| Comment(5) | TrackBack(3) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月13日

#0033『北北西に進路を取れ』アルフレッド・ヒッチコック監督 1959年アメリカ

North by Northwest.jpg

”North by Northwest”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
脚本: アーネスト・レーマン Ernest Lehman
撮影: ロバート・バークス Robert Burks
音楽: バーナード・ハーマン Bernard Herrmann
タイトルデザイン: ソウル・バス Saul Bass
 
出演: ケーリー・グラント Cary Grant
    エヴァ・マリー・セイント Eva Marie Saint
    ジェームズ・メイソン James Mason
    ジェシー・ロイス・ランディスJessie Royce Landis
    マーティン・ランドー Martin Landau
    レオ・G・キャロル Leo G. Carroll
    エドワード・ビンズ Edward Binns
    ロバート・エレンスタイン Robert Ellenstein


カプランという男と間違われて誘拐されてしまった広告マン、ロジャー・ソーンヒルは、謎の人物タウンゼントからある仕事への協力を要請される。そして、人違いが判明すると今度は泥酔運転に見せかけて殺されそうになる。窮地を脱したロジャーは、翌日、真相を確かめようと国連ビルへ赴くが、そこに現れたタウンゼントは全くの別人だった。そして、タウンゼントの背中にナイフが突き立てられ、容疑はロジャーにかかってしまう……。(allcinema)

「ラシュモア山でチェイスを撮りたい」。ヒッチコックのアイデアを実現するために作られた作品。ラシュモア山というのは、あの有名な大統領の顔が刻まれている山ですね。それにいたるストーリーを書き上げたのは、後に”ウエストサイド物語”や”サウンド・オブ・ミュージック”も手がける名脚本家アーネスト・レーマン。1959年度のアカデミー脚本賞にノミネートされましたが、惜しくも”夜を楽しく”のスタンリー・シャピロに敗れてしまいました。

アカデミー賞は獲得できなかったとは言え、非情にテンポの早い抜群に面白いストーリーで楽しめます。典型的な巻き込まれ→追っかけパターンに、謎のスパイ団や正体不明の美女。マイクロフィルムのマクガフィン、イニシャル入りのマッチや例のピストルなどの小物類も充実し、その上飛行機やトラックなどの大技も炸裂。スリル満点の凝ったシーンが満載で、さながらヒッチコックショーケースの趣です。ああ、そうだ列車内の追っかけっこもちゃんとありますよ^^。

今まで見てきたヒッチコック作品の中でもずいぶん洒落た感じがしますね。カラーがきれいということもあるでしょうね。時代を追ってヒッチコック作品を観てきているわけですが、これだけきれいなカラー作品ははじめてです。ヒッチコックは必ずしもカラーを取り入れるのに積極的では無かったようですが、駅の赤帽のシーンなどたくみに色使った印象的なシーンを作り上げているのはさすがです。

カラーでもうひとつ印象的なのは美しいブロンド。ヒロインのエヴァ・マリー・セイントにはちょっとくらくらきました。ヒッチコックはフェロモンがバンバン出るようなグラマラスな女性の魅力を否定し、上品さをヒロインの第一条件に挙げていますが、エヴァ・マリー・セイント扮するイヴは上品さの中にも妖艶なセクシーさが漂っており、まさに大人の女の風情(役柄では26歳なんですけどね)。本作の大人風のおしゃれな感じは、このエヴァ・マリー・セイントの存在感によるところ大です。ケーリー・グラントとの列車内のキスシーンは、多分手の表情にかなり凝っていると思いますが、きれいなブロンドの髪と相俟ってまさに絶品。”汚名”のバーグマンとグラントの有名なキスシーンにも匹敵する名場面です。

クライマックスのラシュモア山でのチェイスは「よく撮った」の一言に尽きますが、驚いたのはラストシーンへのつなぎ。内容を書けないのが残念ですが、今まで見たヒッチコック作品の中で最高のラストシーンです。

評価はもちろん星5つ★★★★★

予告編はこちら

さて、次回はいよいよ手持ちのヒッチコックDVD最後の一枚”私は告白する”。凛々しい神父モンゴメリー・クリフトに注目です。

にほんブログ村 映画ブログへ

北北西に進路を取れ
北北西に進路を取れアルフレッド・ヒッチコック ケーリー・グラント エバ・マリー・セイント

ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-04-14
売り上げランキング : 20951
おすすめ平均star


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


アクセス解析
posted by FROST at 01:27| 埼玉 ☔| Comment(13) | TrackBack(4) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月07日

#00310『復讐の谷』リチャード・ソープ監督 1951年/アメリカ

VENGEANCE VALLEY.jpg”VENGEANCE VALLEY”

監督: リチャード・ソープ Richard Thorpe
製作: ニコラス・ネイファック Nicholas Nayfack
原作: ルーク・ショート Luke Short
脚本: アーヴィング・ラヴェッチ Irving Ravetch
撮影: ジョージ・T・フォルシー
音楽: ルドルフ・G・コップ Rudolph G. Kopp
 
出演: バート・ランカスター Burt Lancaster
    ロバート・ウォーカー Robert Walker
    ジョン・アイアランド John Ireland
    ジョーン・ドルー Joanne Dru
    サリー・フォレスト Sally Forest
    ヒュー・オブライエン Hugh O'Brian



「尊敬する人のすべてを受け入れたい。その息子もだ。」

ストロビー牧場の経営者アーチに幼い頃拾われた孤児のオーウェンは、彼の息子リーのよき遊び相手兼後見役、また、牧童頭として見事期待に応えていた。リーは甘やかされて育ち、ギャンブル好きで甲斐性がなかったが、美しく聡明なジェーン(ドルー)と出会い結ばれて変わった、と自認していた。しかし、彼女の前につきあっていたリリー(フォレスト)を妊娠させた件ではまたもオーウェンに尻ぬぐいをさせ、彼に多大な迷惑をかけた。リリーの二人の兄たち(J・アイアランド、H・オブライエン)が彼を敵と付け狙っていたのだ。が、ジェーンは夫の告白を待たずとも、そのあやまちを察知しており、その無責任さを強くなじるのだった。オーウェンは以前から秘かに彼女を慕っていたが、今や彼女もその気持ちを汲み始めていた。これを妬んだリーは、父に共同経営を承諾させ、春になって運ぶ牛の売買の契約を勝手に決め、リリーの兄弟を間接的に自分のキャラバンに雇って、オーウェンの命を担わせるのだが……。(allcinema)

さて、ロバート・ウォーカー見たさに”見知らぬ乗客”から寄り道してきた、この”復讐の谷”、B級西部劇ですね。B級ものの良さは単純さ(それがうまいか下手かはともかく)だと思っているのですが、本作の登場人物は見事に全員わかりやすくて良いです(笑)

お目当てのロバート・ウォーカーは甲斐性なしで卑怯な牧場のドラ息子リー・ストロビー。”見知らぬ乗客”では、完璧な狂人を演じきったウォーカーですが、本作の卑怯者ぶりも実に堂に入ってます。言い訳する、策略はめぐらす、裏取引はする、逆恨みする、開き直る、最後の最後まで1本スジの通った卑怯者ぶりに拍手喝さい。しかし、この人はこれが地なんじゃないかというくらいに悪役がはまりますね。

対する、バート・ランカスターは、義理と人情に厚い西部の男オーウェン。孤児だった自分を拾って育ててくれたアーチ・ストロビーを尊敬し、ことごとくドラ息子リーを庇っています。こちらも一徹で、私生児の件でリリーの兄たちに命を狙われてもぶれる事なくかばい続けます。やっぱり、男は(女も)「けじめ」が大切です(痛感)。バート・ランカスターはまだ本格的に演技派として開眼する前ですかね。本作の時期、ハリウッド・システムに納得できずに独自プロダクションを構えていたということです。歯をむいて牛泥棒を問い詰めるあたり、かなり演技に熱がこもっています。

リーの妻ジェーンですが、以前レビューした”赤い河”でジョンウェインとモンゴメリー・クリフトの間に入って勝気な才女を演じたジョーン・ドルー。いやー、こんなところで再会できるとは何と言う幸運。”赤い河”から3年ですがちょっとやせて容色衰えたかなと言う感じながら、気の強さは相変わらず。西部一ビンタが似合う女ですよ。認定しました。

ストーリー/演出は可もなく不可もなくと言う感じですが、この3人に、笑える超単細胞ファスケン兄弟(J・アイアランド、H・オブライエン)がからんで、結構ドラマとしては楽しめました。意外と気に入ったかも。

ということで、評価は星4つ★★★★☆


次回はヒッチコックに戻って、1959年の”北北西に進路を取れ”です。


☆ちなみに、この作品はPDクラシックという380円のDVDで観ました。それ以外、DVDのリリースはなし。VHSがありますが在庫切れです。PDクラシックシリーズは、他の500円DVDシリーズとは一線を画したマイナー作品志向が結構魅力的で驚くような作品がリリースされています。また、アークエンジェル方式というリメイク処理を施していますので、値段の割りに画像がクリアです。(→こちらを参照)(ただし、本作はオリジナルの状態がかなり悪いようでリメイク処理を施しても画像はいまひとつ)

banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 23:54| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月04日

#0030『見知らぬ乗客』アルフレッド・ヒッチコック監督 1951年アメリカ

Strangers_on_a_train_1.jpg”STRANGERS ON A TRAIN”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: パトリシア・ハイスミス Patricia Highsmith
脚本: レイモンド・チャンドラー Raymond Chandler
    チェンツイ・オルモンド Czenzi Ormonde
撮影: ロバート・バークス Robert Burks
音楽: ディミトリ・ティオムキン Dimitri Tiomkin
 
出演: ファーリー・グレンジャー Farley Granger(ガイ)
    ロバート・ウォーカー Robert Walker(ブルーノ)
    ルース・ローマン Ruth Roman(アン)
    レオ・G・キャロル Leo G. Carroll(モートン上院議員)
    パトリシア・ヒッチコック Patricia Hitchcock(バーバラ)
    ローラ・エリオット Laura Elliot(ミリアム)
    マリオン・ローン
    ジョナサン・ヘイル Jonathan Hale




ニューヨークへ向かう列車の中で出会ったガイ・ヘインズとブルーノ・アントニー。テニス・プレイヤーのガイは身持ちの悪い妻と別れて上院議員の娘アンと再婚しようとしているがうまくいかない。そんなガイのゴシップを知っていたブルーノは列車の中でガイに交換殺人を提案する。冗談だと思い軽くあしらって列車を降りたガイだが、ブルーノは本当にガイの妻を殺害し、ガイに約束の履行を要求する・・・。

1946年の”汚名”以降、4作品(”バラダイン夫人”、”ロープ”、”山羊座のもとで”、”舞台恐怖症”で興行的に失敗したヒッチコックの起死回生の一作。かなり周到に製作されたようで、出だしとラストシーンが異なる二つのバージョンを用意してアメリカとイギリスで公開しています。TUTAYAでレンタルしてきたDVDには両バージョンとも収録されており、アメリカ版のみに収録された有名な「聖職者のオチ」も見ることができました。

一方的に交換殺人を実行する狂った男と何とか逃れたい主人公。ストーリーが秀逸な作品ですが、原作はパトリシア・ハイスミス。脚本はレイモンド・チャンドラー(”三つ数えろ”)とチェンツイ・オルモンドの二人がクレジットされていますが、実際はチャンドラーとヒッチコックの協働がうまくいかず途中からオルモンドに交代したようです。実は、最初ヒッチコックは脚本をダシール・ハメット(”マルタの鷹”)に依頼しようとしたらしいのですが、ハメットの秘書のスケジュールミスにより実現しなかったというエピソードが残っています。ミステリファンには実に豪華なシナリオ陣でため息が出るばかりです。

なんといっても不気味でかつ印象的なのは、狂人ブルーノを演じたロバート・ウォーカーの怪演。ガイの妻を殺害した後、約束の履行を迫って徐々にガイの人間関係の中に入り込んでくる様が不気味な挙動を通して実に恐ろしく描かれています。有名なテニス観客席で一人だけボールを追わずじっとガイを見つめているブルーノの姿。久しぶりに見ましたがやっぱり怖いです。(下記リンクの予告編で見ることができます)

狂人ブルーノの目元が妙に優しげというか、涼しげというか、そこが異常な行動とのアンバランスで不気味さを増しているように思えるのですが、”澄んだ瞳の狂人”って他のヒッチコック作品にもいたような気がして思い出せないんですよね。”白い恐怖”のグレゴリー・ペック? うーん・・。ちょっと今まで見てきたヒッチコック映画で思い当たるものを見返してみようかと思います。

このブルーノ役のロバート・ウォーカーが妙に気になって、調べてみたのですがジェニファー・ジョーンズ(終着駅、慕情など)の元夫だったのですね。ジェニファーが有名になるにつれて夫婦仲はうまくいかなくなり離婚したようです。彼女との間にもうけた二人の息子も俳優になったものの大成はしなかったようです。ロバート・ウォーカー自身もかなり情緒不安定だったようで、本作が撮られたまさに1951年に睡眠薬の過剰摂取により急逝しています。

”疑惑の影(1942)”
のジョセフ・コットン、”汚名(1946)”のクロード・レインズ、そして”見知らぬ乗客”のロバート・ウォーカーの三人がヒッチコック映画の悪役ベスト3とトリュフォーは評価していますが、その中でも異常さにおいてはロバート・ウォーカーがダントツ。名優による上質のサイコ・サスペンスを十分愉しむことができました。

予告編はこちら

ということで、評価は星5つ★★★★★


さて次回ですが、ヒッチコックを一回お休みしてロバート・ウォーカーが同じ1951年に出演した西部劇”復讐の谷”にいってみたいと思います。バート・ランカスターとの共演でウォーカーの違う一面が見れるだろうと楽しみです^^

banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

アクセス解析

posted by FROST at 23:48| 埼玉 ☔| Comment(6) | TrackBack(2) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月03日

#0029『舞台恐怖症』アルフレッド・ヒッチコック監督 1950年/アメリカ

stagefright_1.jpg"Stage Fright"

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: セルウィン・ジェプソン
脚本: ウィットフィールド・クック Whitfield Cook
撮影: ウィルキー・クーパー Wilkie Cooper
音楽: レイトン・ルーカス
 
出演: マレーネ・ディートリッヒ Marlene Dietrich (シャーロット)
    ジェーン・ワイマン Jane Wyman (イヴ)
    リチャード・トッド Richard Todd (クーパー)
    アリステア・シム
    ケイ・ウォルシュ Kay Walsh
    パトリシア・ヒッチコック Patricia Hitchcock



「怖い人」「お前は本当の恐怖を知らない」

夫を殺してしまったシャーロット(ディートリッヒ)は恋人のクーパーに助けを求める。彼女のために、ドレスをとりに行ったクーパーは現場を偽装している最中たまたま戻ったメイドに見つかり逃亡。殺人犯として警察に追われることになる。クーパーを匿う友人のイヴ(ワイマン)と父親は何とかクーパーの濡れ衣を晴らそうとシャーロットに接近するのだが・・・。

1950年にヒッチコックがイギリスで撮影したイギリス的推理ドラマ。トリュフォーには「ヒッチコックのキャリアの汚点」とまで酷評されてます(from「定本・映画術」)ヒッチコックも否定していませんね。理由は、ヒッチコックが最も嫌う”フーダニット(犯人探し)”の形式をとっていることと、悪役が全くなっていないということ。それともうひとつが冒頭のクーパーの回想シーンに関してですが、これは書くと本作を見る価値がなくなるくらい完全にネタバレしますので伏せておきます。

ということであまり評判のよろしくない作品ですが、個人的にはこの映画結構楽しめましたよ。役者志望のイヴはメイド・ドリスに化けてシャーロットに近づくわけですが、平行してクーパーを追う刑事スミスとも近しい関係になります。クーパーを追ってシャーロットの元を訪れるスミス。ドリスとしてそばで仕えるイヴが間一髪で正体を隠しおおせるくだりや、ラストシーンの劇場のオーケストラピットの暗闇で真相が明らかになっていくシーンではイヴとクーパーの目と手のクローズアップが劇的に真相と絡み合っており、ヒッチコック作品として十分見ごたえのあるつくりだったと思います。

stagefright_2.jpg私としては、この作品で一番楽しみにしていたのはマレーネ・ディートリッヒ。当ブログでは”間諜X27”についで二回目の登場です。1901年生まれですからこの作品のときはすでに49歳で孫もいたんですよね。しかしとてもそんな年齢には見えない美しさにはただただ唖然。堂々たる悪女ぶりに拍手喝采です。クローズアップ、全身ショット、歌うシーンも複数有りヒッチコックとしてもかなり気を使って演出をしたのかなと感じさせます。定本・映画術にはディートリッヒに関するコメントはないようですが、ヒッチコックが彼女をどう見ていたのか知りたいですねぇ。残念。


評価は星3つ★★★☆☆(確かにあの回想シーンのオチはちょっとねってことで)

1949年〜1950年のイギリスに帰国しての映画づくりはあまりうまくいかなかったようですが、翌51年には再びアメリカで傑作”見知らぬ乗客”を撮っていますね。次回はその”見知らぬ乗客”に参ります。


banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 23:43| 埼玉 ☁| Comment(4) | TrackBack(3) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月28日

#0027『ロープ』アルフレッド・ヒッチコック監督 1948年アメリカ

”Rope”

rope_1.jpg監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: シドニー・バーンスタイン
    アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: パトリック・ハミルトン Patrick Hamilton
脚本: アーサー・ローレンツ Arthur Laurents
潤色: ヒューム・クローニン Hume Cronyn
撮影: ジョセフ・ヴァレンタイン Joseph Valentine
    ウィリアム・V・スコール William V. Skall
音楽: レオ・F・フォーブステイン Leo F. Forbstein
 
出演: ジェームズ・スチュワート James Stewart
    ファーリー・グレンジャー Farley Granger
    ジョン・ドール John Dall
    セドリック・ハードウィック Cedric Hardwicke


ネタバレ気味ですのでご注意ください。

「殺人はすぐれた少数のものに与えられた特権さ」「被害者は劣ったものだから、その人生は重要ではない」

ブランドンとフィリップの二人は、自らの優秀性を証明するために、昔の寮仲間デイヴィッドを絞殺。その死体をチェストに隠し、それを食卓としてパーティーを開く。招待客は死んだデイヴィッドにゆかりの人たちばかり。パーティが始まり、団欒を愉しむメンバーだが、徐々にその場にいないデイヴィッドに関する疑問が膨らんでいき・・・。

ヒッチコック映画の中でも異彩を放つ超長回し映画。どのくらい長いかと言うと、当時の撮影キャメラの限界である10分間を一気撮り。それゆえTMT(Ten Minute Take)と呼ばれています。しかも、フィルム交換の間をうまく工夫して全編1時間20分をワンカットであるかのように撮影するという前代未聞の作品になっています。最近、リアルタイムを売り物にした「24」が話題を呼びましたが、約60年前にそれよりもはるかにリアルタイムな作品を作っていたということで、やはり瞠目すべき作品だといえます。

rope_2.jpgそういう仕掛けの映画ですからストーリー展開には限界があるわけですが、冒頭の殺人以外は登場人物8人の会話だけで総てが進行します。限界がある分実にうまく構成されており、たとえばパーティにやってくる招待客の到着順。かつての寮仲間ケネス→デイヴィッドの婚約者ジャネット→デイヴィッドの父ケントリー氏と叔母→最後に、洞察力にすぐれた元寮監ルーパート。殺人事件を隠し通すことで自らの優秀性を証明したい二人にとって、徐々にプレッシャーが増していく到着順になっています。イコール観客にとっても一人到着するごとにサスペンスフルになってくるわけで、自信家ブランドンがスリルを高めるためにわざと招待した切れ者ルーパートの登場により舞台は完成。このあたりの持って行き方はさすが。

また、会話が重なるうちに唯一パーティ会場にいないデイヴィッドの存在感が徐々に増していく描写や、死体が隠されているチェストの上の食器などがメイドによって徐々に片付けられていくシーンなど、制限のある中で良くこれだけのことができるものだと、ヒッチコックの技にやっぱり今回も深く感心してしまうのです。


ということで、評価は星4つ★★★★☆


手元のヒッチコックDVDが残り二枚になりましたが、次は1950年の”舞台恐怖症”。なんと、マレーネ・ディートリッヒの登場です(^0^)

banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 02:40| 埼玉 ☀| Comment(0) | TrackBack(6) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月26日

#0026『汚名』アルフレッド・ヒッチコック監督 1946年アメリカ

”Notorious”

notorious_1.jpg監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: デヴィッド・O・セルズニック David O. Selznick
共同製作: バーバラ・ケオン
原案: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
脚本: ベン・ヘクト Ben Hecht
撮影: テッド・テズラフ Ted Tetzlaff
音楽: ロイ・ウェッブ Roy Webb
 
出演: ケーリー・グラント Cary Grant
    イングリッド・バーグマン Ingrid Bergman
    クロード・レインズ Claude Rains
    ルイス・カルハーン Louis Calhern


ネタバレ気味です。ご注意。

「やらせたいの?」「自分で決めろ」

ナチスパイ容疑をかけられた父親のため売国奴の娘と呼ばれたアリシアは酒と男遊びに浸っていますが、ある日FBI捜査官デブリン(グラント)が接近してきます。アリシアの昔の知り合いで、リオ・デ・ジャネイロの元ナチの武器商人セバスチャン(レインズ)の内情を探る協力を求められ、グラントと行動を共にします。アリシアはデブリンを愛するようになるのですが、調査は本格的な潜入捜査に発展。FBIは、アリシアにセバスチャンとヨリを戻したように偽装し、内部に入り込むことを求めます。デブリンを愛するがために任務の内容に苦悩するアリシアですが、デブリンは「やるかやらないかは君次第だ」の一点張り。彼の愛を確認できないアリシアは、半ば自棄になり任務を引き受けセバスチャンと結婚。ナチスの残党が集まるセバスチャンの屋敷で内偵を進めるのですが・・・。

ってストーリー、聞いたことありますね。トム・クルーズの”M:I−2”。”汚名”の影響を受けているらしいです。別に”M:I−2”を悪く言うつもりは全然ないんですよ。うちにDVDもありますしね。トム・クルーズのアクションがウリの映画としては十分楽しめるレベルだと思います。が、テーマの取り扱い方としては圧倒的に”汚名”の勝ちです。

セバスチャンとの親密な関係を前提とした任務に、就かせたくないのにやめろと言えないデブリンと、やりたくないのに止めてくれないから引き受けてしまうアリシアの意地の張り合いが観ていてもどかしいです。ですが、あっさり「僕だってやらせたくない!本当だ!」なんて叫んでしまう”M:I−2”と違い、アリシアはデブリンと心が通じない悲しみと疑心を抱えたまま任務に就くわけで、この背景があるために個々のサスペンスの要素がぐっと引き立ってきます。

この頃”ちょっとねちねちサイコな感じ”のヒッチコックを求めているのですが、この作品サイコ感はそうないもののアリシアとデブリンとセバスチャンの関係が実にねちねちいい感じです。愛情と疑心暗鬼が交錯する中、悪人の巣窟に潜入する美女、キーアイテムをめぐるサスペンス、ヒーローとヒロインのラブロマンスの紆余曲折とすべてがうまく絡まって言うことなし。その中でも、この映画の見所はラストの10分。悪者の屋敷の奥深くで危機に陥るアリシアを正面から乗り込んだデブリンがどうやって救い出すのか。極めて微妙なバランスで見事に物事が運んでいく、ヒッチコックの切れ味鋭い演出にため息をつく名場面でした。

notorious_3.jpgイングリッド・バーグマンはこれで、”カサブランカ””白い恐怖”→”汚名”と三本観ました。”カサブランカ”の時はその圧倒的な美しさで秒殺一本勝ちではあるものの演技ではこれといったものはなかったような気がします。しかし”白い恐怖”では理知的でクールな精神科医のキャラと、それなのに患者を愛してしまい苦悩する姿が素晴らしく記憶に残り、この”汚名”でさらに汚れ役(酒びたりだったスパイ)を美しく演じておりどんどん演技の幅が広がっていくのがはっきりわかりますね。素晴らしい。

ちなみに、悪役セバスチャン役は”カサブランカ”の警察署長ルノーを演じたクロード・レインズ。ちょっと情けなさげな悪役がうまいですよね。この作品でアカデミー助演男優賞にノミネートされました。


ということで、評価は星5つ★★★★★ 今まで見たヒッチコックで最高の一本。

次回は、あっと驚く長回し映画、1948年の”ロープ”。こちらもヒッチコックらしい名作です。


ヒッチコック作品には珍しく、DVDプレミアになってますね。
500円DVD(キープ社)も出ており、不満のない画質です。


banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 22:38| 埼玉 ☀| Comment(4) | TrackBack(3) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月24日

#0024『白い恐怖』アルフレッド・ヒッチ国監督 1945年アメリカ

Spellbound_1.jpg”Spellbound”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: デヴィッド・O・セルズニック David O. Selznick
原作: フランシス・ビーディング Fransis Beeding
脚本: ベン・ヘクト Ben Hecht
    アンガス・マクファイル Angus MacPhail
撮影: ジョージ・バーンズ[撮影] George Barnes
音楽: ミクロス・ローザ Miklos Rozsa
 
出演: イングリッド・バーグマン Ingrid Bergman
    グレゴリー・ペック Gregory Peck
    レオ・G・キャロル Leo G. Carroll
    ジョン・エメリー[役者]
    ウォーレス・フォード Wallace Ford
    ロンダ・フレミング Rhonda Fleming
    マイケル・チェコフ Michael Chekhov


「今の私は医者ではありません。でも私が感じていることを信じて。感性が正しいこともある。」

優秀な精神科医コンスタンス(バーグマン)が努める精神病院に新しい院長エドワーズ博士(グレゴリー・ペック)が赴任してきます。一目で恋に落ちるコンスタンスですがエドワーズ博士にはどうも不審な点が。コンスタンスの追求により、彼はエドワーズ博士ではなくその患者で自分をエドワーズだと信じ込んでいることが判明します。しかも、どうも博士は殺されてしまっているらしいのですが、彼は精神を病み記憶をなくしてしまっており真相は謎。彼を愛してしまっているコンスタンスは無罪を信じ、警察からの逃亡を助けつつ真相を究明していくのですが・・・。

前回の”疑惑の影”から3年後1935年製作のサイコスリラーです。例のごとく、「定本映画術」でチェックしてみるとヒッチコック自身はこの映画のについてあまり語っていませんが、聞き手のトリュフォーはずいぶん気にいらないようですね。その理由は、「ヒッチコック作品にしては狂気がなく、まともで理屈っぽくイマジネーションの遊びが少ない」ことと「グレゴリー・ペックがよわい」ということのようです。精神病に関する映画をおとなしく撮りたかった」とヒッチコックも語るとおり、バーグマンはかなり”固い”感じがしますし、精神医療に関する記述も多く少し難しい感じがするようです。個人的にはこの作品好きですね。最近の私のヒッチコック趣味(ちょっとねちねちサイコな感じ)にぴったりはまります。

精神科医と精神病患者の逃避行。しかも患者のほうは人殺しかもしれませんからね。彼女に対してもいつ凶行に及ぶかもしれないというハラハラ感がサスペンスですよね。この不安な関係の中で、コンスタンスは彼の無罪を信じて彼の精神に隠された真相を解明しようとするのですが、医者としての理性と男を愛する女性としての感性の間で葛藤するコンスタンスの心理がよく描かれています。

グレゴリー・ペックはオールド・ムービー・パラダイス!初登場ですね。この作品の当時は29歳でデビュー三作目。グレゴリー・ペックと言えば私の記憶に残っているのは、まずは”ローマの休日”。それから”オーメン”ですかね。それぞれ37歳、60歳のときの作品ですから、私の中ではグレゴリー・ペック=渋い中年のイメージが出来上がっています。それからすると、本作のペックは線が細いのですが、トリュフォーの言うように”よわい”と言う感じでもないかな。自信なさそうな目つきや挙動がむしろ役柄にぴったりはまってると思います。

今回の作品で興味津々だったのは、実は小道具。クライマックスでバーグマンを狙う銃と手。ぴったり狙いをつける銃口を、構えている本人の視線から撮っているのですが、画面をクリアに映すために実物の4倍の大きさ(!)の銃と手を作ったのですね。バーグマン迫真の演技がばかばかしいほど巨大な銃と手の前で行われていることを想像すると結構笑えます。この手法、”バルカン超特急”のブランデー・グラスがはしりですか?ヒッチコックお気に入りのテクニックのようです。

おまけですが、コンスタンスが恩師に「卵入りのコーヒーを入れます」と言っているのが気になって仕方ないです・・卵入りコーヒーってなんだ?? 生たまご?ゆでたまご?どなたかご存知の方いらっしゃいませんかね(笑)

評価は星4つということで★★★★☆


次回は、翌1946年の作品”汚名”。こちらもバーグマンで今度はケイリー・グラントと共演です。

banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 02:11| 埼玉 ☀| Comment(6) | TrackBack(4) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月21日

#0021『疑惑の影』アルフレッド・ヒッチコック監督 1942年アメリカ【DVD#36】

shadow of a doubt_1.jpg”Shadow of a Doubt”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: ジャック・H・スカーボール Jack H. Skirball
原作: ゴードン・マクドネル Gordon McDonnell
脚本: ソーントン・ワイルダー Thorton Wilder
    アルマ・レヴィル Alma Reville
    サリー・ベンソン Sally Benson
撮影: ジョセフ・ヴァレンタイン Joseph Valentine
音楽: ディミトリ・ティオムキン Dimitri Tiomkin
    チャールズ・プレヴィン Charles Previn
 
出演: テレサ・ライト Teresa Wright
    ジョセフ・コットン Joseph Cotten
    マクドナルド・ケリー MacDonald Carey
    パトリシア・コリンジ Patricia Collinge
    ヘンリー・トラヴァース Henry Travers
    ウォーレス・フォード Wallace Ford
    ヒューム・クローニン Hume Cronyn


【ネタバレ注意】

「世の中はそんなに悪くないよ。ただ、だれでも正気を失う危険性はある」

shadow of a doubt_2.jpgカリフォルニア州サンタローザ。その街で家族と共に平凡に暮らす長女チャーリーは、突然やって来た叔父に秘密の匂いを嗅ぎとる。やがて二人の刑事が現れ、チャーリーは叔父に未亡人殺しの疑いがかかっている事を知る。明るい日常生活の中でチャーリーひとりが、叔父が殺人犯かどうかの疑惑にさいなまれていく……。(allcinemaより)

ヒッチコック映画の中ではかなり”地味”な部類に入るのかもしれません(昨日”海外特派員”を観たばかりなのでそう感じるのかもしれませんが)。ひとつの家族の中でほとんどの物語が進行していきます。明るい平凡なアメリカ人一家と彼らの愛する叔父。幸せな一軒の家の中に殺人鬼が潜んでいるわけですが、そのことによる派手な事件が起きるわけではなく、衝撃的な映像も何一つありません。

shadow of a doubt_4.jpg家族の中で一番叔父を慕っている長女チャーリーが、叔父の犯行に気づき、疑惑が確信に変わり、確信したことで逆に叔父に追い詰められていきます。他の家族は二人の関係と心理の変化に一切気づかないわけですが、そのことが実に息苦しいようなシチュエーションを作り上げています。

叔父がチャーリーの家に来てから、割と早い段階で刑事が現れます。刑事たちはすでに叔父が犯人ではないかと目星をつけているのですが、内偵中に他州で殺人容疑者が追い詰められ飛行機のプロペラに巻き込まれて死亡したという情報が入ってきます。このことで、一度は追い詰められたかに見えた叔父は自由の身となり、真実を知るチャーリーは絶望的に危険な立場に追い込まれます。それまで、チャーリーは叔父が犯人とは知りながら、何とか逃がしたいと葛藤しているわけですが、この後は一気に身に迫る恐怖と闘うことになります。このあたりのチャーリーの心理的な変化がテレサ・ライトの名演技とあいまって非情に印象的です。

今回のヒッチコックは、様々なキーアイテムによって織り成されるシチュエーションと心理変化を見事に描いた佳作でした。私は”メリー・ウィドウ(陽気な未亡人)の曲を知らなかったため、面白さを何割分か味わえなかったのが残念でした。


評価は星4つ★★★★☆


さて、次回ですが同じくヒッチコックで”白い恐怖”。おお、イングリッド・バーグマンですね。楽しみです。ご期待ください。



500円DVDもありますが、画像はあまりよくないですね。前半は顔が白く抜けてしまっている感じです。

banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 00:26| 埼玉 ☀| Comment(8) | TrackBack(4) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月19日

#0020『海外特派員』アルフレッド・ヒッチコック監督 1940年アメリカ

foreign_correspondent.jpg
”Foreign Correspondent”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: ウォルター・ウェンジャー Walter Wanger
脚本: チャールズ・ベネット Charles Bennett
    ジョーン・ハリソン Joan Harrison
撮影: ルドルフ・マテ Rudolph Mate
音楽: アルフレッド・ニューマン Alfred Newman
 
出演: ジョエル・マクリー Joel McCrea (ジョン・ジョーンズ)
    ラレイン・デイ Laraine Day  (キャロル・フィッシャー)
    ジョージ・サンダース George Sanders (フェリオット)
    ハーバート・マーシャル Herbert Marshall (スティーブ・フィッシャー)
    アルバート・バッサーマン Albert Basserman (ヴァン・メア)


「世界に残る最後の光を消してはいけません」

1938年、第二次大戦前夜の風雲急を告げるロンドンに派遣されたニューヨークの新聞記者ジョニー・ジョーンズ。開戦か回避かの鍵を握るオランダの老政治家ヴァン・メアにアプローチしますが、アムステルダムの演説会場でヴァン・メアは暗殺されてしまいます。ところが、これは某国(ドイツ?)スパイ団の陰謀で、射殺されたのは替え玉。ヴァン・メアは彼だけが知る国際秘密協定の情報を狙ったスパイ団に拉致されています。ジョーンズの活躍により、一度はスパイ団を追い詰めるものの後一歩のところで取り逃がし、逆にジョーンズはヴァン・メアの生存を知る邪魔者として組織から狙われることになります。ヴァン・メアを支援する平和団体のリーダー、フィッシャーの娘キャロルとロンドンの新聞記者フェリオットとともにヴァン・メア奪還に奔走するジョニーですが、事件の黒幕は意外な人物で・・・。

レベッカに続くヒッチコックの渡米第二弾。レベッカと同じ1940年の作品で、アカデミー6部門にノミネートされました。渡米初年度にこの二作で合計17のアカデミー賞ノミネートですね。

ヒッチコック自身の談によると、この作品の主演二人(ジョエル・マクリーとラレイン・デイ)には満足していなかったようで、アメリカ社会におけるスリラー・サスペンス映画の地位の低さを嘆いています。ゲイリー・クーパーに出演を依頼して「スリラーには出ない」と断られたそうですが、後年ゲイリー・クーパーはヒッチコック作品に出演しなかったことを公開していたと言うことです。

kaigaitokuhain_2.jpg前回のレベッカが静的な心理ドラマであったのに対して、本作はかなりアクション度合いが高いですね。雨の中の暗殺者追跡のシーンでは、傘をさす群集の間に紛れ込んだ犯人とジョニーの追跡をかさの動きだけで見せるヒッチコックらしい工夫が見られます。カーチェイスや飛行機の墜落シーンなどのアクションシーンも、やはりヒッチコックとうなづける独特細工があって愉しむことができます。

アクション映画としてはストーリーもよくできており展開も早いので十分満足できます。この映画単独で観ればかなりレベルの高い作品であることはよくわかります。が、、、ヒッチコック映画として観ると、どうも自分がヒッチコックに期待しているものと違う感じがするんですね。もっと、こう、映像の隙間からにじみ出てくるようなというか、小道具一つ一つとか役者の小さな表情の変化からサスペンスが生まれてきて、それに存分にドキドキさせて欲しい。というような期待をヒッチコックに求めてるんですね。個人的にはですが。この作品では逆に回る風車のシーンくらいしかドキドキできなかったんですよToT
なので、すこーし期待はずれなんです。面白い映画であることは間違いありませんが(何度もいいますけど)。


ということで、評価は星三つ★★★☆☆

Trailer(予告編)はこちらから

さて、では次ですがヒッチコックはまとめて観てみたいと思っているので、次回は1942年の本格スリラー”疑惑の影”に参ります。


海外特派員
海外特派員ジョエル・マクリー アルフレッド・ヒッチコック ラレイン・デイ

紀伊國屋書店 2004-02-21
売り上げランキング : 12,436
おすすめ平均star


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

500円DVDもあります^^

POSTER


banner_02.gifにほんブログ村 映画ブログへ
人気Blogランキングもぜひよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 20:12| 埼玉 ☀| Comment(2) | TrackBack(2) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。