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2006年06月30日

#0077『マーニー』アルフレッド・ヒッチコック監督 1964年アメリカ

Marnie[1].jpg

”MARNIE”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: ウィンストン・グレアム Winston Graham
脚本: ジェイ・プレッソン・アレン Jay Presson Allen
撮影: ロバート・バークス Robert Burks
音楽: バーナード・ハーマン Bernard Herrmann
 
出演: ショーン・コネリー Sean Connery
ティッピー・ヘドレン Tippi Hedren
マーティン・ガベル Martin Gabel
ダイアン・ベイカー Diane Baker
マリエット・ハートレイ Mariette Hartley
ブルース・ダーン Bruce Dern


あらすじ
ラトランド社の社長マーク(ショーン・コネリー)は、事務員としてマーニー(ティッピ・ヘドレン)を雇う。仕事熱心でまじめな彼女だが、実は泥棒の常習犯。マークの会社からもまんまと大金を盗み出すが・・・。


ネタバレです。


いつもながらの勝手なコメント

この作品は妙に胡散臭い。

心に深い傷を負い奇行に走る女と、その女を愛し救おうとする男。この構図は、男女役どころが逆ではあるが、ヒッチコック1945年の作品「白い恐怖」(イングリッド・バーグマン-グレゴリー・ペック)を連想させる。「白い恐怖」は、イングリッド・バーグマンがペックへの愛を貫く堅物の女医を好演し、サスペンスとしてはもちろん、純愛劇としても良くできていた。

に比較して、この作品は・・・・・何か純愛ではない胡散臭いものを感じる。確かに、ショーン・コネリーはティッピ・ヘドレンの盗癖を治そうと奔走し最後には目的を達してハッピーエンドとなる。確かにそうなんだが、なんか純粋じゃないんだなぁ。なぜだろう。

いつもお世話になっているオカピーさんのマーニー評には「原作の主人公は女泥棒フェチ・・・」というコメントがある。なるほどこの胡散臭さ、もしヒッチコックもそれを前提にしていると考えると思い当たる節が多い。社長室で「山猫を飼いならした」と自慢している。「君はつらい子供時代を過ごしたんだね」といたわりながら妙にうれしそうだ。そもそも、彼女が会計士事務所から金を盗んだ犯人だと知っていて雇うのも不自然だし、結婚もあまりにも強引だ。

主人公マークは自分の趣味的(性的?)欲求を満足させるために行動しているのだ。自分の手に落ちた女泥棒を”自分のものにするプロセス”を楽しんでいたのだ。彼女の犯罪を押さえ、自分と結婚させ、金を使い、人を使い、彼女の過去を調べ上げる偏執的な行動を自分のために楽しんでいたのだ。ヒッチコックらしい実にワイアードな物語である。

しかし、この物語、そのワイアードさにふさわしい結末に収束していないのではないか?確かに、上に述べたような胡散臭さをぷんぷん放つ撒き餌が仕込まれているのだが、撒き餌に釣られて胡散臭いラストを期待して行ってみると、あれれ?どこかで純愛ものの素敵なエンディングにすりかわっているではないか。なんだこりゃ。

そういう肩透かし感は、ショーン・コネリーの演技からも感じられる。この時期、天下の007シリーズはすでにスタートしており、ドイツの名優ゲルト・フレーべを配したヒット作”ゴールド・フィンガー”が公開されたのが同じ1964年である。当然ショーン・コネリーは全身からヒーロー・フェロモンをこれでもかというくらい発散させていたであろうし、なにより奴は二枚目だ。昔日の映画界で、二枚目俳優に汚れ役をやらせるという挑戦は、「断崖」(1941年)で誰あろうヒッチコック本人がトライし、やはりうまくいかなかった。

二枚目ヒーローで世を魅了するコネリーは、やはり女一人をいじくるプロセスに喜びを感じるようなオタク社長を演じることは出来ず、話が本筋をそれて純愛物語になるほどにその演技力を発揮するという皮肉な展開となった。

胡散臭さのにおいだけがあって結末につながらないストーリー展開と、土俵の外で演技力を発揮するコネリーが主な原因となって、「マーニー」は惜しくもここ数年絶好調であったヒッチコック監督の飛行高度を若干下げることになってしまった。ということで、おすすめ度は★★★★☆




マーニー
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2006年06月27日

#0076『鳥』アルフレッド・ヒッチコック監督 1963年アメリカ

The Birds.jpg
”The Birds"



監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: ダフネ・デュ・モーリア Daphne Du Maurier
脚本: エヴァン・ハンター Evan Hunter
撮影: ロバート・バークス Robert Burks
音楽: バーナード・ハーマン Bernard Herrmann
 
出演: ティッピー・ヘドレン Tippi Hedren
ロッド・テイラー Rod Taylor
スザンヌ・プレシェット Suzanne Pleshette
ジェシカ・タンディ Jessica Tandy
ヴェロニカ・カートライト Veronica Cartwright
ドリーン・ラング
エリザベス・ウィルソン Elizabeth Wilson


あらすじ
ペットショップでミッチ(ロッド・テイラー)と出会ったメラニー(ティッピ・ヘドレン)は、自信満々のミッチにちょっとしたいたずらを仕掛けるために彼の住む海辺の町を訪れる。そこでメラニーは突然一羽のかもめに襲われる。


実に勝手な思い込みの感想
やっぱりそうだった。 この映画の”居心地の悪さ”は天下一品なのだ。

鳥が人間を襲撃する。 その原因は全くわからない。 人間は鳥の襲撃にどう対応すべきなのかも示されない。 知恵を集めてみても、何の解決にもならず事態は収拾しない。 ただ、人間は鳥を怒らせないように、そーっと逃げ出すだけである。毛ほどもぶれない徹底振りがまったくすばらしい。 この作品にはBGMすらないからね。

後の、パニック映画やホラー映画では、こうはいかないのだ。 何も示されない居心地の悪さに、どうしても耐え切れないのである。 だから、少しでも居心地良くしようといろいろなことをする。公害だの核汚染だのという子供だましの理由付けをして見たり( 「人間の身勝手な行いに対する自然の復讐なのだ」なんてね。)、 敵の中に人間に味方する都合のいいキャラを設定してみたり(ゾンビ3作目に出てくる、”人間を助けるゾンビ”の存在理由はどこにあるのだぁ!)、 核爆弾などで一気に安易な解決を図ってみたり、すべて、理不尽な状況を少しでも居心地よくするためのくだらない小細工なのである。こうした小細工を弄するほどにそのパニックやホラーは、ご都合主義の安っぽいものになってしまうのだ。

最高の叡智たる人類を襲う未曾有の恐怖であるはずなのに、監督や脚本家が小賢しい知恵を絞るほどに、彼らの手の中に納まるチープな作り事になってしまう。そして、それがチープな作り事であることは必ず観客に透けて見えてしまう。悪いことに最近の映画はそれをリアルに見せるための技術だけは格段の進歩を遂げているため、結果として実に壮大な猿芝居を見せられることになるのだ。悪夢だね、これは。

「鳥」では、何も説明されず、なにも解決しない。 すばらしい。主人公たちに救いはない。 当然、見ている我々にも救いはない。理由も決着も何も示されないからこそ、見ているこちらの頭の中には無限のイメージが膨らんでいく。そのイメージは、膨らんで渦巻いて、 結局どこにも行き場がないまま取り残される。 ああ、居心地悪いなぁ。 最高だけど。

ヒッチコックがこの映画に関して「自然は復讐する」と言ったという話をある評論本で見かけた。本当なのかしらん? もし本当に言ったとしたら、きっとインタビューがめんどくさかったりしていい加減なことを言ったに違いない。さすがヒッチコック。ブラックだ。 もし、本当にそれがヒッチコックの意図だったとしたら、、、 文字通りの勝手な思い入れと勘違いでごめんなさい・笑

ちなみに、その後のパニック/ホラー映画で、この境地に迫ったのは「ゾンビ」くらい? ラストシーン、ほとんど燃料の残っていないヘリに乗って飛び去っていく主人公の姿。この映画のラストと通じるものがあったよね。

おすすめ度
★★★★★ に決まってます。




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2006年06月22日

#0075『めまい』アルフレッド・ヒッチコック監督 1958年アメリカ

vertigo-cover.jpg
”VERTIGO”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: ピエール・ボワロー Pierre Boileau
トーマス・ナルスジャック Thomas Narcejac
脚本: アレック・コッペル Alec Coppel
サミュエル・テイラー Samuel Taylor
撮影: ロバート・バークス Robert Burks
音楽: バーナード・ハーマン Bernard Herrmann
タイトルデザイン: ソウル・バス Saul Bass
 
出演: ジェームズ・スチュワート James Stewart
キム・ノヴァク Kim Novak
バーバラ・ベル・ゲデス Barbara Bel Geddes
トム・ヘルモア Tom Helmore
ヘンリー・ジョーンズ Henry Jones
エレン・コービイ Ellen Corby
レイモンド・ベイリー Raymond Bailey
リー・パトリック Lee Patrick


ネタバレですね。

あらすじ
犯人追跡中に同僚を墜落死させてしまった刑事スコッティ(ジェームズ・スチュワート)は、その罪悪感から極度の高所恐怖症になる。警察を退官した彼に、友人エルスター(トム・ヘルモア)は妻マデリーン(キム・ノヴァク)の監視を依頼する。彼女は死者にとり憑かれて挙動不審であり、自殺を図る心配があるという。

きわめて個人的かつ勝手な感想
前半、キム・ノヴァク演じるマデリーンは実に美しい。立居振舞いがなんともいえない。上品なコート姿もすばらしいし、スコッティの部屋で気がついたときの表情も魅力的。主人公のスコッティとともに彼女の行動を追ううちに、同じく彼女の魅力に引き込まれていく自分に気がついてしまいました。もともと女優への入れ込み具合が映画評に大きく関わる私としてはこれはやばい。

後半、ジュディ・バートンとして登場するキム・ノヴァクは、いかにも都会に出てきた田舎娘な感じ。眉毛なんか恐ろしくたくましいし、野暮な髪型と生え際のほつれた感じがいただけない。それに比べて、マデリーンは美しかったなあ。清楚だった。なんといっても上品だったのだ。

前半でノヴァク/マデリーンに恋してしまっている私としては、ノヴァク/ジュディに物足りなさを感じるのである。だって、あんなに魅力的だったのに、もったいないじゃないか。

そう思いつつ悶々していると、ジェームズ・”スコッティ”・スチュワートが、ジュディを徐々にマデリーンに変え始める。マデリーンと同じ服を着せ、靴を履かせ、髪を染める。(眉毛もちょっと細くなる。)。

マデリーンを失ってから、極度の鬱病になるほど思いつめた男が、姿かたちの似ている女を”過去の恋人”に作り変えようとする姿は見ていて実に怖い。女の方も抵抗がありながらも、愛されたくて彼の気持ちにこたえようとする。これもまた実に怖い。ヒッチコック作品の中でも、ジュディ改造のくだりは飛びぬけてアブノーマルで恐ろしいシーンだと思う(ジェームズ・スチュワートの目がいっちゃってるしね。)それはまさに切実な狂気の沙汰である。

だが、同じくマデリーンに恋してしまっている自分にはスコッティの気持ちがよくわかる・・・、ということに気がついた。ああ、自分にもそういうアブノーマルな狂気にシンクロする部分があるのだなあと愕然とする。実はこの発見が一番怖かったりするのだ。

この物語、絶対観客がこういう感情移入をすることを狙って作っていると断言する。前半のマデリーンの見せ方も、スコッティにとって絶望的な喪失感をもたらすための、高所恐怖症という小細工も。後半の野暮なジュディとその変身も。主人公の切実な狂気を疑似体験するために構成されたのだ。ヒッチコックの思う壺に、自分は狙い通りにはまったのだ。

と、勝手にそう思い込みましたという記事でした。

おすすめ度
入れ込み度100%につき、当然★★★★★

次回は”鳥”ですね。佳境だなぁ




めまい
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2006年06月19日

#0074『サイコ』アルフレッド・ヒッチコック監督 1960年アメリカ

Psycho.jpg
”PSYCHO”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: ロバート・ブロック Robert Bloch
脚本: ジョセフ・ステファノ Joseph Stefano
撮影: ジョン・L・ラッセル John L. Russel
音楽: バーナード・ハーマン Bernard Herrmann
タイトルデザイン: ソウル・バス Saul Bass
 
出演: アンソニー・パーキンス Anthony Perkins
ジャネット・リー Janet Leigh
ジョン・ギャヴィン John Gavin
ヴェラ・マイルズ Vera Miles
マーティン・バルサム Martin Balsam
サイモン・オークランド Simon Oakland
ジョン・マッキンタイア John McIntire
ジョン・アンダーソン John Anderson
パトリシア・ヒッチコック Patricia Hitchcock


ネタバレです
”めまい”と”サイコ”と”鳥”三作平行で記事を書く羽目になっておりまして、”めまい”より先にこちらが出来てしまったのでアップします。”めまい”は次回かならず。

あらすじ
会社の金を持ち逃げしたマリオン(ジャネット・リー)は、逃亡の途中、偶然通りかかったベイツ・モーテルに宿泊する。モーテルの管理人はノーマン青年(アンソニー・パーキンス)。年老いた母親の世話をしながらモーテルを経営しているらしいのだが・・・

みどころ
この映画は怖い。この映画の怖さは、有名なバスルームシーンや階段シーンの直接表現(必ずしも直接ではないが、これまでのヒッチコックにするとかなり直接的)ではなく、完璧な狂気の存在に対する不安なのではなかろうか。

たまたま、通りかかったモーテルに男がいる。その男は一見まともに見えるが、何かが”完璧に”おかしい。それは、こちらから関わらなければ災いをもたらさないのかもしれない。しかし、実に運悪く彼らはそこに関わってしまう。

何も知らないマリオンは、彼と出会ったことがきっかけとなって自分の犯した罪を償おうと思う。横領した女の逃避行は穏便な方向に向かう気配を見せる。観ているものの注意もマリオン事件の成り行きにひきつけられるが、一方でベイツモーテルの様子はなにかがおかしいということにも気がついている。姿を見せない母親や、ノーマンの挙動が不安を掻き立てる。

その不安は的中するどころではない。バスルームのシーンで観るものの不安をはるかに凌駕する形で炸裂する。

私立探偵アーボガストは鋭い。有能である。それゆえにベイツモーテルの狂気の世界にどんどん刺さりこんでいく。観ている我々は、すでにそこで恐怖の惨劇が起きたことを知っている。そんなに迫るんじゃない、アーボガスト!おまえの身にもとんでもないことが起きるぞ・・・とハラハラする。

彼がベイツ館の階段を一段づつ上っていく。一段一段核心に近づくアーボガスト。このシーンを真上から撮るヒッチコックの感性はすさまじい。アーボガストが階段を上る間に、真上から観る我々の不安は一気に頂点に。そしてまた、今度は半ば予想したとおり、半ばは予想以上にその不安ははじけるのである。


個人的には
文句なし。ヒッチコック=恐怖で語られるが、これより前のヒッチコック作品の恐怖は、日常生活の中で身に覚えのない事件に巻き込まれる恐怖のような、”事と次第の怖さ”が中心だった。”見知らぬ乗客”のロバート・ウォーカーが完璧な狂人ではあるが、それでもその怖さはロバート・ウォーカーとファーリー・グレンジャーの掛け合いの怖さであり、ウォーカーはグレンジャーに交換殺人をさせるという目的を持って行動している。

”サイコ”のアンソニー・パーキンスにはそのような他者に働きかける目的が何もない。唯一の目的は、自分(と母親)の世界を守ることだけであり、その世界は他人には想像もつかない異常な世界である。その異常な世界がベイツモーテルという形で具現化しているところがまたすごい。観ているものはその異常な世界に対してえもいわれぬ不安を感じてしまう。感じた不安は極めて鮮明に惨劇となり、その鮮明さが恐怖を増幅する。

映画制作35年、ここにいたってヒッチコックが繰り出す、ストーリーと映像の限りを尽くした恐怖はまさに極致。ぜひ味わうべきでありましょう。(アンソニー・パーキンスも怖いよ!)


もちろん、★★★★★



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2006年06月04日

#0073『オーソンウェルズINストレンジャー』オーソン・ウェルズ監督 1946年/アメリカ

Wells_Robinson_Stranger.jpg
”The Stranger”

監督: オーソン・ウェルズ Orson Welles
製作: S・P・イーグル S.P. Eagle
原作: ヴィクター・トリヴァス Victor Trivas
デクラ・ダニング Decla Dunning
脚本: オーソン・ウェルズ Orson Welles
アンソニー・ヴェイラー Anthnoy Veiller
ジョン・ヒューストン John Huston
撮影: ラッセル・メティ Russell Metty
音楽: ブロニスラウ・ケイパー Bronislau Kaper
 
出演:
エドワード・G・ロビンソン Edward G. Robinson
オーソン・ウェルズ Orson Welles
ロレッタ・ヤング Loretta Young
フィリップ・メリヴェイル Philip Merivale
リチャード・ロング Richard Long
バイロン・キース Byron Keith
ビリー・ハウス Billy House


あらすじ
ナチス・ドイツでユダヤ人虐殺を指揮し、戦後姿を消した若きエリート、フランツ・キンドラ(オーソン・ウェルズ)。戦犯聴聞委員会のウィルソン(エドワード・G・ロビンソン)は、杳として行方の知れないキンドラを捕らえるため、委員会の反対を押し切って、キンドラの腹心マイネケをわざと監獄から逃がしその後を追う。そのキンドラは米国の地方都市で大学講師として身を隠し、判事の娘と結婚しようとしていた・・。

みどころ
ヒッチコックの「めまい」を探していたら、ストックの中からこのDVDを発見。以前購入したのをすっかり忘れていましたが、オーソン・ウェルズつながりで観賞意欲がムクムクと。(ということで、「めまい」は次回)

「市民ケーン」(1941年)から5年たってますが、ウェルズの光と影を操るうまさは健在ですねぇ。冒頭の脱獄するマイネケをひそかに追う聴聞委員の妻のカットや、たびたび登場する時計塔のシーンなど映像的なみどころは満載です。

ウェルズは相変わらずの”頭の切れる悪人”という役柄を好演。チェッカー自慢のドラッグストア主人を苦もなく負かしてしまう"超”天才。一方の追うウィルソンはこの主人に一度もチェッカーで勝つことが出来ませんが、このあたりの設定はオーソン・ウェルズの茶目っ気のようなものを感じさせてくれて楽しめます。

クライマックスの時計塔のシーンは、ヒッチコック作品「逃走迷路」の自由の女神のシーンを髣髴とさせるようななかなかの名場面。ロレッタ・ヤングのハードな女っぷりもGOODです。

個人的感想
ということで、映像や役者(エドワード・G・ロビンソンももちろんすばらしい)という面ではいいのですが、おしむらくはストーリーがいまいち。突然目の前に現れたマイネケの話からあっという間におとりであることを見抜くあたりまでは良かったのですが、その後ここが要所という大切な場面でキンドラはことごとく間抜けな選択をします。あいたたた・・・。

ストーリーがそういうことですので、映像が凝っていればいるほど、ウェルズ・ロビンソン・ヤングの三人の演技が冴えるほど、観ている私の心は白々とさめていき、さめた心はネガティブに作品を観賞し、なおさらストーリーのアラが目立ってしまうという・・・ああ、悪循環。

そもそも。映画は必ず2時間ほどで決着をつけなければいけないわけで、当然幾分のご都合主義的な面は避けられないでしょう。しかし、それが透けて見えちゃうといかんです。ストーリーが見透かされると。他の要素ではとてもカバーしきれない。映画は総合芸術と言いますから、映像の魅了なくしては成り立ちませんが、映像の魅力だけでも名作はできないだなと。なるほどそういうことねと妙に納得してしまう作品。「市民ケーン」の映画としてのバランスのよさが懐かしくなるような、ちょっとばらけてしまった一本でした。

※IMDbを見ると、どうもこの作品、ウェルズの意図に反してかなり編集されてしまったようですね。
ということで、その分を差し引いて★★★☆☆
では、観るものを白けさせない(”決して”とは言いませんが)名匠ヒッチコックの世界に改めてどっぷり漬かってみましょうか。次回は本当に「めまい」。






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2006年06月02日

#0072『市民ケーン』オーソン・ウェルズ監督 1941年アメリカ

”CITIZEN KANE ”citizenkane.jpg

監督: オーソン・ウェルズ Orson Welles
製作: オーソン・ウェルズ Orson Welles
脚本: ハーマン・J・マンキウィッツ Herman J. Mankiewicz
オーソン・ウェルズ Orson Welles
撮影: グレッグ・トーランド Gregg Toland
編集: ロバート・ワイズ Robert Wise
音楽: バーナード・ハーマン Bernard Herrmann
 
出演: オーソン・ウェルズ Orson Welles
ジョセフ・コットン Joseph Cotten
ドロシー・カミング
エヴェレット・スローン Everett Sloane
アグネス・ムーアヘッド Agnes Moorehead


あらすじ
米国を代表する新聞王チャールズ・フォスター・ケーンが”バラのつぼみ”というなぞの言葉を残して死亡する。彼の伝記フィルムを編集する記者トンプソンは、今際の言葉”バラのつぼみ”のなぞを求めて、ケーンゆかりの人たちを尋ねる。後見人サッチャー(故人の日記)、忠実な元マネジャーのバーンスタイン、後に犬猿の仲となった昔日の親友リーランド、晩年の執事レイモンド、そして元愛人のスーザン。5人が語るケーンの真実とは、この世のすべてを手に入れたように見えて実は何一つ大切なものを守ることが出来なかった孤独な帝王の姿だった。そして、ラストシーンで明かされる”バラのつぼみ”の真実とは・・・。


みどころ(ちと長い)
よく言われる”パンフォーカス”の絶技や光と影の美しさ、激しい仰角のアプローチなどなど技術的秀逸の極み。すでにこの映画を見た事のある人にとってはいまさらヨタ解説を聞く必要もないでしょう。未見の人はとにかく一度ご覧あれ。”一見の価値あり”とその一言のみ献呈することといたします。

今回注目したのは映画本体のことではなく、モデルとなった実在の悪名高き新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハースト。

米国人で知らぬものはないといわれる新聞王ハーストは1863年の生まれ。映画でも「借金のカタに安く買い取った鉱山」とあるように、父親が安値で買った鉱山から4億ドルに上る銀が採れたため一夜にして大金持ちになりました。映画での父親は取るに足りない小物のように描かれるが、実際はかなりの大物でカリフォルニアの上院議員にもなった人物でした。

当時の4億ドルといえば、単純な円換算で約1500億円。当時の貨幣価値がどのくらいか良く知りませんが、かなり控えめに1000分の一くらいとしても150兆円・・・。ちなみに現在世界一の金持ちは言わずと知れたマイクロソフトのビル・ゲイツで、その資産額は約500億ドルといいますから、ざっと5兆円強。想像を絶する超ド級の金持ちだったことはまちがいありません。

1887年24歳の時に、父がこれまた借金のカタに取り上げた新聞社”サンフランシスコ・エグザミナー”の経営を引き継いぎます。サンフランシスコ・エグザミナー誌には「悪魔の辞典」のアンブローズ・ピアスやマーク・トェイン、「野生の呼び声」のジャック・ロンドンなどが執筆陣に加わっていたそうです。例のクロニクルから引き抜いた「最高の執筆陣」のモデルになっているかもしれませんね。ともあれ、これを皮切りに全米のメディアを買いあさり、42の日刊紙と13の雑誌8つの放送局を持つにいたって、ハーストはアメリカの世論を左右する存在となりました

中でも、1895年32歳でニューヨークの「ニューヨーク・モーニング・ジャーナル」誌を買収したときには、ライバルの「ニューヨーク・ワールド」誌との熾烈な発行部数争いを展開。ニューヨーク・ワールド誌のオーナーは、後にピューリッツァ賞を創設したジョーゼフ・ピューリッツァ(正真正銘のメディア王もこのときにはかなりあくどい記事を載せたようです)。ハーストはワールド誌を出し抜くために、憶測記事などは日常茶飯事、完全な記事捏造もあたりまえの煽情的な報道(イエロー・ジャーナリズム)を繰り返し、米西戦争の勃発(映画でも「ケーンは国を戦争に導いた」言われている)やマッキンリー大統領暗殺などの原因となったといわれています。

こうして、全米で泣く子も黙るイエロー・ジャーナリズムの魔王にのし上がったハーストは、彼に対するすべての攻撃を金とメディアの力でねじ伏せて天下無敵。その絶頂期、54歳のときに売れない踊り子マリオン・デイヴィスと恋に落ちます。映画でケーンの死の原因となった愛人スーザンのモデルはこのマリオン・デイヴィスでした。ケーンは”自分がばか者に見られるわけには行かない”という理由で、才能のないスーザンを強引にオペラの舞台に立たせます。観客や評論家に嘲笑されながらうたい続けねばならないスーザンは思い余って自殺を図りますが未遂。ベッドでケーンと話す彼女の表情はちょっと怖くなるほどのすさまじさでした。

実際のマリオンはオペラ歌手ではなく。映画女優として1917年(ハーストがマリオンに一目ぼれした年)から37年までの20年の間に45本の映画に主演します。彼女の為だけに作られた映画会社「コスモポリタン・プロダクション」に、キング・ヴィダーやラオール・ウォルシュなどの著名な監督も招いて次々と作品を制作し、全米のハースト配下のマスコミを使ってマリオンを絶賛します。しかし、45本の主演作は見事にすべて赤字。文献を見る限り、マリオンが自殺を図ることはもちろんノイローゼにすらなった気配はありませんので、彼女はスーザンをはるかに上回るしたたかな女であったようです。

「市民ケーン」の脚本を書いたマンキウィッツはマリオン・デイヴィスと知り合いであったらしく、ハーストには極秘で製作されていた「市民ケーン」はこのルートからハーストの耳に入ることになります。ちなみに、ケーンが残したなぞの言葉”バラのつぼみ”は、ハーストが飼っていた犬の名前だという説が一般的ですが、一説にはかわいいマリオンの”なに”をハーストが愛を込めて「バラのつぼみ」と呼んでいたといわれています。もしそれが本当なら、大々的に「バラのつぼみ」がフィーチャーされている「市民ケーン」にハーストは腰を抜かすほど驚いたと思われます。

「市民ケーン」が製作された1941年当時は、大恐慌を経てハーストの力も衰えていた時期ではあるものの、当時若干25歳だったウェルズが面と向かってハーストを題材にした映画を撮ったことには驚かされます。子供のころからほらとはったりでのし上がってきたウェルズが自身の創設による「マーキュリー劇団」を世に知らしめるための乾坤一擲の大勝負だったのでしょうか。

案の定「市民ケーン」はハースト帝国から大々的な攻撃を受けます。しかし、驚くべきことにウェルズは、ハーストの剣幕に腰の引けた製作会社RKOを訴訟までちらつかせて動かし、ついに上映までこぎつけます。ケーンとスーザンの描写が実際のハースト&マリオンと比べるとずいぶん人間的で悩める部分が強調されていると感じたのですが、これも最終的にハーストに上映を承知(黙認?)させるためのウェルズの計算であったのではないかなどと思ったりしてみます。

こうして上映された「市民ケーン」ですが、ハーストからの攻撃によって受けた傷は深く、結果は赤字。ウェルズもこの後映画制作に関する十分な影響力を発揮することはできず、どちらかというとアクの強さとトリッキーな行動が特徴の一種のイロ物として扱われるようになりました。

「市民ケーン」の映画作品としてのすばらしさが認識されるのは1951年のハーストの死後から。フランスにおける映画再評価の動きを待たなければなりませんでした。

個人的には
この映画はかなり好きですね。今回背景にある新聞のハーストのことも調べてみてなおさら興味深く感じました。映画製作の裏話やテーマ・舞台などのバックグラウンドをいろいろと調べてみたいと思います。映画よりもっと面白い物語に遭遇するかもしれませんよね。

ちなみに、ハーストとマリオンのスキャンダルにはまだまだ面白い話があるのですが、興味のある方はケネス・アンガーというアングラ監督が書いた「ハリウッド・バビロン」という本をどうぞ。古本でしか買えませんが、古書は結構出回っているようです。

おすすめ度
★★★★★

さて、次回は再度出直しということでヒッチコック作品へ。「めまい」に参ります。

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2006年05月28日

#0071『群衆』フランク・キャプラ監督 1941年アメリカ

長々と更新を中断しておりましたが、再開したいと思います。皆様、何のご挨拶もなくお休みしてしまい、どうも申し訳ありませんでしたm(_ _)mm(_ _)mm(_ _)m

前回の続きで、「群衆」から再スタートいたします。更新頻度は以前より少なくなるとは思いますが、改めてよろしくお願いいたします。

meetjohndoe.jpg”MEET JOHN DOE”

監督:フランク・キャプラ Frank Capra
製作:フランク・キャプラ Frank Capra
原作:リチャード・コネル Richard Connell
ロバート・プレスネル Robert Presnell
脚本:ロバート・リスキン Robert Riskin
撮影:ジョージ・バーンズ[撮影] George Barnes
音楽:ディミトリ・ティオムキン Dimitri Tiomkin
音楽監督:レオ・F・フォーブステイン Leo F. Forbstein
 
出演:
ゲイリー・クーパー Gary Cooper
バーバラ・スタンウィック Barbara Stanwyck
ウォルター・ブレナン Walter Brennan
エドワード・アーノルド Edward Arnold
スプリング・バイイントン Spring Byington
ジェームズ・グリーソン James Gleason
ジーン・ロックハート Gene Lockhart

あらすじ
合理化を進める新聞社からクビを言い渡されたアン(バーバラ・スタンウィック)は、最後の担当コラムで命懸けで政府に抗議する架空の男”JOHN DOE”をでっち上げる。クリスマスの夜に市庁舎屋上から飛び降り自殺すると宣言するJOHN DOEに対し読者の反響が殺到、編集長コネルはアンの解雇を撤回して記事の続行を決定し、元野球選手のホームレス、ウィロビー(ゲイリー・クーパー)を雇ってJOHN DOEに仕立て上げる。わずか50ドルの現金が欲しかっただけで、でっち上げに協力したウィロビーだが、彼の記事が掲載されるごとに新聞の売上げは大幅に伸び、JOHN DOEは大衆のヒーローとなっていく。隣人への愛を訴えかけたラジオスピーチがきっかけとなり、JOHN DOEを中心とした市民運動が全米に広がっていくのだが・・・。


みどころ
フランク・キャプラらしいコメディチックな演出が随所に見られ(ウォルター・ブレナンとの野球ごっこは必見)、それが後半のシリアスな展開を引き立てます。クライマックスの全米集会の場で、彼が権力に破れ退場していくシーンは、偽者の仮面がバリバリとはがれていく音まで聞こえるような迫真の名場面。一度動き出したらとまらない大衆の力とそれを操る権力者の憎憎しさ、なすすべもなく破れぼろぼろになっていく主人公の哀れさ。異様な迫力が伝わってきますね。偽者の予期せぬ大活躍とそれに起因する矛盾を丁寧に積み上げて、絶頂に至ったこの場面でこれでもかというほど見事に破壊する。この崩壊の切れ味にフランク・キャプラの手腕をくっきりと観てとることが出来ます。

個人的には
1930年前後のゲイリー・クーパーの美貌(といっていいと思いますが)とプレイボーイぶりは確かにすばらしいのですが、個人的にはどうも中年クーパーに惹かれるようです。この作品のときゲイリー・クーパーは40歳ですが、”真昼の決闘”で見せた例の憂いを帯びたよう目つきがすでに見られますね。40代後半時の浮気や出演作の不振、病気などで人生の苦難を味わった結果身についた憂愁の表情かと思っていたのですがそうではなかったようです。

権力者に負けない大衆の力、利用するものと利用されるものの駆け引きの末に気づく本当の愛など明確なメッセージが伝わってくる作品ですが、個人的にはゲイリー・クーパー扮するJOHN DOEが戦い敗れてから最後に再び希望の光を見つけるまでのくだり、ここにこそこの映画のすばらしさが凝縮されていると思いました。絶望の底で希望の光を見つけ、ついに一人の人間が偽者から本物へと変わっていく時に、彼の見せる憂愁の表情は実に印象的で、ゲイリー・クーパーという役者を強烈に記憶に焼き付けてくれるのでした。


おすすめ度
★★★★★

群衆群衆

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2006年03月20日

#0070『荒武者キートン』バスター・キートン監督 1923年アメリカ

Our hospitality.jpg
”OUR HOSPITALITY”
監督:バスター・キートン
協同監督:ジョン・G・ブリストーン
製作:バスター・キートン
脚本:クライド・ブラックマン
ジャン・ハベッツ
ジョゼフ・ミッチェル
撮影:ユージン・レスリー
ゴードン・ジェニングス
 
出演:
バスター・キートン
ジョー・ロバーツ
ナタリー・タルマッジ
ジョセフ・キートン

あらすじ
代々いがみ合い争いが続くマッケイ家とキャンフィールド家。嵐の夜、当主同士が拳銃で相撃ちとなる悲劇が起きる。マッケイ夫人は生まれたばかりの息子ウィルをつれてニューヨークの姉を頼り、それから20年の歳月が過ぎた。成人したウィルに亡き父の不動産相続の話が舞い込み、長距離列車で故郷に向かう。その列車に乗りあわせた娘と親しくなるが、実はキャンフィールドの娘。故郷では、キャンフィールド家の男たちが未だにマッケイへの憎しみを忘れていなかった。

みどころ
ゲイリー・クーパーシリーズの最中ですが、図書館によったので視聴覚資料コーナーに立ち寄ったので少し寄り道を。1時間ちょっとしか時間がなかったので、その範囲で収まる作品ということで本作を観賞。

決して笑わぬ喜劇王バスター・キートンの初長編作品。コメディとは思えないシビアな導入部分からコメディ満載のクライマックスへ盛りだくさんな内容ですね。

見せ場のひとつ、特急珍列車は特急とは名ばかり。文字で説明してもあんまり面白くないのですが、機関車に馬車のような客車をくっつけた珍妙な列車。客車の上に載っている御者をぶんぶん前後にふり倒しながら走ります。列車はキートンの愛犬が併走できるくらいの鈍行ぶりで、この犬が一匹ついてくるだけでおかしさが倍増します。

また、到着したキャンフィールドの屋敷では、娘が食事に招待してしまったため、キャンフィールドの男たちは敵と知りつつ屋敷内でキートンを殺すわけにはいきません。かくして、屋敷を出る出ないのドタバタと相成りますが、純粋におかしさで笑っていられるのはこの辺まで。

後半はキートンのどたばたぶりは相変わらずながら、断崖絶壁や激流、果ては滝上(かなり高い)でのアクションとなりますが、この場面スタントマンなし。命がけのドタバタはかなりはらはらもさせられます。実際、急流を流される場面は腰に巻いたロープが原因で重大事故寸前まで行ったらしいですね。飄々とした無表情ながら、コメディにかけるキートンの職人魂が垣間見え、すごいの一言。

個人的には
このブログが始まって初めてのサイレント作品ですね。しかも、喜劇で有名なチャップリン、キートン、ロイドの中では、唯一サイレントとともにその時代を終えたキートンの作品ですから、そういう意味ではもっともサイレントらしいといってもいいのかもしれません。

キャンフィールドの男たちがキートンを狙う場面はサイレントらしいんじゃないでしょうか。昔の拳銃ですから一発撃つたびに銃口から火薬と弾丸を詰めます。そこにできる間をうまく使って追う逃げるのドタバタが展開しますが、ここに「待て!」とか「助けてくれ」なんて会話が入ってくると一気にリズムが変わってしまうだろうと思うんですね。次の弾を込めるキャンフィールドの焦りとか、ドタバタ逃げて行くキートンのあわてぶりとか、単に会話があるかないかの問題ではなくて、アクションだけでおかしさを見せるための考えつくされた演出なんだなと改めて納得しました。

おすすめ度
★★★★★

荒武者キートン
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2006年03月17日

#0069『モロッコ』ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督 1930年アメリカ

morocco.jpg
”MOROCCO”

監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
原作:ベノ・ヴィグニー
脚本:ジュールス・ファースマン
撮影:リー・ガームス 
出演:
ゲイリー・クーパー
アドルフ・マンジュー
マレーネ・ディートリッヒ
ウルリッヒ・ハウプト
ジュリエット・コンプトン
フランシス・マクドナルド
アルバート・コンティ


あらすじ
モロッコに流れ着いたクラブ歌手のアミー(マレーネ・ディートリッヒ)は、外人部隊の色男トム(ゲイリー・クーパー)と出会い恋に落ちるが、彼は事件を起こし前線に送られてしまう。一途に彼女を愛するフランス紳士ベシスの求婚を受け入れ孤独を癒すアミーのもとに、トムが戦闘で重傷を負ったという知らせが届く。

みどころ
ドイツから米国に招かれ、これがハリウッドデビューのマレーネ・ディートリッヒが主演。そのお相手が西部劇の超二枚目スター、ゲイリー・クーパー。とくるともうこの二人以上のみどころは皆無。ひたすら美男美女のメロドラマに酔いつぶれるのがこの作品の正しい見方でありましょう。

監督はマレーネ・ディートリヒのためにそのキャリアを捧げたといってもいいジョセフ・フォン・スタンバーグ。ディートリヒの美しさはいやというほど見せてくれます。

実際、スタンバーグ監督はディートリヒと別れてしまったあと50年ころはもうもぬけの殻、ハリウッドでも過去の人扱いだったそうで、それほどディートリヒに懸けていたんだと思うと作品を見る眼も違ってきます。

マレーネ・ディートリヒは”間諜X27(1931)”でレビューしていますが、30歳前後のこの時期は実にすばらしい。しかし、よくみるとディートリヒの表情というのは、微笑み/無表情のほとんど二つしかないですね。

マレーネ・ディートリヒとヴィヴィアン・リーは、私の中でかなり好きな女優さんですが、喜怒哀楽のすべてにわたって感情表現の職人のようだったヴィヴィアン・リーとは対照的(ヴィヴィアン・リーは舞台の人だからというのもありますけどね)

なぜ、これだけ表情のバリエーションが少ないディートリヒが魅力的なのだろうと改めて見ていたのですが、ああ、なるほどと気づいたことがひとつ。

有名なクーパーが鏡に口紅で書いた別れのメッセージ(I Changed my mind...)。突然彼が消えてしまった後、翌朝彼が前線へと向かうところにベシスと一緒にディートリヒが現れ、特に取り乱すこともなくトムの出征を見送ります。

肩越しに振り向いて兵士の行列を見送るディートリヒの微笑顔にも余裕ありげなので、心に深手も負っていないのかなと思っていると、その後クラブの楽屋でディートリヒは酒びたりになってしまっているらしい。

ベシスが訪れると、また例の微笑み。なんだ?意外と落ち着いているな。しかし、鏡台にむかうディートリヒを追いかけてカメラが鏡を映し出すと、そこにはまだ消されることなく例のトムのメッセージが。そして、微笑んでいたディートリッヒがいきなり持っていた酒をそのメッセージにたたきつけます。

このあたりの激変ぶり、これが彼女の魅力なんですよね。普段あんまり表情に出さないだけに、「ああ、実は心の中ではこんなにも傷ついていたのか・・」とまずはハッと気付かされます。そして「なんて一途な女なんだろ」としみじみ思ってしまうと、ほら、あの美貌ですから、もうディートリッヒのとりこになってしまうのです。笑

そういうことなので彼女の感情表現の少なさはマイナスになっていませんね。むしろ、ほんのたまに見せる感情の吐露とのギャップが際立って閃光のような魅力を発散します。有名なラストシーンも同じような構造だなぁと改めて見惚れました。

マレーネ・ディートリッヒ命のスタンバーグ監督が彼女の特質をうまく活かしたものなのか、それとも計算しつくされた演技なのか、私は知りませんが見事な演出ですなぁ。

個人的には
さて、ゲイリー・クーパー追っかけ中ですが、この”モロッコ”を観るのはまずいなと思ったんですよ。以前”間諜X27”でディートリッヒにはかなり惹かれていたので、きっとクーパーのことはどうでも良くなってディートリッヒばっかりみちゃうだろうなぁと・笑

結果、その通りになてしまったのですが、クーパーも良かったですよ。前回の”闘ふ隊商”では、クーパーのクローズアップがあまりなかったこともあり、今ひとつ印象が定まらなかったのですが、今回はディートリッヒを一途に惚れさせる女好きでありながら一本筋の通った兵士トム・ブラウンがぴったりはまっていて華やかです。

ゲイリー・クーパーは実生活でもかなりの色男ぶりだったそうですが、クラブでディートリッヒからこっそり受け取った鍵を見ながらひそかに笑う、その笑顔辺りを見ると、こりゃたまらんでしょうね、女性には。

この作品から西部劇にとどまらずハリウッドを代表する二枚目としてクーパー人気に火がついたということですが、十分うなづける好演でした。

しかし、しつこいようですが52年の”真昼の決闘”で見せたクーパーの苦渋に満ちた表情。あれが心に残ってしかたがないのですよ。

あの、初老のクーパーと30年代の色男全開のクーパーの間のギャップが大きすぎて、今ひとつぴんとこないので、その中間40年代のゲイリー・クーパーを一本観てみたいと思います。

ということで、次回はフランク・キャプラ監督でバーバラ・スタンウィックと共演した”群集(1941)”

(ディートリッヒのDVDが家にあったらそっちに流れていくところだった・・^^;)

おすすめ度
★★★★☆




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2006年03月14日

#0068『激斗の河(戦ふ隊商)』オットー・ブローワー、デヴィッド・バートン監督 1931年アメリカ

FIGHTING CARAVANS.jpg
”FIGHTING CARAVANS”

監督:オットー・ブローワー
デヴィッド・バートン
原作:ゼイン・グレイ
脚本:エドワード・E・パラモア・Jr
キーン・トンプソン
アグネス・ブランド・リー
撮影:リー・ガームス
ヘンリー・ジェラード
 
出演:
ゲイリー・クーパー
リリー・ダミタ
アーネスト・トレンス
フレッド・コールマー
タリー・マーシャル
ユージン・パレット
ジェーン・ダーウェル


今回も、ネタバレです。

あらすじ
西部開拓の歴史に鉄道が登場する頃。ある幌馬車隊が2500キロかなたのカリフォルニアを目指して出発しようとしていた。ところが、幌馬車隊の若いガイド役クリント(ゲイリー・クーパー)は酒場の喧嘩が原因で保安官に逮捕されてしまう。困った老ガイドビルとジムは、隊に合流させろと頼み込んできたフランス娘フェリス(リリー・ダミタ)に協力を求めて、彼女をクリントの新妻に仕立てて保安官を説得し、彼を救い出すことに成功する。お互いに意識しあいながら旅を続けるクリントとフェリスだが、その行く手ではインディアンが虎視眈々と襲撃のチャンスを狙っていた。

みどころ
活きのいい若者クリントと少しおてんばなフランス娘フェリスの恋の物語ですが、物語の上で重要な位置づけにあるのは二人の老ガイド、ビル(アーネスト・トーレス)とジム(タリー・マーシャル)。クリントの育ての親でもあるこの二人、鉄道建設前の西部の男の象徴のような”じさまコンビ”で、非常にいい味を出します。

bill and jim.JPGじさまコンビは鉄道の進出によってガイドの仕事の地位が危うくなってきたことを認めたくない。それで自分たちが育てたクリントにも自分たちと一緒にガイドとして旅を続けて欲しいわけですね。しかし、クリントがフェリスと結婚してしまうと安定した家庭を求めるフェリスにクリントをとられてしまうと思い、いろいろな入れ知恵をしてじゃまをします。

そもそも自分たちの計略がきっかけで二人は急接近したわけで、あわてて二人の邪魔をしようとするあたりのやりとりがなかなか楽しいのですが、最後の最後は二人が本当に愛し合っていることを知ります。二人はクリントにガイドの時代が終わることを告げて、彼女と結婚することを勧めます。親心ですねぇ。いい場面です。(直後にクリントから年寄り呼ばわりされて殴りあいになるあたり笑わせてくれますが)。


クライマックスでついに襲ってくるインディアンの大群。タイトルどおり河をはさんだ大戦闘が迫力十分ですが、その戦いでも”じさまコンビ”は撃ち倒した相手の数を競うようなハリきりぶり。大活躍の末、壮絶な最期を遂げるじさまたちとともに、古き良き幌馬車時代も終わりを遂げるのでした。

個人的には
ゲイリー・クーパー追っかけ中です。若いですね。1931年の作品ですから、30才ですか。”真昼の決闘”で見せた、あの世界の不幸をすべて背負い込んでしまったような苦しそうな表情(実は撮影時胃潰瘍で本当に苦しかったらしい・・・)とは程遠く、元気いっぱいで体も良く動きます。

でも、20年後の初老の彼のあの苦悩の表情が忘れられないんですよね。もうすでにあの時期は人気に陰りが見え始めていたそうですが。いまひとつ”若い”ゲイリー・クーパーにはいりこむことが出来ませんでした(もみ上げの辺りがちょっとカール気味で、フラメンコダンサーみたいで変だし・・・)。

手元に、前年の1930年に撮られた”モロッコ”がありますので、もう一作この時代のゲイリー・クーパーを観賞してみようと思います。この時代のゲイリー・クーパーにも入れ込めますように^^

おすすめ度
★★★★☆




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2006年03月13日

#0067『真昼の決闘』フレッド・ジンネマン監督 1952年アメリカ

high noon.jpg
”High Noon”

監督:フレッド・ジンネマン Fred Zinnemann
製作:スタンリー・クレイマー Stanley Kramer
原作:ジョン・W・カニンガム
脚本:カール・フォアマン Carl Foreman
撮影:フロイド・クロスビー Floyd D. Crosby
作詞:ネッド・ワシントン Ned Washington
音楽:ディミトリ・ティオムキン Dimitri Tiomkin
 
出演:
ゲイリー・クーパー Gary Cooper
グレース・ケリー Grace Kelly
トーマス・ミッチェル Thomas Mitchell
ロイド・ブリッジス Lloyd Bridges
ケティ・フラド Katy Jurado
アイアン・マクドナルド
ヘンリー・モーガン Henry Morgan
ロン・チェイニー・Jr Lon Chaney Jr.
ジャック・イーラム Jack Elam
ハリー・シャノン Harry Shannon
リー・ヴァン・クリーフ Lee Van Cleef
ロバート・J・ウィルク Robert J. Wolke
シェブ・ウーリー Sheb Wooley


ネタバレです。すみません。

あらすじ
ハドリービルの保安官ウィル(ゲイリー・クーパー)は結婚式をあげ、保安官を退職してこの町を離れることになっていた。ところがそこに昔彼が捕らえたならず者ミラーが戻って来るとの知らせが入る。到着は正午の列車、駅にはすでにミラーの仲間の殺し屋たちが彼の帰りを待ち構えている。一味がウィルに仕返しにやって来るのは火を見るより明らか。
この町の保安官である最後の一日。結婚したばかりの若妻エミー(グレイス・ケリー)の必死の訴えを退け、ウィルはミラー一味を迎え撃つためもう一度バッジを胸に付ける。

みどころ
思わず固唾をのんでゲーリー・クーパーの後ろ姿を見つめてしまいます。西部劇イコール正義の味方。すなわちヒーローものですよね。ヒーローには余裕ってものがあるものです。圧倒的な強さから来る余裕であれ、命を捨てた潔い諦観から来るものであれ、悪と対峙するのに全く余裕のなくなってしまっているヒーローっていないじゃないですか。その余裕がなかなか凡人にはかなわないから、観てる方はすごいなあとも思い、スカッともするわけですですよね。

ところが主役ゲイリー・クーパー ・・・ いっぱいいっぱいです。

誰の助けも得られずがけっぷちのプライドにすがって突っ張ってます。
追い詰められたまなざしで住民たちに必死に支援を求めますが誰も味方してくれません。

思わず、陰口をたたいていた男を殴り倒してしまいます。
友人のうちに行って居留守を使われ、応対に出た夫人に恨めしげな眼を向けます。
汗をぬぐう、カウボーイハットのへりをしごく、すべての動作にあせりとおびえが見えます。
挙句の果てに、住民たちから迷惑だからさっさと街を離れてくれと言われてしまいます。

それでも、ゲイリー・クーパー、保安官の誇りにかけて悪党と戦おうとします。
保安官事務所に戻り、味方になると申し出た最後の一人が敵の人数を聞いて逃げ出した後、思わず机に突っ伏し、思いつめたように遺書を書くゲイリー・クーパー。

ついに正午となり、駅に向かって歩き出すゲイリー・クーパーの後姿をカメラが捉えます。そこからカメラが後方上に引いて引いて町全体の姿がカメラに収まったとき、ゲイリー・クーパー完全に一人ぼっちです。人っ子ひとり見あたらない、完璧な孤立無援が映し出された一瞬に、観ているこちらも思わず「ああっ」と絶望のため息を漏らしてしまうのです。

その後の決闘シーンと、見せ場をつくるグレース・ケリーも良いのですが、このひとりぼっちのワンシーンがこの映画のクライマックスじゃないかなと、ひそかに思うわけです。

この作品はリアルタイムでストーリーが進行(ちょっと前に話題になったドラマ「24」と同じ)します。助けを求めて町中を歩き回るゲイリー・クーパーの姿と、刻々と12時に近づく時計の針が緊張感を盛り上げますね。そして、極めつけは駅でボスの帰りを待つ3人の殺し屋。何をするでもなく駅でたむろしているだけですが、その姿が眼に映るたびに真昼の決闘の行方が頭をよぎり、サスペンス度合いがぐぐっぐぐっと引き上げられていきます。ジンネマン監督お見事。

個人的には
どちらかというと、グレース・ケリー目当てでこの作品をチョイスしたのです。グレース・ケリーの実質的なデビュー作ですからね。良かったですよ。前にレビューした”泥棒成金”や”裏窓”の頃と比べて演技が硬い感じはしますが、それも初々しいというのでしょう。

しかし、それよりもこの作品ではゲイリー・クーパーに一目ぼれしてしまいました。あの眼ですよ。あの眼。しばらく追いかけることにしました^^


おすすめ度
★★★★★

ということで、次回は、ゲイリー・クーパーの若い頃の作品。”戦ふ隊商 激闘の河”




真昼の決闘
真昼の決闘スタンリー・クレイマー

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2006年03月09日

#0065『ハリーの災難』アルフレッド・ヒッチコック監督 1956年アメリカ

trouble-with-harry.jpg”THE TROUBLE WITH HARRY”

監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:アルフレッド・ヒッチコック
原作:ジャック・トレヴァー・ストーリー
脚本:ジョン・マイケル・ヘイズ
撮影:ロバート・バークス
音楽:バーナード・ハーマン 
出演:
エドマンド・グウェン
ジョン・フォーサイス
シャーリー・マクレーン
ミルドレッド・ナトウィック
ローヤル・ダーノ

あらすじ
引退した船乗りワイル船長は兎を撃ちに出掛けた森の中で男の死体を発見する。自分が誤って打ち殺したと思い込んだ船長はなんとか死体を埋めて隠してしまいたいのだが、その度に近所の住人が現れてままならない。なんとか画家のサムの協力を得て死体を埋め、ようやく一件落着かと思われたが…。

みどころ
この映画は何かの実験でしょうか?ずいぶん変わった作品でなんともいえない違和感がありますね。森の中に死体が転がってるでしょ、それを何人もの人間が目にします。誰も驚かない。

きれいな景色の中で、だれにも死体らしく扱われることのない死体・・・?  違いますね。

隠そうとか死因を確認しようとかやってるので、死体としては扱われているわけですが、だれも驚きもしないしうろたえもしないところが違和感なのか。

よくわからないので、ちょっと定本を確認してみることに・・・・。

やっぱりそのようですね。”型にはまった映画の通年を打ち破って、すべてコントラストを強調しながら描いてみた”とヒッチコックが言っています。要は、何につけ物事がそれにふさわしいのとは逆のシチュエーションの中で起きるということです。だから、死体があっても誰も驚かないし、ラブシーンはロマンチックな夜ではなく、真昼間の明るい光の中で起こるのだと。

”アンダーステートメント”という言葉も使っていますが、その心は「この上なくドラマチックな事柄を、この上なく軽快に表現すること」ということ。ヒッチコックお気に入りの映画原理なんですって。アンダーステートメントが冴え渡った本作はヒッチコック監督のとりわけお気に入りの作品ということでした。

個人的には
うーん、まだまだこの映画を独自解釈できるだけの力量はないですねぇ・笑。それほど、変わった作品です。この作品を評して”オトボケ”という表現が散見されますが、”オトボケ”というような明るいニュアンスよりももっとブラックなものを感じるのですが。景色がきれいで、登場人物がしゃれているだけに余計起きている物事の異常さが怖いです。特に、シャーリー・マクレーン扮するジェニファーが、おかしいでしょやっぱり、異常ですよね。それに、普通に恋する画家のほうがもっと異常という気もしますが・・・。こんな、アブな映画を作ってしまうヒッチコックはやっぱり偉大。

ちなみに、シャーリー・マクレーンはこの作品がデビュー作。”はでなおばさん”のイメージしかありませんでしたが、なかなかよし^^

おすすめ度
★★★☆☆

次回は、西部劇のほうに行って、グレース・ケリーの出世作となった”真昼の決闘”






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2006年03月06日

#0064『泥棒成金』アルフレッド・ヒッチコック監督 1955年アメリカ

TO CATCH A THIEF.jpg
”TO CATCH A THIEF”

監督: アルフレッド・ヒッチコック
製作: アルフレッド・ヒッチコック
原作: デヴィッド・ダッジ
脚本: ジョン・マイケル・ヘイズ
撮影: ロバート・バークス
音楽: リン・マーレイ
 
出演:
ケーリー・グラント
グレース・ケリー
シャルル・ヴァネル
ブリジット・オーベール
ジェシー・ロイス・ランディス
ジョン・ウィリアムズ


あらすじ
南仏リヴィエラのリゾートホテルで、大胆不敵な宝石泥棒が横行。警察はその手口から往年の大泥棒”キャット”ことジョン・ロビー(ケーリー・グラント)の犯行を疑う。すでに、引退し農園で悠々自適の生活を楽しんでいたロビーは、警察の手を逃れつつ、保険会社と手を組んで真犯人を突き止めようとする。アメリカの石油成金スティーブンス夫人(ジェシー・ロイス・ランディス)とフランセス(グレース・ケリー)母娘が次に狙われる踏んだロビーは、二人に近づきキャットの出方を伺う。

みどころ
すべてのロケを南フランスで行ったおしゃれなおしゃれなサスペンス。50年代のヒッチコック映画は、きれいなカラーのものが多いですね。”知りすぎていた男”とか”北北西に進路を取れ”とか。ずいぶんカラーに気を使ったんだろうなぁと苦労がしのばれますよ。この”泥棒成金”舞台が南フランスの高級リゾートだけに、さらにきれいです。花市場も花火も仮装舞踏会も、まあきれい。

撮影のロバート・バークスは、”見知らぬ乗客”からヒッチコックと組んでるんですね。"見知らぬ乗客”でも影の使い方とか、めがねに殺人シーンが写るなど凝った映像が記憶に残っていますが、カラーでも遺憾なく才能が発揮されています。この作品でアカデミー賞撮影賞(カラー)獲得ですか。納得できます。南仏の風景カタログのような空撮もホントに見事です。

64年のマーニーまで、”サイコ”を除くすべてのヒッチコック作品でロバート・バークスが撮影を担当していますね。ヒッチコックの信頼絶大であったようです。

さて、その美しい撮影で繰り広げられるストーリーはテンポの良い軽めのコメディ・タッチサスペンスですが、こういう話は難しいこと考えちゃだめですね。

心を開けっぴろげにしてすべて前向きにに受け入れる姿勢で、とにかくケーリー・グラントとグレース・ケリーが繰り広げるおしゃれな追っかけっこを素直に受け入れて楽しむだけ楽しんじまうのが一番です。

(いつもヒッチコックがこだわっている悪役の造形が今ひとつピシャッとはまっていないような気もしますが、まあそれもまたよし。)

個人的には
裏窓でもすばらしかったイーディス・ヘッドの衣装はこの作品でまさに満開。DVDの特典映像にイーディス・ヘッドの特集がありました(かよちーのさん、教えてくれてありがとう^^)。

女優一人一人とコミュニケーションを尽くして彼女たちの長所を最大限引き出す衣装作りに徹し、女優から自分たちの気持ちをわかってくれる衣装デザイナーとして絶大な信頼を得ていたそうです。

グレース・ケリーが”裏窓”で着ていた青地に黄色い花柄のワンピースと”泥棒成金”でドライブのときに着ているピンク地に白い模様のツーピース。近寄りがたいくらい美しいグレース・ケリーがちょっと親しみやすく感じられて、ああいいなぁとしみじみ思いますね。イーディス・ヘッドがグレース・ケリーのクールな面に隠された人懐こさのようなものを引き出したいと考えていたんだとしたら、これほどぴったりの衣装はほかになかっただろうと思わせます。いやすごい。

カメラとか衣装とかあらゆる視覚的な要素を駆使して観客の心を捕らえようとする「映画」というものの魅力が今までよりもすこーしよく理解できたかも知れません(なんてね・笑)

今まで、映画監督以外のスタッフにほとんど目を向けていなかったのですが、これからいろいろ気にかけてみたいと思います。


おすすめ度
★★★★☆

次回は、ハリーの災難





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2006年03月05日

#0063『裏窓』アルフレッド・ヒッチコック監督 1954年アメリカ

rear-window.gif
”REAR WINDOW”

監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:アルフレッド・ヒッチコック
原作:コーネル・ウールリッチ
脚本:ジョン・マイケル・ヘイズ
撮影:ロバート・バークス
音楽:フランツ・ワックスマン
 
出演:ジェームズ・スチュワート
   グレース・ケリー
   レイモンド・バー
   セルマ・リッター
   ウェンデル・コーリイ


あらすじ
フォト・ジャーナリストのジェフリーズ(ジェームズ・スチュアート)は左足を骨折してアパートから動くことが出来ない。暇つぶしに部屋の窓から向かいのアパートの住人たちを観察していたが、仲の悪い中年夫婦の妻がある日を境に姿を消す・・・。

みどころ
主人公のジェフは、車椅子に釘付けの状態。物語はこのジェフの目を通してすべてが語られるため、観客もジェフと同じく一歩も部屋から出ることがありません。彼が外の世界と接するための唯一の方法が、裏窓から双眼鏡と望遠レンズでのぞくこと。

中年夫婦の妻が姿を消すまでは、「裏のアパートの世界」はジェフとは全く関係がないわけで、その意味ではテレビを見ているのと同じ。セクシーな美女を眺めてニヤついてみたり、寂しい独身女にちょっと同情してみたり、こちら側も気ままに接していれば済む一方的な関係です。

しかし、妻の失踪をきっかけに徐々にジェフと「裏のアパートの世界」に接点ができ、裏のアパートの世界は一方的な観察の対象から働きかける対象に変化してきます。

とはいえ、彼は車椅子から動けないため、「裏のアパートの世界」に働きかけるのは恋人リサと家政婦ステラ。一方的な観察のための道具であった双眼鏡や望遠レンズとは違い、リサやステラは怪しい夫婦の住所氏名を調べたりいわくありげな花壇を調べたり、積極的にアクセスすることが出来ます。

アクセスするたびに、ほうっておけば何も関係がなかったはずの世界とジェフの接点がだんだん大きくなっていきますよね。

でも、そこで起きていることがもし本当ならば、それはジェフの身に大変な危険を及ぼしかねないことなのです。

ああ、あんまりちょっかい出すと恐ろしいことになるかもしれないのに。。。
もし、気づかれたらこちらは逃げることもなにもできないのに。。。

そのあたりのムズムズするような居心地の悪さがなんとも言えず良いのです。

そして、「裏のアパートの世界」の怪しい夫(レイモンド・バー)がこちらに気づき視線を向ける瞬間。部屋から動かないカメラの閉塞的な映像の中に1時間40分にわたって充満していく居心地の悪さがパンパンに盛り上がって、それが一気に具体的な恐怖に姿を変えるこの瞬間が、あらためてヒッチコックのすごさを思い知らせてくれます。(レイモンド・バーは、このシチュエーションではこれしかないというくらい悪そうで怖そうな顔で最高)

個人的には
50年代半ばに作られたグレース・ケリーの3本の作品。もちろんグレース・ケリー本人も素敵ですが、衣装がいいですね。今回も初登場のときに彼女が来ている黒いノースリーブと白いスカートのドレスがすばらしい。衣装をデザインしたイーディス・ヘッドについては名前くらいしか知りませんでしたが、研究してみようと思います。


おすすめ度
★★★★☆

次回もう一本ヒッチコックで、泥棒成金。




裏窓
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2006年02月28日

#0062『山羊座のもとに』アルフレッド・ヒッチコック監督 1949年アメリカ

Under capricorn.jpg”UNDER CAPRICORN”

監督:アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作:シドニー・バーンスタイン
    アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作:ヘレン・シンプソン
脚本:ジェームズ・ブリディ James Bridie
潤色:ヒューム・クローニン Hume Cronyn
撮影:ジャック・カーディフ Jack Cardiff
    ポール・ビーソン Paul Beeson
    イアン・クレイグ Ian Craig
 
出演:イングリッド・バーグマン Ingrid Bergman
    ジョセフ・コットン Joseph Cotten
    マイケル・ワイルディング Michael Wilding
    マーガレット・レイトン Margaret Leighton


完全ネタバレしてます。ご注意ください。

あらすじ
オーストラリアを訪れたイギリス総督の甥アデア(マイケル・ワイルディング)は、街の大立者フラスキー(ジョセフ・コットン)と知り合った。変わり者で鳴るフラスキーの家に招かれたアデアは、彼の妻ヘンリエッタ(イングリッド・バーグマン)に出会うが、彼女は夫婦仲がうまくいかないことから酒におぼれ精神的におかしくなってしまっている。ヘンリエッタが姉の友人であることを知ったアデアは、彼女を立ち直らせようと献身的に努力する。

みどころ
19世紀のオーストラリアを舞台とした半時代劇(=コスチュームドラマ)。ヒッチコック監督作品でコスチューム系は初めて見ましたね。これ以降は二度と作らなかったと語っていますが、イギリス時代とかにはあったんでしょうか。

当代随一のイングリッド・バーグマン主演なのにヒッチコックの作品中最低の興行成績?興したばかりの独立プロダクションが経営危機? なぜそんなことになったのだろうと興味津々で鑑賞しました。

よほどの凡作なのかと思っていましたがドラマとしては、意外と良くできてると思います。

貴族の令嬢(バーグマン)と馬丁(コットン)がすべてのしがらみを振り捨てて駆け落ちし、苦難を共に乗り越えて経済的な成功をつかむ。それでもなおかつ埋めきれない溝として身分の相違が夫婦を苦しめる。その溝に漬け込む悪人やなんかが波乱を起こしつつも、最後には夫婦の絆を取り戻すという、夫婦再生のロマンスとしては結構いいんですよ。アル中風情から立派なレディに立ち直る様変わりを見せるイングリッド・バーグマンもかなり見応えがあります。

しかし、ヒッチコックに期待するものとは違ったということなんでしょうね。本人も言っている通り、サスペンスでもミステリでもないですから。夫婦愛のロマンスです。事前期待と違うということです。しかも、ロマンスならそれに徹すれば良かったかもしれません(ヒッチコックにはありえと思いますが)が、わずかなサスペンスの小道具として登場する”首”などが、唐突でものすごく安っぽく見えてしまうのです。結局は、”ヒッチコックブランド”を売り間違えたといことですね。

バーグマン年表にも書きましたが、撮影開始時に「バーグマンさえ獲得できればすべてうまくいく」とヒッチコックは思い込んでいたそうで、円熟期のヒッチコックほどの監督をしてもこれほどミスをしかねないのだという意味で一見の価値がある作品です。


個人的には
印象的だったのは、フラスキーの屋敷の造形。素晴らしいです。夜の全体が青く浮かび上がる色合いも美しいのですが、そこを長めのカットでなめるように撮影していくところが、屋敷の不気味さをゾクゾク感じさせます(なのにサスペンスに結びつかないところがこれがまた・・・)。

もうひとつ、この作品に登場する女中ミリーとレベッカに登場するダンヴァース夫人はどちらがキャラとしてインパクトがあるかという話があるようですが、個人的には文句なくダンヴァース夫人に軍配を上げます。死人に忠誠を誓っているようなアブノーマルな女に、主人をたぶらかそうとしている程度の小娘が勝てるわけも無し。


おすすめ度
★★★☆☆

次回はいよいよ50年代黄金時代にはいります。裏窓。





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posted by FROST at 22:45| 埼玉 ☁| Comment(3) | TrackBack(2) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月25日

#0061『西部開拓史』ヘンリー・ハサウェイ、ジョン・フォード、ジョージ・マーシャル監督 1962年アメリカ

how the west was won.jpg”HOW THE WEST WAS WON”

監督:ヘンリー・ハサウェイ Henry Hathaway
   ジョン・フォード John Ford
   ジョージ・マーシャル George Marshall
製作:バーナード・スミス Bernard Smith
脚本:ジェームズ・R・ウェッブ James R. Webb
撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ William H. Daniels
   ミルトン・クラスナー Milton Krasner
   チャールズ・ラング・Jr Charles Lang Jr.
   ジョセフ・ラシェル Joseph LaShelle
作曲:アルフレッド・ニューマン Alfred Newman
   ケン・ダービー Ken Darby
 
出演:カール・マルデン Karl Malden
   キャロル・ベイカー Carroll Baker
   ジェームズ・スチュワート James Stewart
   ジョン・ウェイン John Wayne
   デビー・レイノルズ Debbie Reynolds
   グレゴリー・ペック Gregory Peck
   ジョージ・ペパード George Peppard
   リチャード・ウィドマーク Richard Widmark
   ヘンリー・フォンダ Henry Fonda
   キャロリン・ジョーンズ Carolyn Jones
   アグネス・ムーアヘッド Agnes Moorehead
   セルマ・リッター Thelma Ritter
   クロード・エイキンス Claude Akins
   ウォルター・ブレナン Walter Brennan
   リー・J・コッブ Lee J. Cobb
   アンディ・ディヴァイン Andy Devine
   ハリー・ディーン・スタントン Harry Dean Stanton

あらすじ
1830年代、アメリカ東部の農民ゼブロン(カール・マルデン)の一家は、西部を目指すが筏で川を下る途中で激流に飲み込まれてゼブロンと妻は死亡。残されたイーブ(キャロル・ベイカー)とリリス(デビー・レイノルズ)の姉妹はそれぞれのやり方で西部を生き抜いていく。1830年代から80年代にかけての50年間を壮絶に生きたプレストン家の三代に渡る人間ドラマ。

みどころ
なんといっても、一番の見所は「シネラマ」映像。この技術を見せるための映画かなと、正直そう感じました。35mmカメラ3台を使って同時撮影、半円形に湾曲した映像に交差投影するという大掛かりな撮影方式で、映像だけでなく音声も7チャンネルで録音。観客はその場面の中にいるような興奮が味わえるというもの。仕掛けが大掛かりゆえに10年ほどしか使われなかったということです。

私の自宅でDVDを観る分には大きくても32インチTV画面がせいぜいなのですが、それでもやはり迫力満点。西部の山並み、草原などのランドスケープはもとより、失踪する馬車、水牛の暴走、激流など横方向の移動映像が見事です。南北戦争のシーンで画面の左奥から右手前にかけて順に大砲が火を噴くシーンは本当に大画面で観たいと思いました。

ストーリーがあまりに壮大で2時間40分を超える長尺であるにもかかわらず収まりきっていない感じがしますね。オムニバス形式で24人のスターが入れ替わり登場しますが、全体の印象としてはかなり忙しい。全体を一本の映画としてみようとするとストレスがあるかもしれません。また、いわゆるガンマン対決のようなアクション系西部劇を期待すると少し期待が外れるかもしれませんね(最後の列車での対決はそれなりに迫力ありますけどね)

ただし、これを題名どおり西部開拓の歴史を垣間見る映像集としてみると実に興味津々。西部の町が発展していく様子や、鉄道敷設競争、インディアンとの攻防、人々の民度の向上など、150年前にアメリカで繰り広げられていた歴史をまさに実感することができます。

また、5つのストーリーを通して登場するリリス役のデビー・レイノルズが要所要所ですばらしい歌声を披露しておりミュージカル的な楽しさも味わうことが出来ます。

個人的には
ストーリーのひとつにグレゴリー・ペックが出てますね。で金目当てにリリスに近づき、紆余曲折を経て真の愛に目覚めるばくち打ち兼詐欺師という役柄ですが、やっぱりこういう役のほうが生き生きして見えます。
あとは、どうでもいい事ですがシネラマの3つのスクリーンの継ぎ目が気になります・笑

おすすめ度
★★★☆☆




さて、次回は久しぶりにヒッチコックに戻って”山羊座のもとに”イングリッド・バーグマンですねぇ^^

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2006年02月21日

#0060『リオ・ブラボー』ハワード・ホークス監督 1959年アメリカ

rio_bravo.jpg
"RIO BRAVO"

監督:ハワード・ホークス Howard Hawks
製作:ハワード・ホークス Howard Hawks
原作:B・H・マッキャンベル Barbara Hawks McCambell
脚本:ジュールス・ファースマン Jules Furthman
    リー・ブラケット Leigh Brackett
撮影:ラッセル・ハーラン Russell Harlan
音楽:ディミトリ・ティオムキン Dimitri Tiomkin
 
出演:ジョン・ウェイン John Wayne
    ディーン・マーティン Dean Martin
    リッキー・ネルソン Ricky Nelson
    アンジー・ディキンソン Angie Dickinson
    ウォルター・ブレナン Walter Brennan
    ウォード・ボンド Ward Bond
    ジョン・ラッセル[役者] John Russell
    クロード・エイキンス Claude Akins
    ハリー・ケリー・Jr Harry Carey,Jr.
    ペドロ・ゴンザレス=ゴンザレス
     Pedro Gonzales-Gonzales


あらすじ
酒場の些細ないざこざで人を殺したジョーを逮捕監禁した保安官チャンス(ジョン・ウェイン)。ジョーは大牧場主で町の顔役ネイサン・バーデットの弟。ネイサンはジョーを取り返すために手段を選ばず襲いかかってくる。迎え撃つのはチャンスと、かつての銃の名手でいまやアル中のデュード(ディーン・マーチン)、足の悪い偏屈老人スタンピー(ウォルター・ブレナン)、行掛りで保安官助手になった若い二丁拳銃使いコロラド(リッキー・ネルソン)の4人のみ!

みどころ
物語の大部分は小さな町の保安官詰め所と宿屋で繰り広げられます。”大いなる西部”が西部の雄大な自然を美しい映像で見せることで、人間(と人間同士のいざこざ)の小ささとを強調していたのとは対照的に、非常に狭い範囲で展開する西部劇です。

場面に変化がなく、悪役の中心バーデット兄弟もほとんど姿を見せませんから、これはジョン・ウェイン、ディーン・マーティン、リッキー・ネルソン、ウォルター・ブレナンとジョン・ウェインに絡む超脚線美アンジー・ディキンソン、彼ら5人をじっくり観ろと言うことなのでしょう。

冒頭5分ほど一切せりふがなく、アクションと効果音的な音楽のみで酒場の喧嘩シーンが進行しますが、満を持してジョン・ウェインが開口、「You are under arrest, Joe」 か・かっこいいぃ・・・。ツバを顔の前でちょっと折ったカウボーイハットに赤いシャツと革のベスト、手にはライフル。ほんとに決まりますね、ジョン・ウェイン。

そんなジョン・ウェインを見ているだけでも幸せですが、ディーン・マーチンを筆頭に共演者もそれぞれの魅力を最大限に引き出した演出はさすが職人ハワード・ホークス。決戦を前にして自信を取り戻したディーン・マーチンとリッキー・ネルソンが掛け合いつつ歌う”ライフルと愛馬”にまた惚れ惚れ。

加えてアンジー・ディキンソンのこれでもかの脚線美に見惚れます。しかし、西部劇でよくこれだけ脚を出すシーン作りましたね・笑 そして最後はやっぱり、”赤い河”でも絶妙だったウォルター・ブレナン、「ひ」と「へ」の間で響き渡るあの笑い声。ああ、楽しい!

挿入歌「ライフルと愛馬(Just my rifle, my pony and me)」について:::SCREEN:::の十瑠さんにお約束していたのですが、これ”赤い河”の主題曲と同じメロディですね。

赤い河”のオープニングで流れる主題曲はオーケストラ伴奏のコーラスですが、作品が古いために音声自体不明瞭です。そのため歌詞がよく聞き取れないのですがサビの部分は Just my rifle, my pony and me〜♪ とは歌っていないようです。”赤い河”のオープニングロールも良く見てみましたが、該当の曲名もなし。ディミトリ・ティオムキン作曲の”Settle Down"という曲名が唯一クレジットされていますがこれが主題曲の名前なのでしょうか。

ということで、歌詞が違う、題名も違うということなのですが、メロディは間違いなく「ライフルと愛馬」です。リオ・ブラボーの挿入歌としてリメイクしたということなのでしょうか。

個人的には
久しぶりのハワード・ホークス。西部劇の楽しさが素直に伝わる名作だと思います。また、アンジー・ディキンソンが見事なほど好み・笑 作曲家バート・バカラックの奥さんだったんですね。かなり多作の人なので機会があればほかの作品も見てみようと思います。

おすすめ度
★★★★★

次回、西部開拓史

リオ・ブラボー
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2006年02月19日

#0059『アラバマ物語』ロバート・マリガン監督 1962年アメリカ

TO KILL A MOCKINGBIRD.gif”TO KILL A MOCKINGBIRD”

監督: ロバート・マリガン Robert Mulligan
製作: アラン・J・パクラ Alan J. Pakula
原作: ハーパー・リー
脚本: ホートン・フート Horton Foote
撮影: ラッセル・ハーラン Russell Harlan
音楽: エルマー・バーンスタイン Elmer Bernstein
 
出演:グレゴリー・ペック Gregory Peck
    メアリー・バダム Mary Badham
    フィリップ・アルフォード Phillip Alford
    ジョン・メグナ John Megna
    ブロック・ピータース Brock Peters
    ロバート・デュヴァル Robert Duvall


あらすじ
田舎町に住むスカウトとジェムの兄妹。父のアティカス(グレゴリー・ペック)は正義感強い弁護士。ある日判事からレイプ容疑の黒人青年を弁護するよう依頼される。人種差別の激しい時代、町の住人は彼ら家族に対する敵意をあらわにする。住人の襲撃にも一歩も引かないアティカス。そして裁判が始まる。

みどころ
黒人差別を扱った社会派ドラマ。6歳の娘スカウトの視点で描かれています。

オープニングのタイトルバックが凝ってますね。古い映画のタイトルバックは大体飾り文字のタイトルとスタッフ/キャストに音楽と相場が決まっているものですが、子供の鼻歌をバックに人形や時計の入ったおもちゃ箱、ビー玉をクローズアップで追うショット、題名にもなっているものまね鳥の絵などこれだけで一つの短編作品のような美しさ。ストーリーの暗示とともに「子供の頃のよき思い出」へのイントロとして実に見事です。

そして、美しいイントロに導かれて始まる物語、前半はとなりに住む怪人ブーを巡る子供たちのちょっとした冒険。夏休みだけこの街に帰ってくる少年を含めて、3人がそれぞれちょっと生意気で好奇心旺盛でとても子供らしく微笑ましい。また、子供たちから観た平和で古めかしい田舎町の様子がよく描かれていると思います。後半は法廷劇からサスペンス絡みのクライマックスへと前半とは違った趣でストーリーは進みます。

グレゴリー・ペックは今回も実に居住まい正しい正義の弁護士役ですが、物語全体が成長したスカウトの子供時代の回想という形になっているため、あくまでも正義を貫く父の姿もいやみにならずうまく映像になじんできます。

前回も少しそのようなことを書きましたが、グレゴリー・ペックが正義の味方を演じるとあまりにはまりすぎて遊びがなくなりつまらなく感じるのですが(個人敵にですよ)、この作品ではそのあたりを考慮したものかどうか、結果的には実にうまくグレゴリー・ペックの特徴を生かした構成になっていると思いました。ロバート・マリガン監督やりますねぇ。

恐ろしい噂のみで姿を見せないブーは、白人世界にはびこる黒人蔑視の偏見の象徴なのでしょう。クライマックスでその正体をあらわすわけですが、正体が現れてみると恐れていた怪人とはまったく違い、噂が何の実態もない思い込みだということがわかります。ラストシーンでスカウトとブーが手をつないで家に帰るシーンが、いかに偏見というものがつまらないものかをすっきりと見せており、メッセージ性という意味でも非常に感心させられました。

個人的には
グレゴリー・ペックの正義の弁護士は私的には鬼門の役柄だったのですが、全体構成の妙でいやみなく観ることが出来ました。彼が年をとったということもあるのかもしれません。押さえが利いたよい演技だったと思います。

全体には地味な映画で、前半は子供たちのドラマの位置づけがわからず少し退屈になりましたが、中盤からラストにかけては満足して観ることが出来ました。ラストシーンはカメラがすーっと上に引いていき、古き良き少女時代の物語の気持ちの良いエンディング。イントロとエンディングが見事。

(ブー役のロバート・デュバルにちょっと驚いた・笑)

おすすめ度
★★★★☆

さて、グレゴリー・ペックはいったん終了です(”西部開拓史”はあるんですけどね)。次回は西部劇シリーズ、まずは”リオ・ブラボー

アラバマ物語(1962) - goo 映画
アラバマ物語@映画生活

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2006年02月15日

#0058『ローマの休日』ウィリアム・ワイラー監督 1953年アメリカ

romanholiday.jpg

"ROMAN HOLIDAY"

監督:ウィリアム・ワイラー William Wyler
製作:ウィリアム・ワイラー William Wyler
原作:ダルトン・トランボ Dalton Trumbo
脚本:イアン・マクレラン・ハンター Ian McLellan Hunter
ジョン・ダイトン John Dighton
ダルトン・トランボ Dalton Trumbo
撮影:フランク・F・プラナー Frank F. Planer
アンリ・アルカン Henri Alekan
編集:ロバート・スウィンク Robert Swink
音楽:ジョルジュ・オーリック Georges Auric
 
出演:オードリー・ヘップバーン Audrey Hepburn
グレゴリー・ペック Gregory Peck
エディ・アルバート Eddie Albert
テュリオ・カルミナティ Tullio Carminati
パオロ・カルソーニ Paolo Carlini
ハートリー・パワー Hartley Power

あらすじ
欧州を歴訪中のある小国の王女アン(オードリー・ヘップバーン)。過密スケジュールで神経衰弱気味。ある夜付き人の目を盗んで夜のローマの街へと逃げ出してしまう。医師から処方された鎮静剤の為に寝込んでしまった彼女を助けた新聞記者ジョー(グレゴリー・ペック)は、彼女がアン王女であることに気づき特ダネ獲得のため彼女と一日休暇を過ごす。

みどころ
ストーリーもオードリー・ヘップバーンもローマのロケも、いうことなしですねぇ。いまさら拙いレビューを書き記すこともないと思いますが、それでは記事になりませんので改めて「ああ、いいなぁ」と思ったシーンを。

真実の口のシーン。グレゴリー・ペックから「嘘つきは手を噛みちぎられるゾ」ときいたオードリー、手いれてみようとするんですが怖がってできません。グレゴリー・ペックが代わりに手を入れて、「食われたぁっ」ってなもんで騙します。うろたえるオードリー。うそだよとばかり手を出すグレゴリー。騙されたと知ってばかばか殴りするオードリー。

このシーンにこの映画の魅力が全部詰まってますよね。疑うことを知らない王女の育ちの良さも。なのに自分がうそをついていることに対する微妙な罪悪感とドキドキ感も。それからなによりも王女の純粋な無邪気さも(思わず顔が緩んでしまう)。おまけに、グレゴリー・ペックが最後には本当のことを告げるストーリの暗示があり、二人の恋を予感させて終わる1分30秒ほどのこのシーン、不安そうな表情のオードリーといたずらっぽい目のグレゴリー・ペックのクローズアップ、それに無表情な石像の顔がぽんぽんと切り替わってテンポも抜群。最後は石像の顔のアップが入っていかにも”私が二人を取り持ちました”と自慢しているいるようじゃないですか。ああすばらしい。

個人的には
ということで、作品とオードリー・ヘップバーンは最高。で、注目のグレゴリー・ペックは・・・。
いいですよね。コメディタッチの軽い感じの演技が意外にぴったりはまっている感じがします。オードリーという花の周りを飛び回る役の位置づけも良いのかもしれません。今まで観た中でグレゴリー・ペックが最前面に出てくる作品はどうも遊びがなくなっちゃっていけません(”紳士協定”とか)。そういう意味では、共演者を選ぶ俳優なのかも知れませんね。そのあたり、次回の”アラバマ物語”で確認してみましょう。グレゴリー・ペックが正面に立ち、かつ堂々オスカーを獲得した作品、興味ありです。

おすすめ度
★★★★★




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2006年02月12日

#0057『白昼の決闘』キング・ヴィダー監督 1946年アメリカ

Duel in the Sun.jpg
”DUEL IN THE SUN”

監督: キング・ヴィダー King Vidor
製作: デヴィッド・O・セルズニック David O. Selznick
撮影: リー・ガームス Lee Garmes
    レイ・レナハン Ray Rennahan
    ハロルド・ロッソン Harold Rosson
音楽: ディミトリ・ティオムキン Dimitri Tiomkin
 
出演: グレゴリー・ペック Gregory Peck
    ジョセフ・コットン Joseph Cotten
    ジェニファー・ジョーンズ Jennifer Jones
    ライオネル・バリモア Lionel Barrymore
    リリアン・ギッシュ Lillian Gish
    シドニー・ブラックマー Sidney Blackmer
    ハリー・ケリー Harry Carey


あらすじ
インディアンと白人の混血娘パールは、父親が刑死したことにより父の昔の恋人ローラ・マカンレイ(リリアン・ギッシュ)のもとに引き取られる。マカンレイ家には、実直な長男ジェシー(ジョセフ・コットン)と放蕩の次男ルート(グレゴリー・ペック)がいた。パールは、ジェシーのやさしさを愛しながらも、強引なルートに惹かれていく。おりしも西部は鉄道黎明期、牧場への鉄道敷設をめぐってマカンレイ家とパールの運命は大きな変わっていく。

みどころ
ジェニファー・ジョーンズの演技。なぜ兄を愛しながら弟になびいてしまうのか、女心はよくわかりませんが、そんなことはどうでもよいのであって、ジェニファー・ジョーンズの演技はいかにも強烈。喜怒哀楽すべてにわたって演技過剰かとも思えますが、浮気相手ともども夫に撃ち殺される多情な母親から生まれた混血娘という設定になっているのでそれを意識してのことでしょうか。他の作品で彼女がどのような演技をするのかは別途自分の目で確かめてみたいと思います。ともあれ、強烈な彼女の演技は癖のあるご馳走のような感じで、はじめは鼻につきますがだんだん慣れて馴染んでくるとおいしくなります。

特に印象に残るのは、彼女の眼。インディアンとの混血という役柄ゆえ肌を浅黒くしているのですが、夜や室内の暗い画面の中から眼(白眼の部分)だけがくっきり。その中でも彼女の顔を上側から撮影しているショットがいくつかあり、上目遣いの表情がパールの情念の深さをそのまま画面に映し出しているようで印象的です。三人の有名な撮影監督がこの作品に参加していますが、だれがこのショットを撮ったのか知りたいですね。

セルズニックが第二の”風と共に去りぬ”を狙っただけあって主役以外のキャストも豪華な作品ですが、兄弟の父母ライオネル・バリモアとリリアン・ギッシュが演じるマカンレイ夫妻もすばらしい。ジェニファー・ジョーンズの演技が強烈なだけに、リリアン・ギッシュの上品で押さえの利いた演技が程よい中和剤となって映画全体のバランスをとっています。特にリリアン・ギッシュ演じるローラが亡くなるシーン。憎憎しく振舞ってきたバリモア演じるマカンレイの涙と、そんな彼を励ましながら死んでいくローラ。二人の動作・せりふひとつひとつに納得できるという感じ。ベッドから必死に起き上がり夫のに寄り添うリリアン・ギッシュの演技はよく出来たサイレント映画の一場面を観ているようです。

そして、最大のみどころはラストシーン。2時間にわたる愛憎の集約はあまりにも陰惨であまりにも衝撃的。詳しく内容はかけませんが、ジェニファー・ジョーンズの表情がですね、別人かと思うほどに変わるんですよ。憎しみから愛情の表情に。”決闘:DUEL”と銘打たれていながらおよそ西部劇における決闘らしくはありませんが間違いなく記憶に残る名シーンだと思います。

個人的には
追いかけているグレゴリー・ペック、悪役もなかなかさまになってましたね。前回レビューの”紳士協定”では、きれい過ぎる二枚目役が鼻について、本当のところは演技の幅がないために型にはめたような正義漢の役しか出来ないんじゃないの?と斜に構えて観ていたのです。結局この作品でも二枚目としてラストシーンを迎えるものの、感情の赴くまま突っ走るアクの強いルート役は彼の違う一面を見せてくれて安心しました。

おすすめ度
★★★★☆

あと二本グレゴリー・ペックを観てみたいと思います。やっぱりこれははずせない”ローマの休日”とアカデミー主演男優賞に輝いた”アラバマ物語”。まずは、次回”ローマの休日”から。

※通常(500円以外)のDVDは現在中古以外入手できないようです。500円DVDはキープとファーストトレーディングから発売中(左サイドバーの500円DVDリスト参照)。画質・音質に特に重大な問題はありません。

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