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2005年11月26日

#0026『汚名』アルフレッド・ヒッチコック監督 1946年アメリカ

”Notorious”

notorious_1.jpg監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: デヴィッド・O・セルズニック David O. Selznick
共同製作: バーバラ・ケオン
原案: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
脚本: ベン・ヘクト Ben Hecht
撮影: テッド・テズラフ Ted Tetzlaff
音楽: ロイ・ウェッブ Roy Webb
 
出演: ケーリー・グラント Cary Grant
    イングリッド・バーグマン Ingrid Bergman
    クロード・レインズ Claude Rains
    ルイス・カルハーン Louis Calhern


ネタバレ気味です。ご注意。

「やらせたいの?」「自分で決めろ」

ナチスパイ容疑をかけられた父親のため売国奴の娘と呼ばれたアリシアは酒と男遊びに浸っていますが、ある日FBI捜査官デブリン(グラント)が接近してきます。アリシアの昔の知り合いで、リオ・デ・ジャネイロの元ナチの武器商人セバスチャン(レインズ)の内情を探る協力を求められ、グラントと行動を共にします。アリシアはデブリンを愛するようになるのですが、調査は本格的な潜入捜査に発展。FBIは、アリシアにセバスチャンとヨリを戻したように偽装し、内部に入り込むことを求めます。デブリンを愛するがために任務の内容に苦悩するアリシアですが、デブリンは「やるかやらないかは君次第だ」の一点張り。彼の愛を確認できないアリシアは、半ば自棄になり任務を引き受けセバスチャンと結婚。ナチスの残党が集まるセバスチャンの屋敷で内偵を進めるのですが・・・。

ってストーリー、聞いたことありますね。トム・クルーズの”M:I−2”。”汚名”の影響を受けているらしいです。別に”M:I−2”を悪く言うつもりは全然ないんですよ。うちにDVDもありますしね。トム・クルーズのアクションがウリの映画としては十分楽しめるレベルだと思います。が、テーマの取り扱い方としては圧倒的に”汚名”の勝ちです。

セバスチャンとの親密な関係を前提とした任務に、就かせたくないのにやめろと言えないデブリンと、やりたくないのに止めてくれないから引き受けてしまうアリシアの意地の張り合いが観ていてもどかしいです。ですが、あっさり「僕だってやらせたくない!本当だ!」なんて叫んでしまう”M:I−2”と違い、アリシアはデブリンと心が通じない悲しみと疑心を抱えたまま任務に就くわけで、この背景があるために個々のサスペンスの要素がぐっと引き立ってきます。

この頃”ちょっとねちねちサイコな感じ”のヒッチコックを求めているのですが、この作品サイコ感はそうないもののアリシアとデブリンとセバスチャンの関係が実にねちねちいい感じです。愛情と疑心暗鬼が交錯する中、悪人の巣窟に潜入する美女、キーアイテムをめぐるサスペンス、ヒーローとヒロインのラブロマンスの紆余曲折とすべてがうまく絡まって言うことなし。その中でも、この映画の見所はラストの10分。悪者の屋敷の奥深くで危機に陥るアリシアを正面から乗り込んだデブリンがどうやって救い出すのか。極めて微妙なバランスで見事に物事が運んでいく、ヒッチコックの切れ味鋭い演出にため息をつく名場面でした。

notorious_3.jpgイングリッド・バーグマンはこれで、”カサブランカ””白い恐怖”→”汚名”と三本観ました。”カサブランカ”の時はその圧倒的な美しさで秒殺一本勝ちではあるものの演技ではこれといったものはなかったような気がします。しかし”白い恐怖”では理知的でクールな精神科医のキャラと、それなのに患者を愛してしまい苦悩する姿が素晴らしく記憶に残り、この”汚名”でさらに汚れ役(酒びたりだったスパイ)を美しく演じておりどんどん演技の幅が広がっていくのがはっきりわかりますね。素晴らしい。

ちなみに、悪役セバスチャン役は”カサブランカ”の警察署長ルノーを演じたクロード・レインズ。ちょっと情けなさげな悪役がうまいですよね。この作品でアカデミー助演男優賞にノミネートされました。


ということで、評価は星5つ★★★★★ 今まで見たヒッチコックで最高の一本。

次回は、あっと驚く長回し映画、1948年の”ロープ”。こちらもヒッチコックらしい名作です。


ヒッチコック作品には珍しく、DVDプレミアになってますね。
500円DVD(キープ社)も出ており、不満のない画質です。


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posted by FROST at 22:38| 埼玉 ☀| Comment(4) | TrackBack(3) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これも3回くらい観ているのにオチの記憶がありません。
ヒッチコック作品って忘れちゃうんですよね、なぜか。
次のロープ楽しみです。
わたしもそのレビュー書こうかなぁ。
Posted by かよちーの at 2005年11月27日 11:43
私はヒッチコック映画と相性がいいのか、結構覚えてますよ(観たばっかりだからという話もあるが)。特にこの”汚名”のラストは繰り返し3回観てしまいました^^
Posted by FROST at 2005年11月27日 22:24
私もラストは覚えてます。
というかそこが印象に残っています。
出て行く二人は助かってホッとしましたが
残された夫のその後を思うと
とてもこわーい・・・ラストでした。
Posted by sesiria at 2006年09月12日 19:03
>sesiriaさん
足元のおぼつかないバーグマンを支えて階段を下りていくグラントがよかったですねぇ。戸口に立ってレインズを呼び戻す悪党のリーダーの姿の不気味さもすごかったです。
Posted by FROST at 2006年09月13日 01:42
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