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2005年11月07日

#0015『マルタの鷹』ジョン・ヒューストン監督 1941年アメリカ

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”Maltese Falcon”
監督: ジョン・ヒューストン
製作: ハル・B・ウォリス
     ヘンリー・ブランク
原作: ダシール・ハメット
脚本: ジョン・ヒューストン
撮影: アーサー・エディソン
音楽: アドルフ・ドイッチ
 
出演:
ハンフリー・ボガート
メアリー・アスター
ピーター・ローレ
シドニー・グリーンストリート
ウォード・ボンド
グラディス・ジョージ
エリシャ・クック・Jr
バートン・マクレーン
ジェローム・コーワン
ウォルター・ヒューストン



「相棒が殺されたら、犯人は絶対に逃がさない。それが探偵ってものさ」


相棒アーチャーと探偵事務所を営むサム・スペードの元に、ブリジット・オショーネシーと名乗る美女が訪れサーズビーという男から妹を取り返してほしいと依頼する。アーチャーがサーズビーに接触するが射殺されてしまい、犯人と思われるサーズビー自身もその直後に殺されてしまいます。実はブリジットの依頼は嘘で、彼女は「マルタの鷹」と呼ばれるスペイン国王の秘宝争奪に関わっています。同じくマルタの鷹を狙うカイロと名乗る男もスペードのもとに現れ、破格の報酬で鷹探しをスペードに依頼。スペードはいやおうなくマルタの鷹争奪戦に巻き込まれていきます。

前回レビューの「三つ数えろ」をさかのぼること5年、1941年のジョン・ヒューストン初監督作品ですね。原作はハードボイルドの巨匠ダシール・ハメット。原作が映画化されるのは実はこの作品で三回目。過去二回はいずれも興行的に芳しくなかったようです。1930年代の善悪感や映画的なヒーロー・ヒロインのあり方と、本作の内容に乖離が合ったようで、中途半端な映像化となったことが失敗の原因となりました。本作では原作に忠実な映画化に徹したことにより、フィルム・ノワールというひとつのジャンルを確立するほどのヒット作となりました。

この作品、マルタの鷹を巡る駆け引きも面白いのですが、特にラストシーンがすごく良くて、それについてはネタバレせざるを得ないので追記に書きます。ので、こちらでは俳優さんのことをちょっと。

この作品で特に印象に残る俳優さんが二人。

一人目は、鷹を狙う怪しさ満点のカイロ。演ずるのはピーター・ローレ。ピーター・ローレは、”カサブランカ”で主人公リックの店で逮捕されるチンピラ偽造旅券屋役で印象に残っていたので、本作でも、あ、あの俳優さんだとすぐわかりました。顔立ちが独特なのですがハンガリー出身の俳優さんですね。1931年のフリッツ・ラング監督作品”M”で、なぜか気弱なロリコンにという設定にされた”デュッセルドルフの怪物”を演じて評判となりました。1964年に60歳でなくなるまでに約40本の映画に出演した名脇役。ヒッチコック映画にも出演しており、暗殺者の家の撮影中に、こめかみに大きな傷跡のメイク(魚の皮でつくっていたらしい)をつけたまま結婚式を挙げた話は有名です。

二人目はカイロのボス、ガットマンを演じるシドニー・グリーンストリート。
作品中、おもむろに「あのデブ」といわれるほどの立派な体躯です。元々は舞台俳優さんでジョン・ヒューストン監督が惚れこんで出演を依頼したという逸話がありますね。この映画がデビュー作ですが、とてもはじめてとは思えない落ち着きのある名演が記憶に残ります。特に、ラストで一度くじけたかと見せかけてすばやく立ち直って去っていくあたりの演技がなぜか好きなんですよ。翌年には、やはり”カサブランカ”で主人公リックの商売敵であるカフェ”ブルー・パロット”のオーナーを好演しています。

翌年の”カサブランカ”でも三人そろって(似たような役柄で)出演しているところをみると、当時かなり人気があったのだろうなと思います。
評価は星5つ★★★★★

ハンフリー・ボガートに入れ込んできたので、次はやっぱり”カサブランカ”にいってみたいと思います。久しぶりに名ゼリフに酔ってみたいと思います。




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さて、アーチャーが殺された後、スペードは事務所の看板からあっさり相棒の名前を消してしまい、アーチャーの机もそそくさと片付けさせてしまいます。そればかりか、実はアーチャーの女房とは不倫の仲だったり。なのに、アーチャーの死後訪れてくる奥さんには全く冷たく、おまけに秘書ともなんか怪しげ?金に汚く、暴力的で、依頼人ブリジットともできてしまうという無軌道ぶり。鷹を狙う敵ともかけひき、挑発、暴力と目的のためには手段を選ばない非情ぶりを発揮します。こういうところは、実にフィルム・ノワール的(この作品が元なので当たり前ですが)で、それまでの”善は善、悪は悪”の勧善懲悪的ヒーロー観とは一線を画すダークなヒーローぶりが見事です。

で、記事冒頭のセリフは、実はアーチャー殺しの犯人であることを白状したブリジットに対してスペードがラストシーンで言うせりふですが、ラストシーンでヒロインを追い詰めて警察に引き渡すなどということは、当時の映画的常識からは考えられないことであったようです。

このシーン、スペードの表情は苦渋に満ちてますね。「俺は君が好きなのかもしれない。君が警察に捕まったらさぞ夢見が悪いだろう」とも言っています。スペードは実は本当にブリジットを愛してしまっていたんだろうと思いますね。当然相手の気持ちも知っていますし。それでも最後の最後は相棒の敵を討つ。恋愛よりも友情と復讐を選んだということなんでしょうか。このあたりの、非情なダークさを見せながらも、芯の部分では死んだ相棒をおもう一本気さというか、そういうものがこのヒーローの最大の魅力なのだとおもいます。そのあたりのキャラクターがきっちりと際立ったヒューストンの演出はまさに見事の一言に尽きると思います。


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posted by FROST at 02:14| 埼玉 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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