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2007年03月11日

#153『深夜復讐便』ジュールス・ダッシン監督 1949年アメリカ

thieves highway.jpg
”THIEVES' HIGHWAY”

監督:ジュールス・ダッシン
製作:ロバート・バスラー
製作総指揮:ダリル・F・ザナック
原作・脚本:A・I・ベゼリデス
撮影:ノーバート・ブロダイン
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:リチャード・コンテ/ヴァレンティナ・コルテーゼ
   リー・J・コッブ/バーバラ・ローレンス
   ジャック・オーキー /ミラード・ミッチェル
   ジョセフ・ペヴニー/モリス・カルノフスキー
   タマラ・シェイン

詳しい作品情報はこちら
    ⇒goo 映画
    ⇒IMDb(英語)


ジュールス・ダッシンが赤狩りでヨーロッパへ移る前の作品。実はダッシン監督の作品は始めて観るのです。『男の争い』見たいなぁ。DISCASには、監督作品ひとつしか登録されてないんですよね。そのひとつが、なんで日本未公開のこの作品なのかは謎。

ということはともかく、この作品小粒ながらなかなか面白かった。リンゴの商売をめぐる悪徳仲買人フィグリア(リー・J・コッブ)と主人公ニック(リチャード・コンテ)の闘い。ニックの父親がフィグリアに騙されて両足切断の憂き目を見ているため、この闘いは父親の復讐劇でもあります。

フィルム・ノワールって、これという定義がなかなか難しいらしい。いろんな参考文献を読んでみても確たるジャンル定義はないようで、ややもすると”こんな感じの作品”という、漠然とした特徴論でしかくくれなくなってしまいます。

まあ、ブログを書く上で厳密なジャンル定義を試みようとしているわけではありませんから、特徴論でも構わんのですが、少なくとも自分なりに納得できる基準は持っておきたいものです。で、ひとつ尺度にしているのが”どっか狂ってる”かどうか。ストーリーにしろ映像にしろ演出にしろ、どこかで狂ってしまった人間の行いを見せてほしいのです。雰囲気ですよ、雰囲気。ああ、漠然。

そういうことから見ると、前回の『復讐は俺に任せろ』はノワールっぽく出来ていますが、実は全く真っ当な内容であり対象外。説の分かれるビリー・ワイルダーの『失われた週末』なんかは犯罪には無縁でも、あの異常な閉塞感はまちがいなくフィルム・ノワール。オーソン・ウェルズの一連の作品なんかはまさにフィルム・ノワールですよ。狂いまくってる。

で、翻ってこの『深夜復讐便』。ノワールであります。

父親の復讐というプロットはあるものの、リンゴの売買ってのはちょっとあまりに身近すぎて緊張感に欠けるなぁとはじめは思ってました。トラックでサンフランシスコまでリンゴを届けるくだりも、ニトロをつんで突っ走ったかの『恐怖の報酬』に比べればほんの子供だまし程度・・・。

ところが、ニックが市場についてからが俄然面白かった(トラック輸送をめぐるトラブルがメインではなくて、本番もここからだったのだが)。売買の駆け引きや、ワケありの女リカ(ヴァレンティナ・コルテーゼ)とのやり取りも面白く、リンゴ代金をめぐる二転三転もよく出来ている。ニックは、おいおいってくらい馬鹿正直というかひねりが無かったりするものの、ラストのフィグリアとの対決シーンでのキレぶりに狂気があってなかなか良い(表情変えずに手の骨を砕くあたりね)。

また、遅れてサンフランシスコをめざすニックの相棒エドのトラックにチンケな同業者二人組みがハイエナのようにくっついているのがおかしいが、結局事故って爆発炎上するトラックの背景で大量のリンゴが崖を転がり落ちる映像はシュールで異常で◎。

全体的に小粒で地味な作品であることは間違いないが、かなり上位のB級フィルム・ノワール。満足できる作品でした。

★★★★☆
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深夜復讐便
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posted by FROST at 04:41| 埼玉 ☁| Comment(3) | TrackBack(1) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
FROSTさん・・・今晩は。
うーーーん。ジュールス・ダッシン監督はこんな作品を撮っていましたか。彼の作品例えば「裸の町」「男の争い」でもキャストにスターは起用していない。この作品のリチャード・コンテしかりですね。ドキメンタリータッチとでも云うかシリアスな雰囲気を出そうとした演出の一つなのか?・・・。リチャード・コンテはイタリー系移民でスリラーものに良く出ていたようですがあまり印象に無い・・・。(笑)
それから、「男の争い」まだ見ていないのですか・・・如何したものでしょう。不思議と云うほかは無い。(笑)
Posted by グリーンベイ at 2007年03月12日 16:50
ジュールズ・ダッシン監督作品は、『日曜はダメよ』『トプカピ』と軽い作品と、グリーンベイさん一押しの『男の争い』しか観ていないですねぇ…。
『深夜復讐便』…やっぱり持っていました…。未見です。しかしFROSTさんの解説を読むと、なかなか面白そうですね。

FROSTさん、『男の争い』はいっそ買ってしまってはどうですか?でも紀伊国屋なんですよね〜。
Posted by オショーネシー at 2007年03月12日 19:55
>グリーンベイさん、オショさん、こんばんは。
『男の争い』は、初めてグリーンベイさんにコメントいただいたときに話題になりましたよね。それ以来観たいと思っているのですが、5000円のDVDに躊躇してしまう私には入手困難な作品なのですよ。オショさんみたいに豪快にDVD買ってみたい・笑。しかし、欲しいDVDは全部5000円以上ですな(悪人と美女も、エル・トポも・・・)
ダッシン監督作品はこれが初めてということで、この作品で刷り込まれたわけですが、小粒ながらなかなか面白かったですね。記事に書いたリンゴが散乱するシーンなど、映像の端々に非凡さが伺えます。リチャード・コンテはマンキーウィッツ監督の『記憶の代償』の黒幕役で一度見かけてますが、本作の方が印象に残りました。
Posted by FROST at 2007年03月14日 00:29
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Excerpt: 1949年 アメリカ 監督 ジュールズ・ダッシン 出演 リチャード・コンテ  
Weblog: ブリジット・オショーネシーの日記 U
Tracked: 2007-04-20 03:02
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