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2007年02月20日

#149『上海から来た女』オーソン・ウェルズ監督 1947年アメリカ

LadyfromSh.jpg
”THE LADY FROM SHANGHAI”

監督:オーソン・ウェルズ
製作:オーソン・ウェルズ
原作:シャーウッド・キング
脚本:オーソン・ウェルズ
撮影:チャールズ・ロートン・Jr
音楽:ハインツ・ロームヘルド
出演:リタ・ヘイワース/オーソン・ウェルズ/エヴェレット・スローン/
    テッド・デ・コルシア/グレン・アンダース

詳しい作品情報はこちら
    ⇒IMDb(英語)
    ⇒上海から来た女(1947) - goo 映画
    ⇒上海から来た女@映画生活

ネタバレですよ

厄介な作品ですねぇ。なにがって、レビューネタが多すぎる。フィルム・ノワールの中でも一風変わった(というかかなり変わった)雰囲気の作品で、作品自体はもちろん、60分もカットされてしまったという製作にまつわるエピソード、『市民ケーン』『ストレンジャー』『上海から来た女』『第三の男』そして『黒い罠』と続くオーソン・ウェルズのキャリアの変遷。リタ・ヘイワースとの仲と本作の関係など実にネタ沢山。

DVD特典映像には、ピーター・ボグダノビッチの詳細な解説が入っており、へぇぇっと身を乗り出すような話が満載なので、裏話的な部分はそれを観てもらうとして、ここでは作品を観た感想中心にしましょうかね、やっぱり。

ストーリーは裕福な人妻エルザ・バニスター(リタ・ヘイワース)に一目惚れした船乗りマイケル(オーソン・ウェルズ)の話。マイケルは、彼女とその夫の敏腕弁護士アーサー・バニスター(エヴェレット・スローン)に乞われて、彼らの豪華ヨットに船員として雇われる。ヨットにはアーサーの共同経営者グリズビーも同乗しているが、ある日彼はマイケルに自分を殺すように依頼してくる。。。

ストーリーが良くわからないんですよね。もともと複雑な話ではありますが細部がかなり矛盾だらけ。これは編集段階でのウェルズの意図に反する大幅なカットによる改悪の可能性も多々あると思われるのでなんとも評価しようがありませんが。

しかし、よくわからんストーリーにも関わらずかなりこの作品の印象は良かっですそれはひとえにこの作品のなんともいえない雰囲気がかもし出す満足感ですねぇ。。ボグダノビッチも”奇怪”という言葉を使っていますが、まさに奇怪。映像の端々までウェルズの非凡なセンスが光っています。

『燃えよドラゴン』にも引用されたと言うラストのクレイジーハウスのシーンはもちろんのこと、水族館のグロテスクな魚をバックにしたキスシーンもインパクト抜群。蛸やウツボを怪物みたいに大写しにして、その前でリタ・ヘイワースに芝居させるなんて、異常ですな。

うさんくさいグリズビーの汗だくクローズアップや素っ頓狂なしゃべり方、両足が不自由なアーサーがひょこひょこと歩き回る姿、至近距離で会話しているのにかみ合わない登場人物の視線、ストーリーと関係なく入るくしゃみやくすくす笑い、かぶりまくる台詞など、とても普通の感覚とは思えない演出の数々。そういうものが積み重なってひとつの”ワールド”を作り上げており、同時代のノワール作品とは間違いなく一線を画しています。

コロムビア映画のボス、ハリー・コーンもこれを観て驚いたのでしょう。あまりに独創的な内容に試写会では散々な評判だったこともあり、コーンはばっさりとこの作品に手を入れてしまいます。でも、1時間もカットされたにも関わらずこの奇怪さですからねぇ、オリジナルはどれだけ不気味だったんでしょう。現在はもうオリジナルを観ることは出来ないそうですが、全く残念至極。

ウェルズのことですから、主人公はあくまで自分。リタ・ヘイワースの魅力だけで客を呼ぼうなどとはさらさら考えていなかったらしく、彼女もこの奇怪な世界の登場人物の一人として位置づいており、そういう意味では、彼女のセクシーな魅力を真っ先にアピールしようとしたらしい『ギルダ』よりも、私にとっては好ましい。逆に、リタの魅力だけを比較すると『ギルダ』の圧勝ですけどね。ウェルズは、リタの赤毛の長い髪をショートに切らせてなおかつブロンドにしてしまったわけですが、顔立ちがちょっと老けて見えるような気がします。

この作品、ユニークさでは抜群ですが、結局当時の一般大衆には受け入れられず興行的には大失敗。オーソン・ウェルズは、監督業をやめてヨーロッパに渡って俳優に専念するわけですが、その結果、大傑作『第三の男』が生まれたと思えば、結果オーライということなんでしょうかね。
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上海から来た女
上海から来た女オーソン・ウェルズ リタ・ヘイワース

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posted by FROST at 16:24| 埼玉 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
FROSTさんもやはりこの映画、訳が分からんかったですか。私もさっぱり…でした。
オーソン・ウェルズの遊び心いっぱいの演出が冴えている作品だと思うのですが、やっぱりオーソン・ウェルズのピークはデビュー作「市民ケーン」なんですよね。
彼がヨーロッパへ渡ってから作った映画では「審判」がなかなか面白かったと記憶しています。
鑑の部屋のシーンは「燃えよドラゴン」がパクッたのは知っていましたが、まだ未見なんですよ。拳法映画(そんなジャンルあるのか?)好きの私としては是非見なくちゃならない映画の一本です。
そして、ウディ・アレンの「マンハッタン殺人ミステリー」という映画で、この鑑の部屋のシーンがそのまんま出てきます。
この映画もウディとミア・ファローの関係が最悪になって、代役でダイアン・キートンが出ているんですね。
Posted by オショーネシー at 2007年02月20日 23:38
 FROSTさん・・・今晩は。
うーーーん。60分もカットすると作品は如何になるんでしょうね・・・・。なるほどこうなりましたか。(笑)向うでも評判は芳しくなかったが・・・我国でも一部の理屈好きな先生を除いて評価はいまいちでしたね・・・。
コロンビアの社長はリーン・コーンは激怒した・・・。監督は自分の奥さんでもあったリタ・ヘイワース嬢のイメージをすっかり改悪してしまった・・・。ショートカットのヘアスタイルはFROSTさんには、彼女・・・老けて見えましたか。(笑)
この年に二人は離婚していますね。監督は正しく<鬼才>・・・<鬼才>ですね。映画少年のこの作品に対する感想は・・・<鬼才>この一言です。
でも、・・・FROSTさんは良く言いましたね。
「オーソン・ウエルズは監督業を辞めてヨーロッパに渡って俳優に専念するわけですが、その結果大傑作「第三の男」が生まれたと思えば結果オーライですね」・・・全く同感です・・・。
Posted by グリーンベイ at 2007年02月21日 23:16
オショさん、こんばんは。
大概の人は訳わかりませんよね、この映画は。ウェルズ本人が「ピークから出発して下降する一方・・・」だったと自分のキャリアを振り返るくらいですから、すごい人生ですよね・笑。
「燃えよドラゴン」は、小学校の時に映画観で封切を観てから、観賞回数最多かも。当時の男子の憧れでしたなぁ。ブルース・リーに張り倒される敵ザコにジャッキー・チェンが混じってたりします。ぜひ観ましょう!(レビュー書いてね)
Posted by FROST at 2007年02月22日 01:13
グリーンベイさん、こんばんは。
そうですか、日本でもダメだったんですね・笑。リタ・ヘイワースはやっぱりちょっと失敗だったんじゃないでしょうか。役作りとしては良かったと思いますけれど。しかし、前作の『ストレンジャー』と違ってこの作品では、ウェルズがやりたい放題やってるような感じがして、そのあたり魅力的なんですよね。時間をおいてまた観てみたい作品です。
Posted by FROST at 2007年02月22日 01:17
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