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2007年02月13日

#148『郵便配達は二度ベルを鳴らす』テイ・ガーネット監督 1946年アメリカ

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”THE POSTMAN ALWAYS RINGS TWICE"

監督:テイ・ガーネット
製作:ケイリー・ウィルソン
原作:ジェームズ・M・ケイン
脚本:ハリー・ラスキン/ニーヴェン・ブッシュ
撮影:シドニー・ワグナー
音楽:ジョージ・バスマン 
出演:ジョン・ガーフィールド/ラナ・ターナー
セシル・ケラウェイ/ヒューム・クローニン
レオン・エイムズ/オードリー・トッター
アラン・リード/ジェフ・ヨーク

以前、ルキノ・ヴィスコンティ監督による『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1942年)の感想をアップしましたが、今回は1946年のテイ・ガーネット版。ジェームズ・M・ケインの原作本を巻頭と巻末に映して見せるあたり、かなり原作に入れ込んで忠実につくったんじゃないかと思わせます。ヴィスコンティ版では省略されていた、ニック(ヴィスコンティ版ではブラガーノ)の一度目の殺人未遂や、フランク(同じくジーノ)が最後に裁かれるシーンもきちんと盛り込まれてるし。これまたヴィスコンティが無視した『二度ベルを鳴らす』ことの意味についても触れています。

しかーし!なんか深みがない。そう思いませんか?悪くはない。けど今ひとつという感じ。当時のフィルム・ノワールの流儀にのっとって、ジョン・ガーフィールドのモノローグも渋いし、ラナ・ターナーも悪女として魅力はあります。犯罪と主人公の破滅に力点を置いているように思われ、その軸で観る限り決して悪くない作品だとは思いますが、”悪くない”というレベル止まり。うーん、残念。

ところで深みって何を言っているのだと。”登場人物がしっかりと描きこまれていて、彼らの言動が引き起こす現象に説得力がある”。当然これで全てとは言いませんが、こういう要素も大事だと思います。そして、まさにこの点において、テイ・ガーネット版はヴィスコンティ版に及ばんのですよね。ということは、登場人物たちのやることに首尾一貫したリアリティがなく、ややもするとご都合主義的に見えるということになりますか。

例えば、フランクとコーラがはじめて出会う時のコーラの衣装はいかにも変・・・ていうか、ドライブインの女房がそんな格好してるはずないだろ!って感じだし。ヴィスコンティ版では、最後まで二人の間に影を落とす、『安定と放浪』という価値観の違いがかなり表面的に描かれていると感じます。コーラのフランクに対する感情の変化もわかりにくいし、最後の事故もおいおいって感じだし・・・・。いちいち目に付くんですよね。。。

私にしては珍しく文句ばっかり言ってますが、星はとりあえず三つ★★★☆☆にしておきます。というのも、この作品だけを見たときには”ごく普通”と言う判断になりそうだから。さっきから、くどくどと文句言っているのは、全てヴィスコンティ版と比較してと言うことなんですよ。ということに気がつきました。

ラナ・ターナーも決して悪くないですよ。でも、クララ・カラマーイが演じた人生に疲れきったジョヴァンナの方が、このドラマのヒロインとしては断然魅力的です。日常を生きることにぼろぼろに疲れきった彼女が、駆け落ちにも踏み切れずついに旦那を殺すという大勝負に出るでしょ。事を遂げて盛大なパーティを開く。でも、結局彼女の価値観と行動が彼を怖気づかせてしまう。その結果、殺しまでしてようやく手に入れたと思った愛と安定が、早くも幻のように自分の手から逃げていくことに気づくんですよ。その時にね、ジョヴァンナは一人っきりで、パーティの残り物で食事をして、テーブルに突っ伏すじゃないですか。ね、これが深みってもんですよ。

ということで、他の作品と比較してどうのこうの言いたおすのもどうかと思いますが、今回だけはヴィスコンティ版があるがために、テイ・ガーネット版は影薄し。この作品を気に入っている皆様、悪意はございませんのでごめんなさい。
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郵便配達は二度ベルを鳴らす(1946年版)特別版
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posted by FROST at 23:13| 埼玉 ☀| Comment(7) | TrackBack(1) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
う〜ん…この映画は、<いかにラナ・ターナーを綺麗に見せるか>という映画だと思うんですよ。
だから映画の出来は2の次にきちゃうんじゃないでしょうか?
彼女の悪女ぶり…確かに中途半端です。
それよか、やっぱりラナ・ターナーに色んな衣装を着せて若者に彼女のもう1つの面を見せて楽しんでください…という映画になっちゃってますね。
悪女が徹底して“白い服”を着る…というのは、なかなか考えたなと思いましたよ。

しかしFROSTさんは、私がアップしようと思っている作品を次から次へと上げていきますねぇ…。…嫌い。
Posted by オショーネシー at 2007年02月14日 20:42
 FROSTさん・・・今晩は。
うーーーん。この「郵便配達は二度ベルを鳴らす」は、これまで何回も映画化されています。
映画少年は次の三本を見ています。
マッシモ・ジロッテイ、クララ・カラマイ嬢共演・・・ヴイスコンテイ版(43)
ジョン・ガーフーイルド、ラナ・ターナー嬢共演・・・テイ・ガーネット版(46)
ジャック・ニコルスン、ジェシカ、ラング嬢・・ボブ・ラフエルスン版(81)
 以上です・・・。
この三本とも原作通り筋立ては同じだが・・・夫々、新思考の脚色を凝らしている・・・。
FROSTさんは、ヴイスコンテイ版と比較の上、縷々感想を述べておられますが・・・映画少年は・・・三本とも甲乙付けがたく・・・夫々、立派な作品と思っている・・・。
敢て言わせてもらえば・・・
ヴイスコンテイ版は・・・当時のイタリー映画は貧乏人と労働者を扱った秀作が多かったが・・・ネオ・リアリズモの魁ともなった雰囲気があった。監督の将来を覗わせるに十分な作品でした。
このガーネット版は・・・兎に角、ラナ・ターナー嬢の魅力だけで楽しめる作品となっている。
ボブ・ラフエルスン版は・・・ニコルスンを相手に、ジェシカ・ラング嬢が身体を張った演技で,又、大なるセックス・アッピールの衝撃を受けた作品でした。
Posted by グリーンベイ at 2007年02月14日 21:50
オショさん、グリーンベイさんこんにちは。いつもコメントありがとうございます。
奇しくもお二人ともうーーんとうなってらっしゃいますね・笑。この、記事書いていて確かにヴィスコンティ版と比べることの意味ってあんまりないかもと思ってはいたんですけどね。作品の意図が違う。
オショさんがおっしゃるとおり、”ラナ・ターナーを見せる”ということにフォーカスしているのかもしれません。そう意味では、前回のリタ・ヘイワース/『ギルダ』と同じ部類かもしれません。

そうすると、あとは個人的な好みになるんですが、女優の魅力を一番前に押し出した映画って、どうも今ひとつ魅力を感じないんですよ。やっぱり女優さん(もちろん男優もですけど)は、その映画のストーリーというかドラマというか世界観の中にしっくりとなじんでいて欲しいんですね。その上で、彼女の持つ魅力を見せてくれればそれがいかにさりげなくてもグッと惹きつけられるんですよ。なので、個別の作品と言うより、作品の性格としてビスコンティ版の方が好みだと言うことですね。そういうことを別にして観ると、グリーンベイさんのおっしゃるとおりこの作品としての魅力はあると思います。

と・こ・ろ・で、オショさんに嫌われるのは大変困る!!!
ということで次回予告登板『上海から来た女』・・・でも、これもかぶっていたらどうしたらいいんだ・・・
Posted by FROST at 2007年02月15日 10:37
 FROSTさん・・・今晩は。
うーーーん。タイ・ガーネット版は「深み」がない。ヴィスコンテイ版との比較では仕方が無い。(笑)
オショーネシーさんもご指摘のように、この作品は美女ラナ・ターナー嬢を見せるのが大きな狙いですね。白いコスチューム効いてましたね。彼女はその後、天下の美女の称号を得た女優さんですよ。
作品に戻ると・・・ジェームス・M・ケイーンの原作に夫々の監督が多少味付けをしたとしても、大筋は変わらない。映画少年の興味は・・・男(風来坊)と女(不本意ながら生活の為に冴えない年配男との夫婦生活を余儀なくされている、超・欲求不満)の出会いから関係を結ぶまでの経緯・・・三人の女優さんが如何に演じるか・・・興味津々なのでした・・・。監督が如何なる演出をみせるか・・・注目したところです。(笑)
「深み」・・・FROSTさん・・・よく観察している。
旦那を殺して大パーテイを開いた後、彼女が厨房の残り物を口にしてテーブルに倒れ伏すシーン・・・血の凍る思いでしたね・・・。このリアリズムがヴイスコンテイの真骨頂でしたし・・・このシーンがこの作品のイメージと云うか作品全体の緊張感を高めたワンシーンであったと云っても過言ではないでしょう・・・。
Posted by グリーンベイ at 2007年02月15日 23:35
グリーンベイさん、こんばんは。
私は、ジャック・ニコルソンのを見たことがないんですが、興味がわいてきましたね。三者三様で目の付け所が違うようですから是非みてみたいと思います。
ラナ・ターナーは、確かに魅力的でしたがこの本作以降はあまり良い作品に恵まれなかったみたいですね。私生活でもいろいろとあったようですし。
古い映画の俳優さんたちはみんな過去の人(当たり前ですね)なわけで、その後の彼らの人生を知って映画を見るとまた別の感慨に浸ったりしますよね。それもオールド作品の魅力だなぁとつくづく思います。
Posted by FROST at 2007年02月18日 00:10
FROSTさん、こんにちは。
これ、わたしの観ていない郵便配達...です。
ジャック・ニコルソン版はまったく期待していなかったせいもあるんですが、悪くなかったです。
ヴィスコンティ版が一番ですが・・・。
Posted by かよちーの at 2007年03月07日 12:33
あ!かよちーのさんだ!大変ご無沙汰でスミマセンです。忘れずに来ていただいて感謝感激^^。
私は、ニコルソンのヤツ観てないんですよ。いつもコメントくださるグリーンベイさんも”それぞれ甲乙つけがたい”とおっしゃっているので俄然興味がわいているところです。しかし、ニコルソンのフランク/ジーノ役ってのは想像するだけで凄そう・笑。
Posted by FROST at 2007年03月08日 01:29
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郵便配達は二度ベルを鳴らす
Excerpt: 1946年 アメリカ 監督 テイ・ガーネット 出演 ラナ・ターナー ジョン・ガ
Weblog: ブリジット・オショーネシーの日記 U
Tracked: 2007-03-18 02:06
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