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2006年11月14日

昼下りの情事 1957年/アメリカ【DVD#133】

loveintheafternoon.JPG
”LOVE IN THE AFTERNOON”


監督:ビリー・ワイルダー
製作:ビリー・ワイルダー
原作:クロード・アネ
脚本:ビリー・ワイルダー/I・A・L・ダイアモンド
撮影:ウィリアム・C・メラー
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:オードリー・ヘプバーン
    ゲイリー・クーパー
    モーリス・シュヴァリエ
    ジョン・マッギーヴァー
    ヴァン・ドード



詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ちょいとネタバレ

前回の『イヴの総て』その前の『サンセット大通り』と、いろんな意味でスーパーヘビー級の作品が続いていましたが、今回はビリー・ワイルダーの傑作ラブコメディ『昼下りの情事』を鑑賞しました。ほっと一息という感じでしょうか・笑

ストーリーの面白さは相変わらず抜群のワイルダー作品、今回は大富豪であり百戦錬磨のプレイボーイ・フランク・フラナガン(ゲイリー・クーパー)とパリに住む初心な音楽学生アリアーヌ(オードリー・ヘップバーン)の恋の物語。このカップルは父親と娘以上に年が離れていますが、そんな違和感は全く感じさせないほど軽やかにに二人のやり取りは進んでいきます。

”愛して逃げる(Love and Run)”がモットーだというフラナガンは絶対恋に深入りしない自信があります。恋愛経験のないアリアーヌは、フラナガンの気を惹きたくて、名前も住んでいるところも彼に明かさず、恋多き女のように見せかけ、フラナガンに会うのも夕方の一時だけ。彼女の焦らし作戦はまんまと成功しフラナガンはだんだん彼女のことが頭から離れなくなっていきます。

いくつになっても恋愛とはこういうものなのでしょうね。追われると逃げたくなる。じらされると追いたくなる。天下の大富豪と少女のそういう心模様の変化をいかに映像化するかというのが監督の腕の見せ所。そういう意味で特に目を惹くのが室内楽団の四人ですねぇ。

フラナガンがパリに来たときにいつも連れている楽団は、フラナガンがリッツホテルのスィートルームで女性たちと過ごすときに部屋で”魅惑のワルツ”をはじめとする優雅な音楽を奏でます。フラナガンと女性がいよいよということになると、彼らは役目を終えていそいそと帰っていくのですが、つまりはフラナガンの恋のプロセスに応じてプロフェッショナルに役割を果たしているわけです。特にセリフがあるわけでも芝居をするわけでもありません。

そういう彼らの演奏は、フラナガンの気持ちの変化に応じて曲調が変わったり、掛け声に元気があったりなかったり。また、フラナガンの心持が平静でなくなるといつものプロセスから外れて酒を飲んだりします(ワゴンに乗せた酒をフラナガンとやり取りする場面は傑作)。室内楽団の様子で観客は目と耳からフラナガンの気持ちの変化を受け取れるわけで、映画作りとして面白いなぁと感心することしきりです。

ところで、このブログのご紹介作品はどれも名作ぞろいですので、おすすめ度を5段階でつけても、みんな4つ星5つ星になってしまいます(甘すぎなんですけどね)。それでも最近一応5つをつけるのは特に感動したものだけにしようとしています。4つでも傑作レベルですが5つはそれに加えてかーっとくるような感動があったものだけ。

正直なところ、この作品はラストシーンまで星4つだなと思っていたのですが、最後の駅のシーンでやられましたね。アリアーヌの強がりはもうすべてフラナガンにお見通しになっています。そのことを観客もすでに知っているわけですが、それでも彼女が涙をこらえて強がり続ける姿はなんと言えばいいのでしょう。実はオードリー・ヘップバーンにはあまり入れ込んでいないのですが、このシーンをあれだけ演じきることができるオードリーはやはり素晴らしい女優なんでしょうねぇ。全く素晴らしい!。感動しました。気の利いた表現方法が思い浮かばないのでせめてしつこく書いておきますが、すごい。

チェロの大きなケースを抱えて娘を見送る父親ジャヴィス(モーリス・シュヴァリエ)の笑顔も絶品。エンディングは今までこのブログで紹介した作品の中でもかなり上位に入りますね。

ますます、ビリー・ワイルダーの作品に魅了されてきました。『アパートの鍵貸します』もうちにあるんですよねぇ^^

★★★★★

昼下りの情事 (ニューマスター仕様)
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posted by FROST at 16:42| 埼玉 ☀| Comment(11) | TrackBack(2) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 Frostさん・・・今晩は。
うーーーん。「昼下りの情事」(57)・・・ワイルダー監督の才能が作品の隅々まで行き届いた秀作の一遍ですね。気楽に楽しめるロマンチック・コメデイ・・・オシャレでしたね・・・しかし、映画少年の場合この種の映画はアクションものと共に再見はしない・・・。(笑)
オードリー・ヘプバーン嬢・・・メジャーなスーパースターについて映画少年は語るべきものなしです・・・。
ゲーリー・クーパー・・・キャラクターの味でもある人畜無害の雰囲気が出ていて成功している・・・でも、老けて見えましたね・・・56歳でした。「真昼の決闘」(52)では52歳でしたが・・・役柄で仕方が無いがそれでも老醜を隠せなかった。この「昼下りの情事」の直前に撮った西部劇「悪の花園」(54)はウイドマークとスーザン・ヘイワード嬢との共演作ですが・・・主役でありながらウイドマークに完全に食われていた・・・過っての大スターも衰えは隠せずでした・・・。
それから、何時ものことですが、偉い先生諸氏の評価する作品と一般の映画フアンが劇場に足を運ぶ作品とにズレがあることです・・・面白いデータがある・・・キネ旬のベスト・10ではこの「昼下り・・」は15位ですが・・・興行成績は5位なんですね・・・第1位は「道」(54)ですが興行成績は8位でした・・・。やはりヘプバーンの力は偉大なりですね・・・。
Posted by グリーンベイ at 2006年11月15日 00:02
グリーンベイさん、こんばんは。ストーリーと見せ方でこの作品★5つなのですが、主役二人の出来は・・・・実は私もちょっと引っかかるものがあるんですよね。ゲイリー・クーパーは、はっきり峠を越えた感じ(あの目が。。憂いがなくなっている)だし、オードリーは間違いなく素晴らしいのだけれども、例のハッとするものがキャッチできないんですよ。そう意味では大変複雑な心境の映画でした。
Posted by FROST at 2006年11月15日 01:03
金持ちの男と貧しい娘という設定は「麗しのサブリナ」と同様ですが、 ゲーリー・クーパーとオードリー・ヘップバーンだと、年齢差がちょっと無理があると思いました。
サブリナでも、ウィリアム・ホールデンならともかく、ハンフリー・ボガードはやはり無理を感じました。
父親が、娘を思う気持ちから一度は二人の仲を裂こうとし、最後にはあたたかく見守る姿もよかったですね。
Posted by まいじょ at 2006年11月15日 13:36
訂正!
>金持ちの男と貧しい娘
どちらも普通の娘でした。お金持ちではないというだけです。
Posted by まいじょ at 2006年11月15日 13:40
あまり年の差を気にしなかったかよちーのですが、気になったのはフラナガンのルイ・ヴィトンのケースでしょうか。
お金持ちの象徴なんだな〜とこれで知りました。

ところでFROSTさんの観たい作品の「マドモアゼル a Go Go」、2回観ました。2回目は観ていないと思って間違えて借りたという...。セルジュとジェーンですね♪
Posted by かよちーの at 2006年11月15日 16:12
パトリシア・ニールと不倫してから、ゲーリー・クーパーはグッと歳をとりましたね。しかも悪い意味で…。もう痛々しくって(涙)
オードリーも、もうすぐ30歳に手に届こうとしているのに相変わらずの“可愛い乙女”なんだよね〜。この役はどう考えても10代後半か20歳ぐらいでしょ。
しかし、オードリーは確固とした地位を築いた“大スター”ばかりと共演してますね。彼女と同世代のマリリン・モンローやエリザベス・テイラーはその名前だけでお客が入るけど、彼女1人の名前では客が入らないと会社が考えたのか、そこらへん謎ですよね。
Posted by オショーネシー at 2006年11月15日 19:49
>まいじょさん、こんにちは。
私は気になりませんでしたが、この年齢差は大胆ですよね・笑
父親は、愛情豊かでユーモアもあり仕事も優秀で素晴らしいキャラクターですね。演じているモーリス・シュバリエの笑顔が好きだなぁ。

>かよちーのさん、ルイ・ヴィトンなんですか、とんと疎いもんで気がつきません・笑。マドモアゼル〜はDISCASにもないし、近所のツタヤでも見当たらないんですよねぇ。どうも、ゲンズブールは気になるんだよねぇ(バーキンじゃなく・・・)

>オショさん、いつもどうも^^
クーパー、確かにねぇ、不倫の影響は大きいようですね。この作品では、目に力がなくなってたんでちょっと複雑な心境です。
オードリーの方は『ローマの休日』以外どうもツボに入ってきません。今回のラストシーンくらい感激すると普通お気に入りになるんですけどね、面白いもんです・笑。彼女だけで客が呼べなかったのか・・・微妙ですねぇ、確かに。映画賞の受賞歴など見るとあながちそうとも思えないかなぁ。『麗しのサブリナ』で気難しいハンフリー・ボガートに唯一仲良く接したなんて話もあって、博愛精神の豊かな人なのでだれとでも相性が良かったとか、そんなこともありえますかね。
Posted by FROST at 2006年11月16日 10:42
ハンフリー・ボガートいわく、「彼女は完璧だ。台詞覚えさえ早ければ。」ですってよ〜!!
Posted by オショーネシー at 2006年11月16日 20:34
ええ〜っ!オードリーってアホだったんですか?・・ってそこまで言ってませんね、失礼しました。”台詞を覚えられないオードリー”って、なんかツボだなぁ・笑
Posted by FROST at 2006年11月17日 01:27
この映画も大好きです。ヘップバーンを
あまり好きでない方が多いようですが
私は大好きです。彼女が女優になってくれて、同じ時代を生きることが出来て、本当に良かった、と思っています。この映画の中でも確かに年齢を考えると無理があるのかと思いますが、画面を見ているとそんな事全く超越してしまいます。彼女の存在自体が夢のように魅惑的なんです。いつまでも乙女のようで年を取って皺が増えても凛とした品格を失わない素敵な人でした。私にとってオードリーは永遠の妖精なのです。
映画の中では恋物語を描くにしても、妖精ぽさをそこなわない為に年齢差の大きい相手役を選んでいたのではないかと思います。その方が現実感がないですら・・・。(本当はどうかわかりませんが)後期には
自らファンタジーっぽさから抜け出るかのように現実的な設定にもチャレンジしてましたけど。(いつもふたりでなど)この映画ではゲーリー・クーパーも年を取ったとはいえ、やはり品があるし、父親役のモーリス・シュバリエもとても暖かく年頃の娘を持つ親の心配や寂しさをよく現していて良かったです。やっぱりビリー・ワイルダーの演出は素晴らしい。
Posted by sesiria at 2006年11月20日 12:35
>sesiriaさん
ヘップバーン、お好きなんですね。ちょっと調子に乗りすぎて失礼な表現がありましたね。お気を悪くしないでくださいね。
個人的には、必ずしも熱烈なファンというわけではないのですが、なんだかんだといって彼女はやっぱり偉大な女優ですよね。昨年かな、オードリーの展覧会が全国で行われてそのときの図録が手元にあるんですが、sesiriaさんのおっしゃる年をとってからの彼女の姿は本当に素敵です。若い頃は、映画会社の思惑も多々あったでしょうから彼女の本意じゃない露出の仕方も多かったのかも知れません。映画の世界から離れて初めて自分の本当の内面を出せるようになったのかもしれませんが、やさしさと意思の力が目に表れています。
Posted by FROST at 2006年11月20日 17:09
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