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2006年11月05日

サンセット大通り 1950年/アメリカ【DVD#131】

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”SUNSET BOULEVARD”

監督:ビリー・ワイルダー
製作:チャールズ・ブラケット
脚本:ビリー・ワイルダー/チャールズ・ブラケット/D・M・マーシュマン・Jr
撮影:ジョン・サイツ
特殊効果:ゴードン・ジェニングス
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:グロリア・スワンソン/ウィリアム・ホールデン
   エリッヒ・フォン・シュトロハイム/ナンシー・オルソン
   フレッド・クラーク/ジャック・ウェッブ
   ヘッダ・ホッパー/バスター・キートン
   セシル・B・デミル

詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレしてます

最初からショッキングなシーンで始まりますねぇ。死んだ男のナレーションでストーリーが語られるというのも面白い。ラストに向けての狂気の盛り上がりもさすが。シナリオの面白さは天下一品であります。

売れない脚本家ギリス(ウィリアム・ホールデン)が、借金取りに追われて逃げ込んだ大豪邸に暮らしているのは、サイレント時代の大女優ノーマ・デズモンド(グロリア・スワンスン)と執事マックス(フリッツ・フォン・シュトロハイム)。ノーマは、すでに世間から忘れ去られた存在ですが、今だに自分はスターだと信じ込んでいます。彼女のために復帰作のシナリオを書きはじめることになったギリス。ノーマは半ば無理やりギリスを邸宅に住まわせて仕事をさせます。徐々に彼女はギリスを愛しはじめ、仕事だけではなくギリスの私生活にまで干渉をはじめ、二人の関係は悲劇に向かいます。

売れなくなった大女優の妄想というと、ベティ・デイビスの怪演がすさまじかった『何がジェーンに起こったか?』を思い出しますが、本作のグロリア・スワンスンも負けていませんね。スワンスン自身トーキー化の波にうまく乗り切れなかったらしく16年ぶりの映画出演。実像と役柄がオーバーラップするため、ノーマがチャップリンの真似などをする場面などおかしいけど笑えない。リアリティというんですかね、観るのがつらい。

他にも、彼女のカード仲間がみんなサイレンと時代の老俳優たちだったり(バスター・キートンが出てますよ)、ノーマとギリスがホームシアターで観る映画が、グロリア・スワンスン全盛のころの映画『Queen Kelly』だったり(監督は共演のシュトロハイム!)。ワイルダー監督は、ちょっと残酷なほどに”過去の栄光”を盛り込んでいきます。

妄想に取り付かれた人間が破滅を迎える物語では、主人公がはっきりと狂気に陥る瞬間の描写に興味があります。『何がジェーンに起こったか?』では、ピアノマンを雇って少女時代の大ヒット曲を歌い踊る醜くすぎるジェーンの姿が、完全な狂気を見せた瞬間でした。恍惚とした彼女の表情と、ピアノマンの狂人を見る冷たい目のコントラストが本当に怖かったですよ。まだ観ていない人はぜひ一度。去年公開された『蝋人形の館』にもこのシーンが登場したらしいので、それで見た方もいらっしゃると思いますが。

本作の場合、ノーマが完全に狂気を見せるのは映画もほとんどラスト近くですかね。取り囲む警察にも気づかず映画出演のためのメークに執着する姿が痛々しい。もっと早い段階かなと思っていたのですが、ノーマに仕えるマックスの献身的奉仕のため、彼女が完全に狂ってしまっているのか、単に思い込みとプライドが激しいだけなのかわからないんですよね。何回か見直せば、「ああここだな」というポイントが見つけられるかもしれませんが。

すでに狂ってしまっている彼女にマックスが一縷の望みを与えてしまうため、ノーマは完全な狂気に逃げ込むこともできず、中途半端に狂気と正気の間を漂っているのかもしれません。そう考えるとマックスのノーマに対する愛情こそが最も残酷。ノーマの狂気とマックスの狂気とが悲しく交差して、『何がジェーンに起こったか?』よりも複雑な悲劇を描き出しています。シュトロハイムの演技に脱帽。

★★★★★

サンセット大通り(1950) - goo 映画
サンセット大通り@映画生活


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posted by FROST at 23:59| 埼玉 🌁| Comment(11) | TrackBack(4) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
バスター・キートンも出ていましたか。気がつきませんでした。
ワイルダー監督の「悲愁」も、物語はまったく違いますが、伝説の名女優のカムバックを扱っていました。
「欲望という名の電車」のヴィヴィアン・リーが狂気に逃げ込む姿も悲しかったですね。
Posted by まいじょ at 2006年11月06日 13:13
 Frostさん・・・今晩は。
うーーーん。いよいよ「サンセット大通り」(50)ですか・・・。
この前にも触れた様にワイルダー作品は何れも秀作揃いと言って良い。中でもこの「サンセット・・」は最高傑作として映画少年は位置つけをしている。
 この作品で扱われている題材は・・・ワイルダー監督を含めた映画界・・・いやハリウッドの裏表を冷徹に見据えているからに他ならない。こうした凄い作品は、後にも先にもこの監督以外には撮れないでしょうね。過去の栄光にしがみついているエンタテーナーは我国にも(本人は気付いていないかも知れないが)現実のものとして見て取れる・・・。人気商売には「落ち目」は日常的な現象だから・・・。
又、この作品の凄い所を一つあげれば・・・グロリア・スワンスン嬢の起用を見逃せない・・・。彼女の現実の生き様と作品の主人公と完全にダブルのですね・・・惨ささえ感じます。当時、彼女はこの作品でカンバックを・・・と言うか巨匠ワイルダーに賭けたのだろうね。
 メークを完全に・・・ポーズを決めながら階段から下りてくる彼女のスチール写真は・・・辺りからは醜悪そのものでも・・・彼女には得意のポーズをとった演技?だったろうが・・・映画少年には、哀れさと云うか惨めさを通り越した感さえしたのでした・・・。           考えるに・・・この様な非情ともいえる脚本を書けるのは、彼がウイーン育ちのユダヤ人であることに何処か秘めた根があったのでしょうかね・・・。何度も云いますが・・・この作品は「凄い作品」であることには間違いない。
因みに51年度キネ旬の第2位にランクされている・・・1位は「イブの総て」です・・・。
Posted by グリーンベイ at 2006年11月06日 22:00
当時、グロリア・スワンソンは、なかなか商才のある人だったようで、いくつもの会社を経営しているビジネス・ウーマンだったんですね。映画にカムバックする必要はなかったようなんですね。ビリー・ワイルダーたっての希望でこの映画に出たようです。
しかし、ワイルダーはどこまでも意地悪ですねぇ…。最後の場面で「ミスター・デミル、クローズ・アップの用意は出来ているわ」(だったかな?)なんて台詞はホントに底意地悪いですねぇ。C・B・デミルとスワンソンといったら、サイレントの黄金時代にいくつもの映画でヒットを飛ばした2人ですから。
本当に意地悪だわ〜。
Posted by オショーネシー at 2006年11月06日 22:03
TBしました。
わたしとしては意外とノーマいたいな人って存在するのではないかとにらんでいます。
おかしくなるかどうか紙一重かな〜と。
Posted by かよちーの at 2006年11月06日 23:56
>まいじょさん
どうも、TBありがとうございます。バスター・キートンはカードゲームでパスばかりしている老人で登場してましたね。あの厚塗りなのでわからないかなと思ったら、目元が全く変わっていなくて、そのつもりで観るとすぐにわかります。ぜひ一度確認してみてください。

>グリーンベイさん、オショさんこんばんは。またまたご一緒にしてしまいましたが、なんか三人でだべってる感じで・笑
今回もグリーンベイさんとオショさんのご紹介で観ましたが、いや素晴らしい作品でした。グロリア・スワンソンははまってましたねぇ。トーキー化の波とともに一度消えてカムバックがこの役とは・・・、すでにビジネスで成功していたとのことですが、トーキーで生き残れなかったトラウマとかはなかったんでしょうかね?経緯はともかくやはり彼女を使ったということはすごいことだと思います。ビリー・ワイルダーにはいずれにしてもスワンソンの実イメージとノーマの相乗効果を出す狙いがあったんでしょうね。ノーマの家の居間におかれている写真は全部スワンソンの全盛期のものでしょ。オショさんのおっしゃるデミルとスワンソンの関係とか、シュトロハイムとスワンソンの『Queen Kelly』がかかるところも。そう、ウィリアム・ホールデンに「もう25歳のときとは違うんだ!」と言わせたりもしてますね。スワンソンの25歳の頃って、ロケ先のホテルのワンフロア借り切ってたとか、週休2万ドルだったとか・・(by allcinema)。やっぱり、お二人ともおっしゃるとおりワイルダー意地悪いわ!しかし、受けて立ったグロリア・スワンソンもすごいですね、プロ根性だなぁ。
次は、当然『イヴの総て』でございますよ・笑。よろしくお願いします。
Posted by FROST at 2006年11月07日 01:26
>cinoさん、こんにちは。TBありがとうございます。最近特に多いかもしれませんねぇ、こういう勘違いの激しい人は。なるべく近くに寄りたくないなぁ。
Posted by FROST at 2006年11月07日 10:23
FROSTさん、こんにちは。

エピソードには事欠かない映画ですね。
僕も初めて知った時は、なんて残酷な演出をするんだろうと思いましたが、今は少し違う感想を抱いています。

スワンソンにしてもシュトロハイムにしても、そんなことは百も承知で出演していたのではないかと思うのです。監督の本当の意図であるハリウッドへの強烈な皮肉を表現する上でもこうした配役、演出は実に効果的だということを理解した上での出演。

『ケリー女王』を観るシーンは、当然脚本には記述されていないので、現場でのアイデアだったはず。そのアイデアを出したのもワイルダーではなくスワンソンかシュトロハイムだったのではないかと勝手に想像しています。

TBさせてもらいます。

3人とも、粋な映画人だったのだろうなぁと思います。
Posted by Yama at 2006年11月07日 11:35
↑の最後の部分
>TBさせてもらいます。

>3人とも、粋な映画人だったのだろうなぁと思います。

順序が逆になってしまいました。馬鹿ですね。
Posted by Yama at 2006年11月07日 11:39
>Yamaさん、コメントありがとうございます。ご推察の通りで、あのシーンで『ケリー王女』をかけることにしたのは、シュトロハイムだったそうです。そうかぁ、百も承知で・・・。大人の映画人による大人の名作ということですかねぇ。いや、素晴らしい。
Posted by FROST at 2006年11月07日 21:42
FROSTさん、連続コメントすみません。
わたくし、グロリア・スワンソンを敬愛しております。
この役を引き受けた彼女は凄いと思うのです。上記の写真の表情などはビリー・ワイルダーの演技指導からすら、完全にはみ出ているように思います?ワイルダー監督こそ、あのラスト・シーンに最も脅えていたのではないかとまで思います。
そして、思うのはこの奇っ怪な狂女になりきったグロリア・スワンソンは、恐らく、彼女自身その役に陶酔しきっていたのではないかと思うのです。
でなければ、あんな顔できるわけない。わたしは、あの醜い表情の奥にある彼女の威風堂々たるナルシズムを感じてしまいました。
Posted by トム(Tom5k) at 2007年04月23日 23:49
トムさん、こんばんは。ワイルダーとスワンソンがどういうやり取りをしてこの作品を作ったのか知りたいんですよね。ちょうど、今日アメリカ映画史の本でグロリア・スワンソンの項を読んだところですが詳細載ってないんだなあ(残念)。
しかし、経緯がどうあれスワンソンの徹底振りというか度胸のよさは間違いなくワイルダーの予想を超えていたでしょうね。ノーマの役柄ももちろんですが、シュトロハイムやデミルなど因縁浅からぬ面子とこれだけの作品が作れるというのは全く凄い。この作品の後、特に本格的なカムバックと言うこともなかったようですが、ガツガツ復帰狙いの出演ではなくて、余裕しゃくしゃくでさばききったと言う感じだったのでしょうか。
Posted by FROST at 2007年04月24日 22:54
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