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2006年10月22日

荒野の七人 1960年/アメリカ【DVD#128】

MAGNIFICENT SEVEN.bmp
”THE MAGNIFICENT SEVEN”

監督/製作:ジョン・スタージェス
共同製作:ルー・モーハイム
製作総指揮:ウォルター・ミリッシュ
原作:黒澤明/橋本忍/小国英雄
脚本:ウィリアム・ロバーツ/ウォルター・バーンスタイン
撮影:チャールズ・ラング・Jr
音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:ユル・ブリンナー/スティーヴ・マックィーン
   チャールズ・ブロンソン/ジェームズ・コバーン
   ロバート・ヴォーン/ホルスト・ブッフホルツ
   ブラッド・デクスター/イーライ・ウォラック

詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレでございます

しかし、あれですね、映画って何回も観ないとダメですね。『荒野の七人』も、今まで何度か観た作品ですが、今回はじめてガンマンたちの生き様が伝わってきました。

後半のカルヴェラ(イーライ・ウォラック)一味との戦いは文句なしの見せ場ではあるのですが、前半の人集めの部分もこの作品の魅力の一つ。しかし、なぜそもそもクリス(ユル・ブリンナー)たちはこの儲からない仕事を引き受けたんだろうかということが疑問ではありました。

『荒野の七人』には特に回想シーンもありませんから、彼らの過去は定かでないのですが、それぞれ用心棒や賞金稼ぎなど銃と腕っぷしで生き抜いてきたことはわかります。しかし、集まった彼らはガンマンとして人生の転機に差し掛かっているようです。

ヴィン(スティーブ・マックィーン)は、「なじみになったバーテンやディーラーは山ほどいるが、女房や子供や家はない」と言い、それを受けてクリスも「ゆっくり落ち着く場所もなければ、腹を割って話せる相手もいない」と語ります。アクション中心の後半にあって、しんみりとする名シーンです。

前半の人集めの段階では、彼らのこういう思いはほとんど描かれておらず、冒頭の棺桶護送におけるユル・ブリンナーとマックィーンの凄腕ぶりやジェームズ・コバーンのクールなナイフ技などがクローズアップされているため、選りすぐりのプロフェッショナルが徐々に集結する魅力だけを観てしまいます。彼らが一列に連なって村に向かうシーンは、まー、かっこいいですよ。

後半、カルヴェラとの激しい戦闘を中心において、それぞれのガンマンの人間的な部分をチラ見せするシナリオは、いかにもではありますが彼らの強さの中に意外な一面を発見する形になって、個人的には好きです。

オライリー(チャールズ・ブロンソン)は、農民の子供たちに家族を守る父親の勇気を説き、自分にはとてもそんな勇気はないと告白。リー(ロバート・ヴォーン)は、力の衰えに気づき恐れを感じ夢にうなされています。一瞬自信を取り戻した直後のリーの死はひときわ印象に残ります。一番若いチコ(ホルスト・ブッフホルツ)ですら、農民からガンマンになったことに本当は後悔の気持ちがあるようです。七人の中で一見そういうジレンマを感じさせないのがジェームズ・コバーン扮するブリットですが、ヴィンが語るときにツーショットでブリットの姿が映っていましたね。自ら言葉にはしませんが、やはりそういう思いを抱いているような表情がありありと見えます。

彼らは、その場その時がすべての根無し草のようなガンマン生活がむなしくてたまらないんですねぇ。7人の中で唯一の例外はブラッド・デクスター扮するハリーでしょうか。彼は最後まで隠された儲け話を信じて死んでいきます。死に際のハリーに、50万ドルの金鉱が隠されていると嘘をつくクリス。笑いながら死んでいくハリー。ハリーの存在と死はガンマンたちが感じているむなしさを引き立てる役割を担っていました。

農民たちのためにカルヴェラと闘うことは、彼らにとってそういうむなしさとの戦いだったんですね。心身に染み付いてしまったガンマンという生き方から足を洗えるわけではなくても、自分には農民たちのような大地に根ざした生活は出来なくても、そういうむなしさに対してなにか一矢報いたいという思いが損得抜きで彼らをこの仕事に赴かせたのではないでしょうか。

カルヴェラには、彼らのそういう思いが理解できなかったんですね。立場こそ違っても、金目当てで銃に頼って生きる同類だと信じて疑わなかった。だから、農民たちが七人を裏切ったとき、カルヴェラは銃すら奪わずに彼らを村から追い払います。わずかな報酬すら期待できなくなった彼らに戦い続ける意味などない。戦いは終わったのだと思ったはずです。カルヴェラが「なぜだ?なぜだ?」と問いながら死んでいく姿は、ついに人間の本質を理解できなかった男の悲しい最後の姿でした。

「農民だけが勝ち、土地と同じように永遠に残っていく」と語る長老の言葉が感動的。ただ一人農民に戻っていくチコを見送り、「俺たちはいつも負けだ」と言い残して荒野に去っていくクリスとヴィンの姿が素晴らしいラストシーンでした。★★★★★

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posted by FROST at 13:07| 埼玉 ☀| Comment(8) | TrackBack(2) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは良い映画ですね〜。私はマックイーンを勝手に<兄貴>と呼んでいるほどの大ファンであります。ユル・ブリンナーもセクシーで大好きなんですが…。この映画ではユル様とマックイーンが衝突したようですね。
『七人の侍』のリメイク権を手に入れたのはユル様でそうで、先見の名があった方なんですねぇ。
しかしマックィーンはユル様より目立ちたがり、2人の仲は決裂していたようです。
でもこの役でマックイーン人気が定着して、彼はスターになっていく…。マックイーンファンには重要な映画ですね。
Posted by オショーネシー at 2006年10月22日 14:34
オショさん、いやー良かった。やっと気に入ってもらえる作品をアップできました・笑 冒頭の棺桶護送シーンがあるじゃないですか。並んで馬車に乗ったマックィーンがちょっと帽子をかざして日を遮って先を見る仕草するんですよね。芸が細かいなぁと思っていたら、そういうアドリブがユル・ブリンナーの気に入らなかったらしいですよね。マックィーン若いころは上昇志向満々だったようで、さすがに大スターになる人は違うなと。
Posted by FROST at 2006年10月22日 20:57
 ゲッ・・・。西部劇、バンザーイ。(笑)
<しかし、あれですね、映画って何回も見ないとダメですね・・・>同感です。
蓮実重彦先生曰く「一度キリ観たことの無い作品を好きだの嫌いだのと言ってはいけない}と・・・肝に命じています。再見を繰り返す度に、尚新しい発見があると云う事は・・・見る側の人生体験が豊かになっていること?と・・・作品が優れているからにほかならない。(笑)
 うーーーん。スタージェス西部劇ですね。この監督の特徴は全ての作品に切れ味と爽快感はもとより新鮮な感覚がある・・・理屈無く面白いことです。
西部劇では・・・「ブラボー砦の脱出」(53)に始まり「六番目の男」(55)
「OK牧場の決闘」(57)「ゴーストタウンの決闘」(58)「ガンヒルの決闘」(59)「荒野の七人」(60)・・・等、どれが一番などと云い難く・・・何れも完成度は高く、B級西部劇と云われる映画の水準を大きく越えている傑作揃いと言ってもいい・・・。
この「荒野の七人」の音楽が良かった・・・。又、共演した美人女優さんも見逃してはならない・・・「ブラボー砦・・」のエリノア・パーカー嬢、「六番目の・・」のドナ・リード嬢、「OK牧場・・」のロンダ・フレミング嬢、「ゴーストタウン・・」のパトリシア・オーエンス
嬢、「ガンヒルの・・」のキャロリン・ジョーンズ嬢・・・何れもチャーミングで作品に華を添えていた・・・。
Posted by グリーンベイ at 2006年10月22日 23:06
>グリーンペイさん、いつもありがとうございます。確かに優れた作品は何回観ても新しい発見がありますね。素晴らしいことです。西部劇については、1940年〜50年代頃の正統派”男の”西部劇よりも、『真昼の決闘』とかこの『荒野の七人』などのちょっと毛色の変わったものが好きですね。この後のマカロニウェスタンはものによりますけど。
スタージェス物じゃありませんが、西部劇の女優さんといえばアンジー・ディキンソンが、ディキンソンの脚が・・あー素晴らしい!
Posted by FROST at 2006年10月23日 01:21
良かったですねええ〜。「七人の侍」をうまーくアレンジして作られていますね。
この中では、黒澤作品の宮口精二に相当するジェームス・コバーンが特に好きでした。仰るように映画というのは何度も観る事で気づいたり、理解を深めたりしますね。名作であるほど、何度見ても面白いし
新たな発見があると思います。
音楽も良かったですね!もちろんユル・ブリンナー、マックイーン、も好きです。
それぞれの人物の背景も「七人の侍」のように巧く描けていましたね。
ハリーの存在は「荒野の七人」のオリジナルでこの人物によって人間の可笑しさと
哀愁が表現できていたと思いますね。
Posted by sesiria at 2006年10月23日 18:34
ハリウッドが外国の映画をリメイクすると碌なことにならないのですが、これは珍しく上手く行った例ですね。
この当時本当のスターだったのは、ユル・ブリンナーだけですが、この作品の後皆主役クラスの役者になりましたね。良い映画の力だなあ。

最後の台詞までオリジナルとほぼ同じでしたか。また観てみたいですが、なかなか時間がとれません。
Posted by オカピー at 2006年10月23日 20:19
 Frostさん・・・今晩は。
うーーーん。アンジー・デキンスン嬢がご贔屓のご様子・・・いや、オミアシの線でしたね。(笑)
彼女もやはり美人コンテスト入賞から映画界入りを果たしている・・・。始めは西部劇の出演も多かったのですが、此れといった目立つ作品は残していない・・・。
しかしロジェ・バンデムの「課外授業」(71)でそのお色気が引きだされる。彼女40歳になっていた。その後オショさんにも指摘した「殺しのドレス」(80)で衝撃的な熟女振りを発揮するのですね。49歳での出演でした・・・。
又、デユーク御大と共演した「リオ・ブラボー」(59)は彼女29歳・・・デユーク43歳でしたね・・・でも違和感は無かった。(笑)この作品ではあまり脚線美は拝めなかったが・・・ホークス監督と撮影中のツーショットでは長い立派なオミアシを見せていた・・・。
尚「殺しのドレス」は観て損のない作品ですから・・・時間があったら是非に・・・お薦めします・・・。
Posted by グリーンベイ at 2006年10月24日 17:50
>sesiriaさん、こんばんは。
エルマー・バーンスタインのこのテーマ曲を聞くと、カーッと血が沸いてきますよね。私も実はジェームズ・コバーンが好きなんですよね。「七人の侍」でもやはり宮口精二が一番でした。クールなプロフェッショナルはやっぱりかっこいいですわ^^

>オカピーさん、いつもお世話になります^^
今見るとホントに豪華なキャストですよね。マックィーンが事ある毎にアドリブ演技で目立とうとしたというような話もあって、さぞ若手同士で火花も散らしたことだろうなと。そんなことも知って映画を見ると細かい演技まで注目しますから、またさらにいろんなことが見えてきて楽しい限りです。

>グリーンベイさん、またまた今晩は。どこの話題でもお詳しいですねえ・驚。実は、その『リオ・ブラボー』でアンジー・ディキンソンの脚線美に惚れたクチでございます。ワンシーンだけでしたっけ?脚むき出しになってましたよね・笑。西部劇でこれだけ脚を出すなんてたいした演出だと感心した記憶があります。
お勧めの『殺しのドレス』、DISCASで発見しましたので近いうちにレビューアップいたします。
Posted by FROST at 2006年10月25日 01:04
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