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2006年09月19日

悪魔のような女 1955年/フランス【DVD#112】

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”LES DIABOLIQUES”

監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
原作:ピエール・ボワロー/トーマス・ナルスジャック
脚本:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー/ジェローム・ジェロミニ
撮影:アルマン・ティラール/ロベール・ジュイヤール
音楽:ジョルジュ・ヴァン・パリス
出演:シモーヌ・シニョレ/ヴェラ・クルーゾー
   ポール・ムーリス/シャルル・ヴァネル
   ジャン・ブロシャール

   詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ちょっとネタバレか

この映画に刺激されてヒッチコックは『サイコ』を作ったらしい。さもありなんの傑作スリラー。ずいぶん前にリメイク版を見たものの全く印象が残っていないのですが、オリジナルはとても素晴らしい作品でした。

最後のどんでん返しが命の作品。ということはそこまで持っていくストーリー構成が重要ということですね。

妻の財産である寄宿学校を経営する傍若無人な男ミッシェル・デュラサール(ポール・ムーリス)。妻クリスティーナ(ヴェラ・クルーゾー)は自分の学校で教師をしています。で、同僚教師ニコール(シモーヌ・シニョレ)とミッシェルは愛人関係。

クリスティーナは夫とニコールの仲を知っているわけですが、ミッシェルに暴力を振るわれたニコールに対して「私にはそこまでしないけど・・・」などと慰めたりします。ニコールの方もクリスティーナをなにくれと励ましており、かなりねじれた人間関係のストーリー。

しかし、妻と愛人が敵同士の立場を超えて手を結んでも仕方がないと思わせるようなミッシェルの非道ぶりのため、見ているほうはそういうねじれも当然ありえるのだなと思いはじめますが・・・、この辺からすでにクルーゾー監督の術中にはまっているわけですね。

ともすればくじけそうになるクリスティーナを励まし勇気づけながら(?)ニコールはミッシェル殺しの準備(アパートのバスタブで水死させる)を進めますが、睡眠薬の入ったウィスキーはクリスティーナが”一人で”ミッシェルに飲ませます。やはり、ミッシェルを殺す勇気がなくて彼の飲もうとするワインを叩き落としたりしますが、相変わらずの傍若無人なミッシェルの態度に最終的にはクリスティーナ自身がウィスキーを注ぐようになります。3杯飲ませますね。彼女も心底から共犯者になった瞬間です。ここは結構気に入ってるシーンで、ミッシェルのひどい言葉に、ついにキレて犯行を決意するクリスティーナをヴェラ・クルーゾーが見事に演じています。

二人は死体を学校のプールに沈めて事故死を装うとするわけですが、アパートの風呂場でミッシェルを殺して車で学校に運ぶまでいろいろアブナイ場面があります。ちょっとハラハラさせられるわけですが、意外と事件の成り行きに無関係なエピソードも多く、このあたりはクルーゾー監督、ご愛嬌というところでしょうか。

その後、プールに捨てた死体を早く発見させたいけれども、自分たちが第一発見者になることは出来ないクリスティーナとニコールのイライラがひとつの見所ではありますが、最終的に死体発見役を子供にやらせるところが本当に恐いですねぇ。

そこまで精神的に追い詰められていたとも見れるし、そもそも平気でそんなことができる非人道的かつ残忍な”悪魔のような女”が二人の本質なんだなぁと思い知らされる場面でもあります。クリスティーナがワインを飲ませるシーンと並んで要のシーンではないでしょうか。

その後は、見つかるはずの死体が見当たらないことから恐怖のテンションがぐぐっと上がっていきます。ドラマの終結に向けて促進剤として現れる元刑事(シャルル・ヴァネル)は、キャラとしてはちょっと食い足りないかも知れませんが、最後の一瞬にその価値が発揮されるのでまあ良しか。

丁寧に積み重ねられた(ちょっと無駄もあるけど)ストーリーを、最後まさにどーんとひっくり返すわけですが、この切れ味は絶対に見るべき名場面です。ミステリーの解決シーンとしての切れ味もさることながら、悪魔のような演技の冴えを見せるシモーヌ・シニョレが一番魅力的なシーンでもありました。

★★★★★

悪魔のような女
悪魔のような女ピエール・ボワロー アンリ・ジョルジュ・クルーゾー シモーヌ・シニョレ

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★キープ社から発売されている500円DVDは英語版です。特に重大なトラブルはありませんが、画質は良くないです。

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posted by FROST at 01:07| 埼玉 ☔| Comment(8) | TrackBack(5) | OLD:フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
シャロン・ストーンはこの作品といい『グロリア』といい、“強い女”映画の傑作をどんな気持ちでリメークしたんでしょうねぇ…。それもシニョレもジーナ・ローランズも彼女には遠く及ばない名女優の傑作てすよ。
この映画はホントに怖かったですね。ヒッチコックのように“ユーモア”の要素が何もないのが怖い。『サイコ』、頷けます。
ポール・ムーリス演じる校長を殺した後に、校長先生を見たという子供が登場するんですね。それにクリスティーナが異常なくらいに怯える。そして…(ネタバレ禁止ですね)
しかし、ヴェラ・クルーゾーの本当の死因がバスタブでの溺死(たしかそうだと思いましたが…)という事実も皮肉なものでした。
Posted by オショーネシー at 2006年09月19日 22:28
>オショーネシーさん
個人的にシャロン・ストーンは嫌いではないんですけどねぇ。『氷の微笑』のデッキチェアーでタバコをふかしながら振り返るシーンはしっかり印象に残ってるし、映画は散々だった『スペシャリスト』でさえも、彼女の立ち姿の美しさだけは素晴らしかった。美しいけれど性悪な女みたいな役が似合うと思うんですけどね(ほかでは『カジノ』とか)。どこかで、”強い女”にあこがれるものがあったんでしょうね。しかも、作品とか役柄にというよりシモーヌ・シニョレとかジーナ・ローランズとかの女優そのものにあこがれたような気もしますね。『グロリア』は見ていないのでなんともいえませんが、『悪魔のような女』ではやはりシニョレには遠く及ばず、個人的には残念ではありますよ。
Posted by FROST at 2006年09月20日 11:10
こんにちは、TBさせて下さい。シモーヌ・シニョレの印象はもちろん強烈だったのですが、監督の奥さんヴェラ・クルーゾーが印象的でした。スケスケの衣装でちょっと色っぽかったですが…^^;)。
Posted by ぶーすか at 2006年09月22日 11:58
>ぶーすかさん
えーとですね、スケスケはばっちり見ました、やっぱり・・・。しかし、恐怖の報酬でもそうでしたけど、クルーゾー監督は奥さんをセクシー路線で売ってたんですかね。
Posted by FROST at 2006年09月22日 20:21
お久しぶりです、コメントありがとうございました。
TBの配慮ありがとうございます。
これも「恐怖の報酬」もほんとに傑作ですよね。
最後のどんでん返しは見事としか言いようがありません。
クルーゾー監督、これまた傑作と名高い「情婦マノン」を観るのが楽しみです。
Posted by micchii at 2006年09月25日 12:15
micchiiさん、
情婦マノンはなかなか見る機会がないんですよね。やっぱり傑作ですか、見たいなぁ。今日は本日発売の500円DVD『犯罪河岸』を買って帰ります^^
Posted by FROST at 2006年09月25日 17:50
TB致しました。
LDでも持っているのですが、NHK放送版をDVD化して久しぶりに観ました。

サスペンス映画として完璧でしたね。
何度も繰り返される肩すかしは<愛嬌>というよりは、一つ一つがサスペンスの布石です。結論的にはミステリー要素も多いのですが、とにかく色々考えさせてサスペンスを高めようと美に入り細にうがった作り方をしています。
見事です!
Posted by オカピー at 2006年11月23日 18:52
オカピーさん、こんにちは。
なるほどその辺の布石が読み取れればさらに素晴らしく鑑賞できそうですね。何度も観てみたい映画です。並みのどんでん返し作品ではなく、何度も観たくなるというのは、ラストに頼っていないということですよね、本当に作りこみが見事な映画です。
Posted by FROST at 2006年11月25日 13:03
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Tracked: 2006-09-19 14:58

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『悪魔のような女』 ??フランス式サスペンスのお手本??
Excerpt: 1954年 フランス 監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー 原作:ピエール・ボワロー,トマ・ナルスジャック 脚本:アンリ
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映画評「悪魔のような女」
Excerpt: ☆☆☆☆☆(10点/10点満点中) 1954年フランス映画 監督アンリ=ジョルジュ・クルーゾー ネタバレあり
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Tracked: 2006-11-23 15:51
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