新ブログ『川越名画座』に引っ越しました。さらに充実した内容で運営していますので、ぜひご訪問ください。

2006年09月13日

美女と野獣 1946年/フランス【DVD#111】

LA BELLE ET LA BETE.jpg

監督:ジャン・コクトー
製作:アンドレ・ポールヴェ
原作:ルプラン・ド・ボーモン
脚本:ジャン・コクトー
撮影:アンリ・アルカン
音楽:ジョルジュ・オーリック
 
出演:ジャン・マレー/ジョゼット・デイ/マルセル・アンドレ/ミシェル・オークレール/ミラ・パレリ


   詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)

詩人ジャン・コクトーが描くファンタジー作品。ディズニーアニメでもおなじみの『美女と野獣』ながら、ストーリーにはかなり違いがあります。原作はフランスの”ボーモン夫人”が書いた小説とのことですが、それとも少し違うようですね。

この作品ユニークなキャラクター、ジャン・マレー演じる”アヴナン”が重要な位置づけとなっています。

1946年ですから、特撮技術も限られているし、この物語の世界観を実写で映画化しようというのは結構な冒険だったんじゃないでしょうかね。自分の頭の中の”詩的”イメージをなんとしてでも映像化したいという芸術家としての強いモチベーションがあって実現したのだろうと思えます。

そういうモチベーションの高さが作品の工夫に現れていますねぇ。”野獣”のメイクアップこそ念入りに造形されていますが、城の中の蜀台や本当の心を映す鏡、城とベルの家の間の瞬間移動などはごくごく簡単な仕掛けで映像化されています。それにもかかわらずちょっと不思議で実に美しい独特の映像世界が出来上がっているところがこの作品の魅力です。

およそ思い浮かべることができるものはすべて映像として作り出すことができると言われる現在の技術水準から見ると、この作品でコクトーが見せる映像技術は全く子供だまし同然のレベル。しかし、その画面から漂ってくる映画的雰囲気はまさに詩の世界。人間の想像力とセンスはこんなにすばらしく、偉大な表現者は技術的なハンデなどいくらでも克服することができるのだなぁと改めて感心してしまいます。

原作で野獣は、父の危篤を見舞うために帰宅したベルが約束の一週間を超えても戻ってこないために悲しみのあまり衰弱してしまい、瀕死のところに駆けつけたベルの愛の言葉を聞いて王子の姿に戻ります(ディズニーアニメに比べるとかなり単純なストーリーですね)。おそらくコクトー監督、このくだりにもっと映像詩的なインパクトを出したかったんでしょうね。ベルに求婚するアヴナンというキャラクターを作り出して名優ジャン・マレーをこれに充て、野獣を殺してその財宝を狙うという役どころでラストに絡めてきます。

ジャン・マレーは野獣とアヴナンの一人二役。野獣の呪いが解ける場面では、野獣とアヴナンが絶妙に絡み合って映像的に大変面白く仕上がっています。ジャン・マレーとジョゼット・デイが王子の国に飛び去っていくラストと共に、まさにファンタジーの名場面として記憶に残ります。コクトー監督も満足のいくラストだったんじゃないでしょうかね。

ちなみに、ディズニーアニメ版の悪役ガストンはアヴナンをデフォルメしたキャラクターですね。ガストンの生みの親はコクトーだったとも言えます。

コクトーの詩人魂に敬意を表しつつ★★★★☆※

ジャン・コクトー/美女と野獣
ジャン・コクトー/美女と野獣ジャン・コクトー ミシェル・オークレール ジョルジュ・オーリック

アイ・ヴィー・シー 2005-09-28
売り上げランキング : 83651

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



にほんブログ村 映画ブログへよろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 15:32| 埼玉 🌁| Comment(4) | TrackBack(1) | OLD:フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ディズニー映画って『アラジン』しか観たことないなぁ…。
ジャン・コクトーの『美女と野獣』は観ましたが、ジャン・マレー演じるアヴナンは腹に一物ありの男でしたね。
その顔が野獣に乗り移ってヒロインと空に消えていくシーンは、なんともフランス的な皮肉に満ちたラストだったと思いましたね。
Posted by オショーネシー at 2006年09月14日 00:36
>オショーネシーさん、こんばんは。
えーっと、ラスト書いちゃいけないかと思って中途半端に伏せてたんですけど、オショーネシーさん書いちゃいましたね・笑。その通りです。財宝狙いのアヴナンが財宝を守る女神像に射殺された瞬間に野獣は人間となって生き返り、アヴナンは野獣となって死ぬ。このあたりが映像的にはとっても面白いと思いました(あの、コクトーが好きな逆回しで起き上がってくるやつも)。これやりたいが為に、ジャン・マレーに二役やらせたんでしょうね。しかし、個人的にはジャン・マレーって堂見ても呪われた悲劇の王子様って感じじゃないですよね。(結局トコトン書いちまったな)
Posted by FROST at 2006年09月14日 01:21
あら〜…、どうもしんずれいしました。(歳がばれそうだな…)
Posted by オショーネシー at 2006年09月14日 23:25
いえいえ、どういたしまして(爆笑)
Posted by FROST at 2006年09月15日 00:42
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/23690345

この記事へのトラックバック

『美女と野獣』ができるまで
Excerpt: <きのうから続く>『美女と野獣』(ジャン・コクトー監督)は戦後日本で初めて公開されたフランス映画。当時の日本人に与えたカルチャーショックは大きかった。まさしくフランス映画にしかない美と気品。淀川長治は..
Weblog: Mizumizuのライフスタイル・ブログ
Tracked: 2008-05-04 18:34
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。