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2006年09月20日

禁じられた遊び 1951年/フランス【DVD#113】

Jeux Interdits Fr.jpg

”JEUX INTERDITS”

監督:ルネ・クレマン/製作:ポール・ジョリ
原作:フランソワ・ボワイエ/
脚本:ジャン・オーランシュ/ピエール・ボスト
撮影:ロベール・ジュイヤール
音楽:ナルシソ・イエペス
 
出演:ブリジット・フォッセー/ジョルジュ・プージュリー
シュザンヌ・クールタル/ジャック・マラン

   詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレ気味です

”禁じられた遊び”と言えば、ギターを習っていた者にとっては特別な映画。ナルシソ・イエペスによる主題曲はどれだけ練習したかわかりません。あのメロディが聞こえてきただけで懐かしさがあふれます。

しかし作品の方は、ご多分にもれずはるか昔に一回観ただけで、覚えているのは子役の演技が奇跡的なうまさだったなという驚きと、ラストシーンが悲しかったなぁというそのくらい。さびしいもんです。

今回見直してみてこの作品にはちょっと怖いものを感じましたねぇ。

ルネ・クレマン監督は人間から動物・虫に至るまでこの作品のいたるところに”死”をばら撒いています。それだけ強調されている"死"に対する登場人物の接し方が普通じゃないと言うことがその怖さの原因のようです。

舞台は第二次大戦さなかの1940年、パリ近郊の村。死はそこら辺に日常的に転がっています。パリから非難しようとした一団がドイツ軍戦闘機の攻撃を受けてバタバタと死んでいきます。ポーレット(ブリジット・フォッセー)の両親も機銃掃射を受けて即死。死を理解できないポーレットが斃れた母の頬を小さな手でなでるシーンが悲しい。かわいがっていた犬も死んでしまいます。ルネ・クレマンは死に際に犬が四肢を痙攣させている様子まではっきり撮ってますね。

ポーレットは死んだ犬を抱いてさまよっているうちにミシェル(ジョルジュ・プージュリー)と出会います。ミッシェルは彼女に犬が死んだことを説明し、死んだら穴に埋め、十字架を立てるのだと教えます。

こうして彼女にとって”死”とは”穴に埋めて十字架を立てる”ということとイコールになってしまいますね。死ぬのはかわいそうだと感じるものの、死に敬意を払うべきだというようなことは理解できません。

また、ミシェルもポーレットを喜ばせたいがために、死者を敬い慰める象徴である十字架を次々盗み出そうとします。

暴れ馬にけられたミシェルの兄ジョルジュが死んだとき、ポーレットは「穴に埋めるの?」と聞きます。ミシェルは「よせ、僕の兄さんだぞ」とたしなめますが、それでもやはり兄の遺体を運ぶ霊柩車から十字架を盗みます。

ミシェルは隣家からひよこを盗んできますが、ポーレットに見せたときにはひよこは死んでいます。「うれしいかい?」と聞くミッシェルにポーレットは「うん」と答えます。

子供たちは死の本質を理解しないまま、次々と墓を作って十字架を立てます。清らかに美しい音楽やブリジット・フォッセーのかわいらしさとは裏腹に死の本質を理解しない子供たちの葬式ごっこはやはり怖い。ブリジット・フォッセーの(多分)青い瞳があまりに無邪気すぎて、さらに怖さを増幅します。

ミシェルの両親は当然子供たちのこういう遊びを快く思いません。でも、彼らも"死”について理解し敬意を払っているのか甚だ疑わしい。隣家の妻の墓を汚い石ころだとののしる。墓場で乱闘する。十字架をへし折る。大人たちもやはり死に対してまっとうな態度を示していないようです。

結局、この映画からずっと感じる怖さの根本にあるのは、大人も子供も死というものを正しく取り扱っていないという一種の異常さです。突き詰めると、結局はそういう人間社会における当たり前のことができなくなってしまう戦争というものの恐ろしさということにたどり着きます。

大人たちは、子供の葬式ごっこには違和感を感じるのに、戦争によって自分たちも死に対して無感覚になってしまっていることに気がつかない。そういう大人たちに引き裂かれてしまった二人の姿が哀れです。ラストシーンのミシェルを捜し求めるポーレットの姿は忘れられませんね。

★★★★☆

禁じられた遊び/居酒屋
禁じられた遊び/居酒屋ジョルジュ・オーリック フランソワ・ペリエ ルネ・クレマン

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<500円DVD情報>
ファーストリテイリング版の500円DVDで見ましたが映像はかなりきれいです。
DVD開始早々、画面が真っ黒で主題曲だけが流れますがしばらく置いておくとタイトルロールが始まります(おそらく、映画会社のロゴマークとかの画面を消したんでしょうね)


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posted by FROST at 10:50| 埼玉 ☀| Comment(7) | TrackBack(1) | OLD:フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これはねえ・・・。もう、本当良かったです。小さい頃TVでテレビ名画座というのが
ありまして、それで何回も見ました。
その頃見たものには名作が多かったのですが、日本語吹き替えでした。その後
字幕スーパーでも見ていますが微妙に
ニュアンスが違いますね。本人の声が一番いいのは当然でしょうが、吹き替えが実は
凄く良かったりするものもあるのです。
(特に昔の声優さんは本とにウマイ!)
声もぴったりで、この作品も吹き替えがとても良かったです。
ラスト、「ミシェルーーー」と言って
雑踏に消えていく・・・いつ見ても泣けます!最後のその「ミシェルー」は、吹き替えじゃないんです。そこだけは。
本人の声なのです。それが良かったです。
ほんとに良かった。
Posted by sesiria at 2006年09月20日 16:20
この映画の事を思い返すと、どうしてもポーレットのその後をいろいろ考えてしまいます。
彼女はいったいどのように成長していくのでしょうね・・。
Posted by カカト at 2006年09月20日 18:00
>sesiriaさん
いつもありがとうございます。DVDだと昔の映画はほとんど原音声だけですからねぇ。しかし、字幕だと微妙なニュアンスが通じないのが難点ですよね。フランス語とイタリア語と勉強しようかなどと真剣に考えてます。

>カカトさん
ラスト悲しすぎますよね。クレマン監督『居酒屋』のラストも、幼いナナが走り去っていくシーンでしたが、こういう終わられ方をすると、”きっと何とか幸せになってくれているはずだ”と思いたくなります。
Posted by FRSOT at 2006年09月20日 21:24
今から30数年前、ギターを買ってもらって真っ先に練習したのがこの曲。
イエペスのコンサートで実際に聴いたとき、映画のシーンが目の前に浮かんでくるような感動を覚えました。

Posted by haduki at 2006年09月21日 01:17
hadukiさんこんにちは。hadukiさんもギターやってらっしゃったんですね(しかも同じころ)。なかなかきれいにひけなくて、爪の切り方まで工夫したことを思い出します。イエペスの演奏を直に聞かれたとは羨ましいです。
Posted by FROST at 2006年09月21日 13:27
40年ぶりに、「禁じられた遊び」を見ました。2人の子役の演技の「凄さ」に、ただ驚きました。40年前には、戦争は悲しい、程度の理解でしたが、今回は、ブリジッド・フォッセーとジョルジュ・ブージュリーの一つひとつのせりふ、所作、表情に、人の世の悲しみを読み取ることができました。500円のDVDに感謝します。
Posted by Leafman at 2007年08月27日 16:32
「同性愛」は イスラミヤ 対立が絶えないユダヤ教 クリスマスマーケット 訴えを起こすとしている たな 和ブログ傘 ワールド 提案 社会
Posted by 報復の殺人 at 2007年09月03日 16:52
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「禁じられた遊び」
Excerpt: 「禁じられた遊び」 (Jeux interdits) 1952年フランス 監督 ルネ・クレマン 出演 ブリジット・フォセー    ジョルジュ・プージュリー あらすじ  1940年..
Weblog: 私が観た映画
Tracked: 2006-09-20 17:56
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