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2006年08月31日

素晴らしき放浪者 1932年/フランス【DVD#107】

boudu_eaux.jpg
”Boudu sauve des eaux”


監督:ジャン・ルノワール/原作:ルネ・フォーショワ/脚本:ジャン・ルノワール/
撮影:マルセル・リュシアン/音楽:ラファエル/ヨハン・シュトラウス
 
出演:ミシェル・シモン/シャルル・グランバル/マルセル・エイニア/セヴェリーヌ・レルシンスカ/ジャン・ダステ


   詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレですよ

もう10日以上も前に観終っているこの”素晴らしき放浪者”。ずっと書きかけのレビューを抱えたままアップできずにいます。面白くなかったわけじゃなくてですね、あんまり見事なのでどう書いていいものやら・・。

”ミッシェル・シモン演ずる放浪者ブーデュがとにかく素晴らしい。言う事・やる事・容姿・風貌・着ているものまで、すべて気に入った。というのも、自分の中にブーデュをうらやましいと思う気持ちがあるからで、ひょっとしたら(レスタンゴワ氏に代表される)現代人はみんな、多かれ少なかれそんなことを感じるんじゃないか”

と、書きたいことはこの程度なんですが、あまりの作品のおおらかさを前にしてなにを書いても小賢しい感じがして、書いては消し、書いては消し・・・。

最近読んだ、中条省平著「フランス映画史の誘惑」に、ジャン・ルノワールについて「<詩的レアリスム>という狭い美学的基準には到底おさまりきれないスケールの大きな作家」とありますが、本作品を観て全く納得しました。

伸びやかというか大らかというか、時間とか空間とか常識とか、すべてから自由な主人公ブーデュの姿が、なんともいえない幸福感を与えてくれます。

レスタンゴワ家で散々追い掛け回していた女中アンヌ・マリと結婚することになって、結婚式後の川くだりの船上、ミシェル・シモンの顔芸は最高ですよ。「あれれ、なんか変なことになってきたぞ」といわんばかりの困り顔は絶品。おかしさも最高潮です。

レスタンゴワ家ですったもんだの挙句、だんだん文明人化して、さすがの”素晴らしき放浪者”ブーデュもついに年貢の納め時かというときに、あろうことか

”流れてきたはすの花を拾おうと手を伸ばす”
”船が転覆して川に落ちる”
”そのままブーデュはどこかに流れていってしまう”
”流れ着いた先で案山子の服を着込んで、また放浪生活に戻っていく”

・・・・・・て、最高でしょう、これ。

この一連のくだりは、テンポといいリズムといい、今までの映画で観たこともないほどの見事なシーンです。このあたりは、百万言を費やしても映像を観ない限りはほとんどなにも伝わらないと思いますんで、ネタバレを恐れず書いちゃいましたけど。

このシーンから発散する爽快感というか幸福感というかそういうものをきっちり受け取りたいなと、とにかくそう思いました。

なんか、書いてることが支離滅裂ですけどね、とにかくこのシーンだけは見たほうが良いと思いますよ。自分の中の深いところにある願望がゆさぶられてそこから幸せな気分になります。いやぁ、ルノワールってホントにすごいわ。★★★★★

素晴らしき放浪者

素晴らしき放浪者ジャン・ルノワール ミシェル・シモン シャルル・グランバル

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posted by FROST at 01:21| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(2) | OLD:フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はああ…。この映画のDVDを持っているのにいまだに未見です…。
しかし、ミシェル・シモンは名優ですよね。何本か彼の作品を観ていますが、存在感がスゴイ!!
思えばトーキーになって出てきたフランスの俳優はみんな個性的かつスタイルがありますね。ジャン・ギャバン然りルイ・ジューベ然り…。
監督のジャン・ルノワールも素晴らしいですね。父親は絵画で成功し、兄は俳優で成功し、彼は監督で成功…凄い家系です。
思わず脱帽。
Posted by オショーネシー at 2006年09月01日 02:46
オショーネシーさん、こんばんは。
それはもったいない。ぜひご覧になったほうが良いですよ。ジャン・ギャバンは続けて”大いなる幻影”を見ているのですが、こちらはどうも乗り切れないような感じ。なのですが、全く”素晴らしき放浪者”とは味わいが異なる作品で、ルノワール監督の幅の広さを感じさせます。
Posted by FROST at 2006年09月03日 02:47
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映画評「素晴らしき放浪者」
Excerpt: ☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1932年フランス映画 監督ジャン・ルノワール ネタバレあり
Weblog: プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
Tracked: 2006-08-31 16:36

仏キネマ選集(2) 『素晴らしき放浪者』
Excerpt: 『素晴らしき放浪者』(1932年/フランス) 監督:ジャン・ルノワール 原作:ルネ・フォーショワ 脚本:ジャン・ルノワー
Weblog: キネマじゅんぽお
Tracked: 2006-09-02 09:03
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