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2006年08月18日

望郷 1937年/フランス【DVD#106】

pepe_le_moko.jpg

”Pepe le Moko ”

監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ/原作:ロジェ・ダシェルベ/脚本:アンリ・ジャンソン/ロジェ・ダシェルベ
撮影:ジュール・クリュージェ/音楽:ヴィンセント・スコット
出演:ジャン・ギャバン/ミレーユ・バラン/リーヌ・ノロ/リュカ・クリドゥ/ルネ・カール/マルセル・ダリオ/シャルパン/ジルベール・ジル/ガストン・モド

小さい頃、母親の口から”ペペル・モコ”という名前を何度か聞いた覚えがある。”ペペル・モコ”という音の響きが妙に記憶に残っていたのを良く覚えている。その時母はペペル・モコに扮するジャン・ギャバンの魅力を実に楽しそうに話してくれていた(らしい)。母は元来それほどの映画好きではないが、それでも夢中になるくらいこの作品とジャン・ギャバンは魅力たっぷりであったらしい。

この名作も前回観たのはいつだかわからないくらい昔。ギャビー(ミレーユ・バラン)のクローズアップやラストの鉄格子のシーンはおぼろげな記憶にあるものの、ストーリーはほとんど忘れており、かなり新鮮に観直すことができた。

大泥棒ペペル・モコ(ジャン・ギャバン)は、パリ警察の手を逃れてフランス領アルジェのカスバに逃げ込んだ。カスバはアルジェ港を見下ろす丘に広がる城塞都市。入り組んだ町並みがさながら迷路のようで、警察の手は届かない。いまや町の顔役となっているペペル・モコはカスバを拠点に今も悠々と強盗を働いている。

この作品の主役とも言えるカスバの町は入り口の階段や坂道が連なる路地、テラスなどの映像が実に印象的。そして、大泥棒ペペル・モコをがっちり守る要塞都市として鉄壁の頼もしさを見せる。

カスバの町を前にして打つ手なしの警察は、ペペル・モコを町から引っ張り出すべくスパイ・レジス(シャルパン)を使って、一味で一番若いピエロ(ジルベール・ジル)に罠をかける。

警察の動きと同時期にペペル・モコはアルジェ観光に来たギャビーと知り合い、彼女を愛するとともにパリへのノスタルジアに堪えられなくなってくる。

パリに帰るギャビーを追いかけたいが、町を出ると警察が手ぐすねひいて待っている。望郷の念に囚われた彼にとってカスバの町は、いまや牢獄となってしまった。そこから逃れようとするペペル・モコは、前半の意気揚々たる姿と打って変わって、焦り、わめき散らして、坂道を転げるように駆け落ちる。

デュヴィヴィエ監督は、このあたりの運命が徐々に暗転していく様を映像化するのが本当にうまいなぁとしみじみ感じますね。さまざまな人物の思惑が積み重なって悲劇的運命に導かれていく様が見事。中でも、彼の身を案ずるがために必死に引き止めようとする情婦インス(リーヌ・ノロ)は、カスバの町が女の姿になって彼を逃すまいとしているかのよう。彼女自身の心情の痛々しさが鮮明に描かれるほどに、ペペル・モコの逃れられない運命も際立ってくるような、そんな手際の素晴らしさに感心いたしました。


詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)



★★★★★

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posted by FROST at 10:58| 埼玉 ☁| Comment(7) | TrackBack(2) | OLD:フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
数いる俳優の中で、ジャン・ギャバンの映画を一番観ているんじゃないかと思うんですよ。(映画出演数が半端じゃなく多いこともあって)
『望郷』は、ジャン・ギャバンが唄ったので驚いた映画の一つでもあります。彼はミュージック・ホールの出身なので唄っても別におかしくはないんですけどね。(『我らの仲間』でも唄ってました。)

ギャビー役のミレーヌ・バランは、ディートリッヒを意識しているのではないかと思います。頬骨をくっきり浮き出させ、細い眉…。
そのギャビーに、「メトロの匂いだ」とキザに言ってのけるペペル・モコ。彼女の出現で故郷に対する思いが募るんですね〜。
ラスト・シーンも切なくて良いですね。これぞフランスのロマンスって感じです。
Posted by オショーネシー at 2006年08月18日 20:33
TB致しました。
この作品のポイントは、ぺぺの望郷がギャビーに重なることですね。それが分らないと彼が逮捕される危険を冒してまで港へ繰り出す気持ちが分らないでしょうね。
ペペ・ル・モコ、メトロ、ギャビー・・・を今も忘れていない方も大正生まれの方も多いことでしょう。
ミレーヌ・バランのディートリッヒ意識説は興味深く拝聴致しました。そうかもしれませんね。
Posted by オカピー at 2006年08月19日 02:42
ギャバンの「ギャビー!」と叫ぶ声,汽笛に耳をふさぐバランというシーンが目に焼きついています。
難攻不落の悪党が結局,身をほろぼすのは…,一種独特な美学といいましょうか,いかにもフランス映画的な作品だと思います。『望郷』とは,配給元も粋な邦題をつけたものですね。
そういえば,バランの細く直線的な眉は,確かにこの頃のディートリッヒそっくりかも。
Posted by ジューベ at 2006年08月20日 13:49
★皆様大変お返事が遅くなり、住みませんでした。

>オショーネシーさん
ジャン・ギャバン、私はいつ観ただろうと記憶をたどるのも大変なくらいでした^^; バランのディートリヒ似は確かに言えますね。30年代後半のディートリッヒ出演作は手元にないんですが、”モロッコ”あたりで確認してみましょ。

>オカピーさん
こんばんは。確かに、フィルムセンターなどで、映画好きのお年寄りたちの話を聞いていると、何十年も前の作品について実に楽しそうに語られますね。最近の映画も30年もたてばクラシックといわれるようになりますが、思い出をこめて語れる映画がたくさんあればいいですねぇ。

>ジューベさん
こんばんは。コメントありがとうございます。フランス映画的美学に最近ようやくなじんできまして、フランス映画を観るのが楽しくてなりません。しばらくはアメリカ映画に戻りそうもないですね(日本映画には行くかもしれませんが)。
Posted by FROST at 2006年08月28日 23:07
これも切ないラストシーンでしたね!
捕まるとわかっていても愛する女性のため、港へいってしまう・・・・。
そういう所が見る者の心を掴みますねえ。
捕まると解っているのに行く、負けると解っているのに戦う、などはやはりジーンとします。「日曜日には鼠を殺せ」という
映画も捕えられるとわかっているのに主人公が死地に赴く・・・という話で印象に残っています。
Posted by sesiria at 2006年09月12日 18:30
>sesiriaさん
上でジューベさんも書かれていますが、汽笛にかき消されるジャン・ギャバンの叫びがたまりませんね。ところで、「日曜日には鼠を殺せ」という映画は見たことがなかったのでちょっと調べてみました。フレッド・ジンネマンであればぜひ見てみたいところです。忘れないようにサイドバーにあるぜひ観たい作品リストに追加させていただきました。ありがとうございます^^
Posted by FROST at 2006年09月13日 01:10
<ミレーヌ・バランは、ディートリッヒを意識
私もこれは似ている!と思いました^^)。
「望郷」は名作だと小さい頃から聞かされてましたが、やっと最近観れました。期待を上回るいい作品ですね。特にラストは泣ける名場面トップ10に入れたいです。
Posted by ぶーすか at 2006年09月16日 07:36
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映画評「望郷」
Excerpt: ☆☆☆☆☆(10点/10点満点中) 1937年フランス映画 監督ジュリアン・デュヴィヴィエ ネタバレあり
Weblog: プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
Tracked: 2006-08-19 02:35

「望郷」「ワイアット・アープ」
Excerpt: ●望郷…………………★★★★★ 【NHKBS】ジャン・ギャバン主演、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督のアルジェリアを舞台にした「カサブランカ」元ネタっぽいロマンス映画。ペペ・ル・モコっていろいろな店の..
Weblog: ぶーすかヘッドルーム・ブログ版
Tracked: 2006-09-14 10:18
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