新ブログ『川越名画座』に引っ越しました。さらに充実した内容で運営していますので、ぜひご訪問ください。

2006年07月25日

#0085『枯葉〜夜の門』マルセル・カルネ監督 1946年フランス

【注】この記事中の「詩的レアリスム」に関する認識が間違えています。
こちらをご参照くださいませm(_ _)m




Les Portes De La Nuit.jpg
   ”LES PORTES DE LA NUIT”


   監督: マルセル・カルネ
   出演: イヴ・モンタン
        ナタリ・ナティエ

   詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)



イブ・モンタンが歌ったシャンソンの名曲”枯葉”。誰でも一度は聞いたことがあるだろう。が・・・。

”枯葉”を重要なテーマ曲に使った本作「夜の門」は、実は日本未公開作品だった。しかも、”詩的リアリズム”の名コンビ、マルセル・カルネ/ジャック・プレヴェールはこの作品を最後に訣別したらしい。

さて、そんなに評判の悪い映画だったのかしらんと見てみたが、映画自体は案外面白い。

今まで何気なく観ていたフランス映画を、 きちんと観てみようと思い立ったのはつい最近。手始めに前回レビューした「居酒屋」を観たが、取り付く島もないほどのリアリズムの徹底振りに一発くらって 早くもよろめき気味である。

なので、今回は厳しい現実を見せつけられても 耐えて見せるぞと身構えていたのだが。どうもこの作品は情け容赦のないリアリズムとは少し趣が違うらしい。

たとえば、下宿屋の階段でキナノキとその奥さんが強欲な家主セネシャルに詰め寄る場面では、二人の演技がコメディタッチでなかなか面白く、ほっとさせてくれる。イブ・モンタンとナタリー・ナティエをめぐる一晩の出来事は、ちょっと複雑な 人間関係をベースに因縁と偶然が絡み合って、かなりドラマチックに描かれている。

また、決定的なのは、自ら”運命”と名乗る浮浪者だろう。浮浪者は要所要所に現れて、 人の運命を予言する。的確に人の運命を予言するので、人ではない何者かを想像させるが、彼自体リアリズムからはほど遠い存在といえるだろう。

この作品のテーマは?。”夜の門”とは?

この物語は夜の訪れとともに始まり、夜明けとともに終わる。たった一晩でさまざまな運命を向かえた人たちの物語であるから、 ”夜の門”とは運命の入り口ということなのだろう。その夜を迎えるまでは想像もしなかった運命、耐え難い運命の入り口をくぐってしまったイブ・モンタンの、ラストシーンの物悲しくもうつろな表情が印象ニ残る。

しかし、件の浮浪者は悲惨な運命を迎えるべき人々に、それを 警告することで何とかその運命から逃れさせようとしているらしい。彼はハーモニカで”枯葉”を奏でながら(これが抜群)、夜の門をくぐろうとする人たちを押しとどめようとする。が、人々は 彼の制止を聞かずに夜の門の中へとどんどん入っていってしまう。いくら、彼が警告しても絶対に誰も救うことはできない。

結局、浮浪者の存在は運命を前にした人間の無力さを引き立てるだけである。この浮浪者は、「誰の人生もみな素晴らしい」ということを際立たせた「素晴らしき哉、人生!」の二級天使と立場が似ていないか?テーマの際立たせ役という意味で。やり方も向かう方向も全く逆だけど。底抜けにハッピーな「素晴らしき哉、人生」とくらーい「夜の門」のコントラストがそのままアメリカ映画とフランス映画のコントラストだな、などといかにももっともらしく考えてみる。(奇しくも両方とも1946年の作品だなぁ。)

そういう風にしてみるとこの映画は良く出来ていると思う。

しかし、この作品が評価されなかったと言うことは、こういうドラマチックな 仕掛けの作品は1940年代のフランス映画の中に位置づかなかったと言うことなのだろう。
”詩的リアリズム”というトレンドまで作り出したカルネ/プレヴェールコンビが、そんなに容易にはずしてこけてしまうとも思えないので、なにかことの経緯があったにちがいない。何かに挑戦したのか、事情があったのか。そのあたりぜひ知りたいですな。奥が深いなぁ。

ちなみに、イブ・モンタンは良かった。マレーネ・ディートリッヒが本作出演を断ったために、彼女に惚れていたジャン・ギャバンもやる気をなくして降板(わかりやすい)。その結果、映画デビュー直後のイブ・モンタンにディエゴ役が回ってきたらしい。表情豊かで、愛嬌があってなかなか良いので、ちょっとイブ・モンタンを追いかけてみようかという気になった。

手元にどんなDVDがあるか探ってみたら、「恐怖の報酬」「晴れた日に永遠が見える」「IP5」と3枚あったので観てみることにしよう。(お、前にレビューした「ナポレオン」にも出てたらしい。)。カルネ/プレヴェールコンビも気になるので、「天井桟敷の人々」も近々。

”人生は美しい”★★★★☆

枯葉 〜夜の門〜
枯葉 〜夜の門〜マルセル・カルネ イブ・モンタン セルジュ・レジアニ

アイ・ヴィー・シー 1998-11-25
売り上げランキング : 83149

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



にほんブログ村 映画ブログへbanner_02.gif
よろしくお願いします!

アクセス解析
posted by FROST at 03:10| 埼玉 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | OLD:フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。