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2006年07月20日

#0083『戦争と平和(4部作)』セルゲイ・ボンダルチュク監督 1965−67年ソ連

War and Peace.gif   ”Voyna i mir T〜W”


   監督: セルゲイ・ボンダルチュク
   出演: セルゲイ・ボンダルチュク
         リュドミラ・サベリーエワ

   詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレ

「これはすごいな・・・」と 思わず独りごちた。

それほど すばらしい映画体験だった。

ナショナルフィルムセンターの ”ロシア・ソヴィエト映画祭”。 セルゲイ・ボンダルチュク監督の 「戦争と平和」四部作一挙上映。合計7時間5分である。

頭も、心も、目も、腰も、大いにシビれた。

当日、フィルムセンターには余裕を持って1時間前に到着する。平日なので大丈夫だろうと思っていたが、到着してみるとなんと見たこともないほどの長蛇の列。上映待ちの人たちがロビーに収まらず、地下まで延々行列が伸びている。

上映30分前くらいに来た人は、席がなかったようなので1時間の余裕を見ておいて良かった。お客さんは圧倒的にシルバーの方が多い。 あちこちで「昔の映画は・・・・とか「昔の女優は・・・」と言った会話が聞こえてきて、少しおかしくなる。

「7時間ですから、がんばらないとね」などと横のおばあさんと話しながら一緒に並ぶ。ひとしきり待って館内に入場、やや後ろより真ん中あたりの結構いいポジションに席を確保することができた。

作品は、トルストイ原作のあまりにも有名な大河ドラマ。過去にアヴェル・ガンスやキング・ヴィダーが映画化している。 今回は本家本元ソヴィエトが国の威信をかけて製作した大作である。監督のボンダルチュクは、脚本や俳優としても活躍した人で、本作でも主人公ピエールとして4部作全編に出演する。

舞台は19世紀初頭のロシア。

ナポレオン率いるフランスとロシアとの激しい戦争を物語の土台に、主人公ピエールの魂の成長が描かれる。主人公ピエールはトルストイ自身の分身であるらしい。先進的な思想を持っているが、内向的で面白みのない人物である。

ロストフ家の令嬢ナターシャに想いを抱いているが、友人アンドレイと愛し合う彼女の後見役に納まる人の良さ。自分はというと、事の成り行きで悪妻を娶った挙句、男友達との仲を疑って決闘を申し込むものの、土壇場でしり込みしてしまうほど肝が小さい。ナターシャとアンドレイの仲が破局したときも、彼女に対して遠まわしに自分の想いをほのめかすことしかできなかった。

ピエールは、そういう自分の行き方と決別するためにフランス軍とロシア軍が激突するボルジノの戦場をさまよう。そして、フランス軍の侵攻で陥落したモスクワで祖国ロシアのために戦う中で覚醒を遂げる。

ピエールをめぐる人間ドラマがこの映画の魅力であることは間違いない。

が、本作で一番すばらしいのはそのドラマを映し出す映像である。

特に戦争をめぐる映像は息を呑むほどすごい。

”神の視線”を思わせる上空からの俯瞰ショット。ずらりと並ぶ大砲から一斉に発射される砲弾。着弾と共に吹き飛ぶ土砂と白煙。炎に包まれた地面に影を映しながらたなびく黒煙。その仲を疾走する騎馬を真下から見せるショット。

などなどあげるときりがない。しかも、激しい戦闘シーンを撮るカメラは水平に固定されていない。斜めに傾き、上下にゆれる画面に飲み込まれて、自分も戦場にいるような錯覚を覚えるほどのリアリティと迫力がある。

また、それ以外(平和のとき)の映像でも、少女時代のナターシャが豪華な舞踏会場を駆け回るシーンの可憐さ、アンドレイが妻を亡くした悲しみから立ち直るときに樫の木を下から見上げるショットなど、美しく存在感のある映像が次々とスクリーンに映し出される。

最近、DVDなどが普及して映画はいつでもどこでも、何度でも見直すことができるようになってきた。もちろん便利で良いことには違いない。

でも、映画館に出かけて素晴らしい映像で綴られる素晴らしいドラマを、一回限りじっくりと楽しむ。こういうことがやっぱり映画の醍醐味だなぁと、当たり前のことに改めて感動した一日だった。

ちょっと映画館通いをしてしまいそうな予感がする。


いやー、映画ってホントにいいもんだ★★★★★

ヨーロッパ映画づいてきたので、次回もその方向で。

戦争と平和
戦争と平和レフ・トルストイ セルゲイ・ボンダルチュク リュドミラ・サベリーエワ

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posted by FROST at 01:24| 埼玉 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | OLD:その他ヨーロッパ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こういう映画をこそ劇場で観たいもんですよね〜。
なかなかやってくれる館がなくて観る機会はありませんが…。
フィルムセンターはいつもシルバー世代であふれますが,これからの時代,こういう「映画が青春」だった世代に向けた興行も増やしてほしいなと思います。
で,私もそのオコボレにあずかろうかと…。(^^
Posted by ジューベ at 2006年07月22日 11:18
ジューベさん、こんばんは。確かにこれは劇場で見てこそかもしれません。映画館ではシルバーの方々が結構楽しそうにしているのが印象的でした。40年代50年代の映画をリアルで観てきた人たちですからね。いつまでも楽しめる場があるというのは大事なことだと思います。
Posted by FROST at 2006年07月23日 00:51
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