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2006年07月14日

#0081『ファミリー・プロット』 1976年アメリカ

Family_plot.jpg
   ”Family Plot”


   監督: アルフレッド・ヒッチコック
   出演: カレン・ブラック
        ブルース・ダーン


   詳しい作品情報はこちら
    ⇒allcinema
    ⇒IMDb(英語)


ネタバレですよ

50作を超える映画を撮ったヒッチコック最後の劇場用長編。監督76歳の作品であり、亡くなる4年前ということになる。

1976年といえば、中学三年生のころ。結構、映画館にも足を運び出していた頃で、この作品はロードショーを観た記憶がある。今から考えると、ヒッチコック監督の作品をひとつでもロードショーで観れたというのは幸せなことである。だが、内容はというと、中学生に満足に理解できる作品でもなく、シャンデリアに貼り付けたダイヤモンドと黒尽くめのカレン・ブラックが記憶に残っているくらいのものである。

この映画は二組の男女の物語だ。

一組は、インチキ霊媒師ブランチ(バーバラ・ハリス)とその恋人でタクシー運転手ジョージ(ブルース・ダーン)。金持ち相手のインチキ霊媒で小金を稼いでいるチンピラカップルである。 ジョージはインチキのための情報収集役を務めている。

もう一組は、表向きは宝石商ながら裏では誘拐を生業としているアーサー(ウィリアム・ディヴェイン)とその愛人フラン(カレン・ブラック)。 こちらは、筋金入りの大悪党だ。

実はある大富豪の老婆が遺産相続人として、昔手放した息子であるアーサーを探している。ブランチが1万ドルの謝礼目当てに人探しを請け負っているのだ。ところが、アーサーコンビは実業家や司教を誘拐し、身代金として高価な宝石をせしめるている真っ最中。 当然、自分たちをかぎまわるジョージとブランチは邪魔であり、危険を感じる。

観客は両方のカップルを同様に見ているが実際に二組が直接関係を持つのは後半、ほとんど映画も終わりにかかる頃。ブランチとアーサーが直接合間見えると、一気にドラマは盛り上がる。このあたり、実にテンポが良い。

この作品、ラストシーンは、かなり変わっている。あれれ?ヒッチコック監督にしては露骨にご都合主義?という感じだし、ブランチがカメラ目線でてウィンクまでする。 しかし、このウィンクを見て初めて気がついた・・・

この作品って、コメディ・・・なのね。

「ずいぶんとコメディ”タッチ”の作品だなあ」と思いながら観ていたのだが、”タッチ”ではなくこれはコメディそのものだ。
「ヒッチコックのコメディ」というつながりが頭の中になかったため、ラストシーンを見るまで気がつかなかったとは、先入観は怖い。。。というより単なる大間抜けだ。すみません。(改めて、IMDbみるとちゃんとComedyって書いてあった・泣)

そういえば、コメディ要素がいっぱいじゃないか。

そもそも、インチキ霊媒コンビのチンピラぶりと誘拐犯コンビのシリアスな大悪党ぶりのコントラストがかなりおかしい。たかだか、1万ドルのために必死に追いかけるインチキ霊媒コンビを、誘拐犯コンビが追っ手と勘違いしてこれまた必死で始末しようとするというシチュエーションも抜群。緊迫したカーアクションの最中もしっかりとドタバタアクションで笑わせてくれるし、ブランチとジョージの会話はちょっとセクシーで粋なやり取りが満載だ。

そうすると、ラストカットのウィンクは

「どうだケッサクだっただろ?」

というヒッチコック自身からのメッセージだな。

これが最後と本人が考えていたかどうかは知らないが、ウィンクひとつ残して我々の前から去っていくなんて、いかにもヒッチコックらしくて素敵ではないか。



今夜はスタンディング・オベーションだぜ!★★★★★

次回はどうしよう?ちょっと考え中。。。

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posted by FROST at 11:46| 埼玉 ☔| Comment(7) | TrackBack(3) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これ好きです〜。
インチキが本当になるところ、なかなか良いですよね♪
Posted by かよちーの at 2006年07月14日 23:56
最後の本当になるところはね、なんだこりゃ???って、ちょっと怒り気味だったんですよ、実は。サスペンスのご都合主義っていうのが嫌いなもんですから。それで、ハタと「あ、これはコメディなんだ」と気がついたわけです・笑
Posted by FROST at 2006年07月15日 17:00
TB致しました。
FROSTさんはヒッチコック特集終りですか。私は多分17本残っています。今月いっぱいでヒッチの日本の初登場作「暗殺者の家」まで行き、8月いっぱいで<ヒッチ曜日>を終えたいところですが、どうですか。

愛すべき遺作でした。
洒落の解らん連中には駄目でしょう。
Posted by オカピー at 2006年07月16日 00:57
オカピーさん、いつもありがとうございます。

一応ファミリープロットまでたどり着きましたが、まだ18本残ってるんですよね。私もコンプリートを目指したいところです。何とか、DVD・ビデオを探し出しそうと思います。オカピーさんは全作制覇するんだろうなぁ。いいなぁ。

>愛すべき遺作
確かにおっしゃるとおりです。最後にこういう作品を持ってこれるあたり、やっぱりヒッチコック監督尋常じゃなかったということでしょうね。
Posted by FROST at 2006年07月16日 02:06
ヒッチコックは最後まで私たちを楽しませてくれました。
ほんとにありがとう!ヒッチコックが
亡くなった時は寂しい気持ちになりました。でもたくさん作品を残してくれました。最後まで現役で映画を作って、しかも
これだけの面白さを維持できていたのだからさすがです。この映画も、ヒッチコックらしいユーモアがふんだんで、大好きです。
Posted by sesiria at 2006年09月14日 20:00
>sesiriaさん
コメントで我らがプロフェッサー・オカピーもおっしゃっている通り、まさに”愛すべき遺作”ですね。ヒッチコックは次の作品も考えていたようですが、ファミリー・プロットが遺作となったのは絶対映画の神様の采配だろうなと思います。
Posted by FROST at 2006年09月15日 00:56
ラストのウィンクは,観客への「共犯者のめくばせ」でしょう.
バーバラ・ハリスがダイヤの場所を知っていたのは,超能力ではなく,誘拐犯の会話を聞いていたから.
彼女が注射されて連れて行かれる時,誘拐犯二人組は,ダイヤがシャンデリアにあることを話していました.そのときハリスはまだ意識があったのでしょう.

最後にダイヤを探すとき,ブルース・ダーンは場所を知らないので驚いていましたが,映画を見ている観客には,隠し場所についての驚きはありません.しかし,ハリスが見つけ出したことについては,観客は「あれ?知っていたの?超能力?」と思います.
最後のウィンクは,「超能力じゃなくいつも通りの演技.場所を知ってました」という,ハリスから観客へのめくばせなのです.

Posted by yazaki at 2015年04月15日 18:29
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ファミリー・プロット
Excerpt: ファミリー・プロット ヒッチコックの遺作です。 ++story+++ 女霊媒師ブランチは名家の老婆から、跡継ぎになる妹の息子を捜して欲しいと依頼される。 ブランチは恋人のジョージと..
Weblog: cino
Tracked: 2006-07-14 23:54

映画評「ファミリー・プロット」
Excerpt: ☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 1976年アメリカ映画 監督アルフレッド・ヒッチコック ネタバレあり
Weblog: プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
Tracked: 2006-07-16 00:49

「ファミリープロット」 A・ヒッチコック
Excerpt:  「ファミリープロット」について。  他のヒッチコック作品にくらべても、カットバックが多いように思える。長い会話のシーンでは、人を動かしたり、途中でかならず邪魔する人物を入れて、単調にならないよ..
Weblog: 撮影監督の映画批評(たまに写真や撮影のTIPSも)
Tracked: 2006-07-28 14:12
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