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2006年06月30日

#0077『マーニー』アルフレッド・ヒッチコック監督 1964年アメリカ

Marnie[1].jpg

”MARNIE”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: ウィンストン・グレアム Winston Graham
脚本: ジェイ・プレッソン・アレン Jay Presson Allen
撮影: ロバート・バークス Robert Burks
音楽: バーナード・ハーマン Bernard Herrmann
 
出演: ショーン・コネリー Sean Connery
ティッピー・ヘドレン Tippi Hedren
マーティン・ガベル Martin Gabel
ダイアン・ベイカー Diane Baker
マリエット・ハートレイ Mariette Hartley
ブルース・ダーン Bruce Dern


あらすじ
ラトランド社の社長マーク(ショーン・コネリー)は、事務員としてマーニー(ティッピ・ヘドレン)を雇う。仕事熱心でまじめな彼女だが、実は泥棒の常習犯。マークの会社からもまんまと大金を盗み出すが・・・。


ネタバレです。


いつもながらの勝手なコメント

この作品は妙に胡散臭い。

心に深い傷を負い奇行に走る女と、その女を愛し救おうとする男。この構図は、男女役どころが逆ではあるが、ヒッチコック1945年の作品「白い恐怖」(イングリッド・バーグマン-グレゴリー・ペック)を連想させる。「白い恐怖」は、イングリッド・バーグマンがペックへの愛を貫く堅物の女医を好演し、サスペンスとしてはもちろん、純愛劇としても良くできていた。

に比較して、この作品は・・・・・何か純愛ではない胡散臭いものを感じる。確かに、ショーン・コネリーはティッピ・ヘドレンの盗癖を治そうと奔走し最後には目的を達してハッピーエンドとなる。確かにそうなんだが、なんか純粋じゃないんだなぁ。なぜだろう。

いつもお世話になっているオカピーさんのマーニー評には「原作の主人公は女泥棒フェチ・・・」というコメントがある。なるほどこの胡散臭さ、もしヒッチコックもそれを前提にしていると考えると思い当たる節が多い。社長室で「山猫を飼いならした」と自慢している。「君はつらい子供時代を過ごしたんだね」といたわりながら妙にうれしそうだ。そもそも、彼女が会計士事務所から金を盗んだ犯人だと知っていて雇うのも不自然だし、結婚もあまりにも強引だ。

主人公マークは自分の趣味的(性的?)欲求を満足させるために行動しているのだ。自分の手に落ちた女泥棒を”自分のものにするプロセス”を楽しんでいたのだ。彼女の犯罪を押さえ、自分と結婚させ、金を使い、人を使い、彼女の過去を調べ上げる偏執的な行動を自分のために楽しんでいたのだ。ヒッチコックらしい実にワイアードな物語である。

しかし、この物語、そのワイアードさにふさわしい結末に収束していないのではないか?確かに、上に述べたような胡散臭さをぷんぷん放つ撒き餌が仕込まれているのだが、撒き餌に釣られて胡散臭いラストを期待して行ってみると、あれれ?どこかで純愛ものの素敵なエンディングにすりかわっているではないか。なんだこりゃ。

そういう肩透かし感は、ショーン・コネリーの演技からも感じられる。この時期、天下の007シリーズはすでにスタートしており、ドイツの名優ゲルト・フレーべを配したヒット作”ゴールド・フィンガー”が公開されたのが同じ1964年である。当然ショーン・コネリーは全身からヒーロー・フェロモンをこれでもかというくらい発散させていたであろうし、なにより奴は二枚目だ。昔日の映画界で、二枚目俳優に汚れ役をやらせるという挑戦は、「断崖」(1941年)で誰あろうヒッチコック本人がトライし、やはりうまくいかなかった。

二枚目ヒーローで世を魅了するコネリーは、やはり女一人をいじくるプロセスに喜びを感じるようなオタク社長を演じることは出来ず、話が本筋をそれて純愛物語になるほどにその演技力を発揮するという皮肉な展開となった。

胡散臭さのにおいだけがあって結末につながらないストーリー展開と、土俵の外で演技力を発揮するコネリーが主な原因となって、「マーニー」は惜しくもここ数年絶好調であったヒッチコック監督の飛行高度を若干下げることになってしまった。ということで、おすすめ度は★★★★☆




マーニー
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posted by FROST at 01:16| 埼玉 🌁| Comment(2) | TrackBack(2) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TB致しました。
<女泥棒フェチ>は本文でも自身のブログでも触れていないんですよね。調べてみたら、カカトさんのブログでの発言でした。うーん、本文に書いておくべきであったか。
最後はヒッチコックが作りたかったものではありませんし、コネリー故に誘導された結末というFROSTさんのご意見は恐らく正しいでしょうね。役者が話を規定するというのはヒッチコックで思い知りました。今ならスターシステムがないので思うように出来たでしょうに。
Posted by オカピー at 2006年06月30日 01:48
オカピーさん
勝手に引用してすみません^^;
やっぱり、こう考えると結構全部しっくりきますよね。ヒッチコックほどの巨匠でも好きなように役者を選ぶわけには行かないというのは、現実ってつらいですねぇ
Posted by FROST at 2006年07月01日 21:48
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映画評「マーニー」
Excerpt: ☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1964年アメリカ映画 監督アルフレッド・ヒッチコック ネタバレあり
Weblog: プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
Tracked: 2006-06-30 01:39

「マーニー」から小津のローポジション
Excerpt:  「マーニー」について。  マーニー(ティッピ・へドレン)の登場のさせ方は、「三十九夜」と同じく、最も効果的だと思われるその時まで顔を見せないという引き延ばしである。  ホームを歩くマーニーが..
Weblog: 撮影監督の映画批評(たまに写真や撮影のTIPSも)
Tracked: 2006-08-04 03:10
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