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2006年06月27日

#0076『鳥』アルフレッド・ヒッチコック監督 1963年アメリカ

The Birds.jpg
”The Birds"



監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: ダフネ・デュ・モーリア Daphne Du Maurier
脚本: エヴァン・ハンター Evan Hunter
撮影: ロバート・バークス Robert Burks
音楽: バーナード・ハーマン Bernard Herrmann
 
出演: ティッピー・ヘドレン Tippi Hedren
ロッド・テイラー Rod Taylor
スザンヌ・プレシェット Suzanne Pleshette
ジェシカ・タンディ Jessica Tandy
ヴェロニカ・カートライト Veronica Cartwright
ドリーン・ラング
エリザベス・ウィルソン Elizabeth Wilson


あらすじ
ペットショップでミッチ(ロッド・テイラー)と出会ったメラニー(ティッピ・ヘドレン)は、自信満々のミッチにちょっとしたいたずらを仕掛けるために彼の住む海辺の町を訪れる。そこでメラニーは突然一羽のかもめに襲われる。


実に勝手な思い込みの感想
やっぱりそうだった。 この映画の”居心地の悪さ”は天下一品なのだ。

鳥が人間を襲撃する。 その原因は全くわからない。 人間は鳥の襲撃にどう対応すべきなのかも示されない。 知恵を集めてみても、何の解決にもならず事態は収拾しない。 ただ、人間は鳥を怒らせないように、そーっと逃げ出すだけである。毛ほどもぶれない徹底振りがまったくすばらしい。 この作品にはBGMすらないからね。

後の、パニック映画やホラー映画では、こうはいかないのだ。 何も示されない居心地の悪さに、どうしても耐え切れないのである。 だから、少しでも居心地良くしようといろいろなことをする。公害だの核汚染だのという子供だましの理由付けをして見たり( 「人間の身勝手な行いに対する自然の復讐なのだ」なんてね。)、 敵の中に人間に味方する都合のいいキャラを設定してみたり(ゾンビ3作目に出てくる、”人間を助けるゾンビ”の存在理由はどこにあるのだぁ!)、 核爆弾などで一気に安易な解決を図ってみたり、すべて、理不尽な状況を少しでも居心地よくするためのくだらない小細工なのである。こうした小細工を弄するほどにそのパニックやホラーは、ご都合主義の安っぽいものになってしまうのだ。

最高の叡智たる人類を襲う未曾有の恐怖であるはずなのに、監督や脚本家が小賢しい知恵を絞るほどに、彼らの手の中に納まるチープな作り事になってしまう。そして、それがチープな作り事であることは必ず観客に透けて見えてしまう。悪いことに最近の映画はそれをリアルに見せるための技術だけは格段の進歩を遂げているため、結果として実に壮大な猿芝居を見せられることになるのだ。悪夢だね、これは。

「鳥」では、何も説明されず、なにも解決しない。 すばらしい。主人公たちに救いはない。 当然、見ている我々にも救いはない。理由も決着も何も示されないからこそ、見ているこちらの頭の中には無限のイメージが膨らんでいく。そのイメージは、膨らんで渦巻いて、 結局どこにも行き場がないまま取り残される。 ああ、居心地悪いなぁ。 最高だけど。

ヒッチコックがこの映画に関して「自然は復讐する」と言ったという話をある評論本で見かけた。本当なのかしらん? もし本当に言ったとしたら、きっとインタビューがめんどくさかったりしていい加減なことを言ったに違いない。さすがヒッチコック。ブラックだ。 もし、本当にそれがヒッチコックの意図だったとしたら、、、 文字通りの勝手な思い入れと勘違いでごめんなさい・笑

ちなみに、その後のパニック/ホラー映画で、この境地に迫ったのは「ゾンビ」くらい? ラストシーン、ほとんど燃料の残っていないヘリに乗って飛び去っていく主人公の姿。この映画のラストと通じるものがあったよね。

おすすめ度
★★★★★ に決まってます。




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posted by FROST at 19:25| 埼玉 ☁| Comment(12) | TrackBack(16) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。
ちょっと古い記事で映画の内容にはあまり触れてないですが、TBいたしました。

レストランに避難した人達が「メラニー(ティッピー・ヘドレン)が鳥篭を持ってやって来てから変な事が起こり始めた。」なんて言い出すシーンがありましたよね。映画の中でも人間は理由付けを求めてたなぁと思い出しました。

学校のグラウンドでスザンヌ・プレシェットを待ってるティッピー・ヘドレン。後ろにはジャングルジム。誰も居ないジャングルジムにカラスが一羽飛んできて留まる。ヘドレンが煙草に火をつける。煙草に火をつける時にカメラはヘドレンだけを写す。火がついた後、カメラが切り替わって再び後ろのジャングルジムが写ると、そこには・・・。

戦慄の一瞬でした。
Posted by 十瑠 at 2006年06月28日 09:15
小学生の頃TVで観たのが最初でしたが、観た後、普通に飛んでいる鳩やカラスが怖くて、奴らがいる場所は小走りして通り抜けていました。

仰るとおり、鳥が何故人を襲撃するのかわからなくて、それがまた恐怖感をあおるんですよね。綺麗にアップにしたメラニーの髪が、バサバサに乱れていくところも、妙に怖かったです。
やっぱり満点ですよね。
Posted by shake at 2006年06月28日 09:34
この作品は『サイコ』に次いで怖い作品ですね。
しかし、鳥の大群に襲われながらも「ラブ・バード」(でしたっけ?)を連れて逃げる少女がいるってのは、ヒッチコック一流のブラックでしたね。
Posted by オショーネシー at 2006年06月28日 16:13
FROSTさんのコメントに戦慄走る!
>後の、パニック映画やホラー映画では、こうはいかないのだ。

私が一般のHPを立ち上げた時の最初に書いたコラムとこの部分の内容が表現こそ違え、主旨が全く同じなのです。
そう、偉そうに<公害>だの<環境破壊>だの<人類の驕り>だの、才能のない脚本家・作家に限ってそういう問題定義をして、却って作品のレベルを下げてしまう。馬鹿ですよねえ。小学生くらいまでなら納得するかもしれないですけどね。
気分が良いところで、また。

最後になってしまいましたが、TBとコメント有難うございました。
Posted by オカピー at 2006年06月28日 17:23
十瑠さん、どうもコメントありがとうございます。
ジャングルジム・・3回見ましたよ、今回。息が止まるくらい怖いですよね。直接恐怖シーンを見せることも効果音もなしにこれだけ怖がらせるというのは、他では類を見ないですね。

shakeさん、こんばんわ^^
今回珍しく女優さんのことを書きませんでしたが、”鳥”のティッピ・ヘドレンは良いです。ちょっと上向きでいたずらっぽい目がいかにもお嬢様風。そのメラニーが、髪ふり乱し、最後には表情を失ってしまう・・。ああ、恐ろしや。事態の経過をこれほど見事に見せられるともう何も言えなくなってしまいますねぇ(散々しゃべってるけど・・)

>オショーネシーさん、いつもどうもです。
”サイコ”とは全く別種の映画ながら、おっしゃるとおり双璧ですよね。この頃、きっとヒッチコックは「俺のキャリアの集大成してやる」なんて考えてたんじゃないでしょうか。さまざまなスタイルの名作の連発は見事としかいいようがないです。

>オカピーさん
おっ!シンクロしました?! やったー、プロフェッサーの境地にちょっと達したかも(んなわきゃない・笑)
そのとおりだと思いますよ、才能のない脚本家ほど大それたこと書きますね。「巨匠=難しいことを書ける人」という方程式でもあるんでしょうか。ぜひ、この作品で学んでいただきたいです^^
Posted by FROST at 2006年06月29日 02:03
こんにちは。
私の住んでいるところでは、そろそろウニが水揚げされるのですが、その初日に海へ行くとリアルな「鳥」の光景を見る事ができます。
カラスってかしこいなぁと感心しつつも、あまりにたくさんいるとやっぱりゾッとしてしまいます。
Posted by カカト at 2006年06月29日 17:21
カカトさん
ブロンドのヅラがあれば、ティッピ・ヘドレンごっこができますね・・・・失礼。
ここのところ、カラスの群れ(といっても5-6羽)を見るとyとっと距離をとってしまいます。

そういえば、昨日カカトさんのところにコメント入れたんですが入らなかったみたいです。もう一回入れておきます。
Posted by FROST at 2006年06月29日 18:56
リアル鳥ごっこ、おもしろそうですね(^^)
実際にやったら「あそこの嫁はおかしい」と、1日で村中のうわさになると思いますが・・。

コメント入っていましたよ〜。更新したら出てきました。
最近のライブドアブログは絶不調です。
Posted by カカト at 2006年06月30日 16:10
カカトさん
入ってましたか、良かった。 TBも入れておきました~~
Posted by FROST at 2006年07月01日 21:43
いやー本当にこの映画には魅せられました。小2の時初めて見ましたが、怖かった〜〜〜けれど美しかった。
トリュフォーも「トレボー!」と言ったらしいが、まさにそう。
鳥の襲撃が理由不明なのに、不満を覚えなかった。ジャングルジムの描写は素晴らしいです。
Posted by SESIRA at 2006年09月08日 22:25
>SESIRAさん
掛け値なしの名作ですね。”怖い映画”というのはどういうものなのか少しわかったような気がした作品です。今回リメイクの話があるようですが・・・・見たくないわ。
Posted by FROST at 2006年09月10日 19:43
初めまして。
この映画では鳥に蹂躙され命を落とす人々の描写も痛いですけど、逃げ込んだレストランでヒロインが地元の奥さんに事件を起こした元凶であるかのように罵倒される場面が一番悲痛ですね。罵倒されたヒロインは奥さんを平手打ちしますが、私だって彼女と同じ立場だったらそうするでしょう。自分だって被害者なんですから・・・。
責任転嫁、八つ当たり、部外者に排他的な村社会では特に多いと思いますが、そういう態度にこそ卑屈にならず毅然と対処する必要がありますね。
Posted by A-chan at 2010年12月03日 23:33
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Excerpt: (1963/アルフレッド・ヒッチコック監督/ティッピー・ヘドレン、ロッド・テーラー、スザンヌ・プレシェット、ジェシカ・タンディ、ヴェロニカ・カートライト)  あまりにも有名で解説など必要ない作品です..
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Tracked: 2006-06-28 08:55

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Excerpt: ☆☆☆☆☆(10点/10点満点中) 1963年アメリカ映画 監督アルフレッド・ヒッチコック ネタバレあり
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Tracked: 2006-06-28 16:54

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