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2006年03月17日

#0069『モロッコ』ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督 1930年アメリカ

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”MOROCCO”

監督:ジョセフ・フォン・スタンバーグ
原作:ベノ・ヴィグニー
脚本:ジュールス・ファースマン
撮影:リー・ガームス 
出演:
ゲイリー・クーパー
アドルフ・マンジュー
マレーネ・ディートリッヒ
ウルリッヒ・ハウプト
ジュリエット・コンプトン
フランシス・マクドナルド
アルバート・コンティ


あらすじ
モロッコに流れ着いたクラブ歌手のアミー(マレーネ・ディートリッヒ)は、外人部隊の色男トム(ゲイリー・クーパー)と出会い恋に落ちるが、彼は事件を起こし前線に送られてしまう。一途に彼女を愛するフランス紳士ベシスの求婚を受け入れ孤独を癒すアミーのもとに、トムが戦闘で重傷を負ったという知らせが届く。

みどころ
ドイツから米国に招かれ、これがハリウッドデビューのマレーネ・ディートリッヒが主演。そのお相手が西部劇の超二枚目スター、ゲイリー・クーパー。とくるともうこの二人以上のみどころは皆無。ひたすら美男美女のメロドラマに酔いつぶれるのがこの作品の正しい見方でありましょう。

監督はマレーネ・ディートリヒのためにそのキャリアを捧げたといってもいいジョセフ・フォン・スタンバーグ。ディートリヒの美しさはいやというほど見せてくれます。

実際、スタンバーグ監督はディートリヒと別れてしまったあと50年ころはもうもぬけの殻、ハリウッドでも過去の人扱いだったそうで、それほどディートリヒに懸けていたんだと思うと作品を見る眼も違ってきます。

マレーネ・ディートリヒは”間諜X27(1931)”でレビューしていますが、30歳前後のこの時期は実にすばらしい。しかし、よくみるとディートリヒの表情というのは、微笑み/無表情のほとんど二つしかないですね。

マレーネ・ディートリヒとヴィヴィアン・リーは、私の中でかなり好きな女優さんですが、喜怒哀楽のすべてにわたって感情表現の職人のようだったヴィヴィアン・リーとは対照的(ヴィヴィアン・リーは舞台の人だからというのもありますけどね)

なぜ、これだけ表情のバリエーションが少ないディートリヒが魅力的なのだろうと改めて見ていたのですが、ああ、なるほどと気づいたことがひとつ。

有名なクーパーが鏡に口紅で書いた別れのメッセージ(I Changed my mind...)。突然彼が消えてしまった後、翌朝彼が前線へと向かうところにベシスと一緒にディートリヒが現れ、特に取り乱すこともなくトムの出征を見送ります。

肩越しに振り向いて兵士の行列を見送るディートリヒの微笑顔にも余裕ありげなので、心に深手も負っていないのかなと思っていると、その後クラブの楽屋でディートリヒは酒びたりになってしまっているらしい。

ベシスが訪れると、また例の微笑み。なんだ?意外と落ち着いているな。しかし、鏡台にむかうディートリヒを追いかけてカメラが鏡を映し出すと、そこにはまだ消されることなく例のトムのメッセージが。そして、微笑んでいたディートリッヒがいきなり持っていた酒をそのメッセージにたたきつけます。

このあたりの激変ぶり、これが彼女の魅力なんですよね。普段あんまり表情に出さないだけに、「ああ、実は心の中ではこんなにも傷ついていたのか・・」とまずはハッと気付かされます。そして「なんて一途な女なんだろ」としみじみ思ってしまうと、ほら、あの美貌ですから、もうディートリッヒのとりこになってしまうのです。笑

そういうことなので彼女の感情表現の少なさはマイナスになっていませんね。むしろ、ほんのたまに見せる感情の吐露とのギャップが際立って閃光のような魅力を発散します。有名なラストシーンも同じような構造だなぁと改めて見惚れました。

マレーネ・ディートリッヒ命のスタンバーグ監督が彼女の特質をうまく活かしたものなのか、それとも計算しつくされた演技なのか、私は知りませんが見事な演出ですなぁ。

個人的には
さて、ゲイリー・クーパー追っかけ中ですが、この”モロッコ”を観るのはまずいなと思ったんですよ。以前”間諜X27”でディートリッヒにはかなり惹かれていたので、きっとクーパーのことはどうでも良くなってディートリッヒばっかりみちゃうだろうなぁと・笑

結果、その通りになてしまったのですが、クーパーも良かったですよ。前回の”闘ふ隊商”では、クーパーのクローズアップがあまりなかったこともあり、今ひとつ印象が定まらなかったのですが、今回はディートリッヒを一途に惚れさせる女好きでありながら一本筋の通った兵士トム・ブラウンがぴったりはまっていて華やかです。

ゲイリー・クーパーは実生活でもかなりの色男ぶりだったそうですが、クラブでディートリッヒからこっそり受け取った鍵を見ながらひそかに笑う、その笑顔辺りを見ると、こりゃたまらんでしょうね、女性には。

この作品から西部劇にとどまらずハリウッドを代表する二枚目としてクーパー人気に火がついたということですが、十分うなづける好演でした。

しかし、しつこいようですが52年の”真昼の決闘”で見せたクーパーの苦渋に満ちた表情。あれが心に残ってしかたがないのですよ。

あの、初老のクーパーと30年代の色男全開のクーパーの間のギャップが大きすぎて、今ひとつぴんとこないので、その中間40年代のゲイリー・クーパーを一本観てみたいと思います。

ということで、次回はフランク・キャプラ監督でバーバラ・スタンウィックと共演した”群集(1941)”

(ディートリッヒのDVDが家にあったらそっちに流れていくところだった・・^^;)

おすすめ度
★★★★☆




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posted by FROST at 15:25| 埼玉 ☔| Comment(4) | TrackBack(1) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。TBさせて下さい。オールド作品が沢山紹介されていて、これから観たい作品のとても参考になりました。「モロッコ」はクーパーとディートリッヒのファンになったきっかけの作品です。2人ともとても美しい!「真昼の決闘」の渋いクーパーもいいですが、若い頃はすごく美形ですね^^)。また遊びに来ます。どうぞよろしくお願い致します。
Posted by ぶーすか at 2006年09月14日 10:31
おお!ぶーすかさん、こんばんは。お名前はオカピーさんの所などでお見かけしてました。こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。若い頃のクーパーはホント美男子ですよね。絵に描いたようだとはまさに彼のことでしょう。ディートリッヒの胸を借りるという位置づけながら、対等に張り合ってるところがすごいと思います。ぶーすかさんのところにもおじゃましますね。
Posted by FROST at 2006年09月15日 01:00
セリフのやりとりがいいですね!主役の二人ももちろんとてもいいのですが・・・。
アミーの無表情だった顔が、トムの心を
たまたま知って、サッと変わるところが
いいですね。アドルフ・マンジュー扮する紳士も素敵です。アミーが見返りに何を望むのかと聞くと、「貴女の笑顔です」と言う。ややあって、「もう残ってないわ」うーん粋です。
ラストもいいですね。太鼓の音が次第に消えて行き、あとは風の音だけがいつまでも
聞えている・・・余韻のある素晴らしいラストでした。こんなに素敵な映画は
最近では、めったにないですねえ。
Posted by sesiria at 2006年09月15日 18:47
>sesiriaさん、こんばんは。ああ、なるほど、そういわれれば。もう、ディートリッヒ&クーパーにくらくらでほかの事に眼が行ってませんでしたが、アドルフ・マンジューも良かったし、台詞ももちろん。何回も見直して見ないといけない映画ですね。
Posted by FROST at 2006年09月15日 23:08
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「モロッコ」「つばさ」
Excerpt: ●モロッコ ★★★★ 【地上波】男装の麗人ディートリッヒの美脚マレーネ・ディートリッヒ(めちゃ美しい!)とゲーリー・クーパー(めちゃかっこいい!)のノスタルジックなロマンスものの名作。ディートリッヒ..
Weblog: ぶーすかヘッドルーム・ブログ版
Tracked: 2006-09-14 10:19
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