
監督:アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
製作:シドニー・バーンスタイン
アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作:ヘレン・シンプソン
脚本:ジェームズ・ブリディ James Bridie
潤色:ヒューム・クローニン Hume Cronyn
撮影:ジャック・カーディフ Jack Cardiff
ポール・ビーソン Paul Beeson
イアン・クレイグ Ian Craig
出演:イングリッド・バーグマン Ingrid Bergman
ジョセフ・コットン Joseph Cotten
マイケル・ワイルディング Michael Wilding
マーガレット・レイトン Margaret Leighton
完全ネタバレしてます。ご注意ください。
あらすじ
オーストラリアを訪れたイギリス総督の甥アデア(マイケル・ワイルディング)は、街の大立者フラスキー(ジョセフ・コットン)と知り合った。変わり者で鳴るフラスキーの家に招かれたアデアは、彼の妻ヘンリエッタ(イングリッド・バーグマン)に出会うが、彼女は夫婦仲がうまくいかないことから酒におぼれ精神的におかしくなってしまっている。ヘンリエッタが姉の友人であることを知ったアデアは、彼女を立ち直らせようと献身的に努力する。
みどころ
19世紀のオーストラリアを舞台とした半時代劇(=コスチュームドラマ)。ヒッチコック監督作品でコスチューム系は初めて見ましたね。これ以降は二度と作らなかったと語っていますが、イギリス時代とかにはあったんでしょうか。
当代随一のイングリッド・バーグマン主演なのにヒッチコックの作品中最低の興行成績?興したばかりの独立プロダクションが経営危機? なぜそんなことになったのだろうと興味津々で鑑賞しました。
よほどの凡作なのかと思っていましたがドラマとしては、意外と良くできてると思います。
貴族の令嬢(バーグマン)と馬丁(コットン)がすべてのしがらみを振り捨てて駆け落ちし、苦難を共に乗り越えて経済的な成功をつかむ。それでもなおかつ埋めきれない溝として身分の相違が夫婦を苦しめる。その溝に漬け込む悪人やなんかが波乱を起こしつつも、最後には夫婦の絆を取り戻すという、夫婦再生のロマンスとしては結構いいんですよ。アル中風情から立派なレディに立ち直る様変わりを見せるイングリッド・バーグマンもかなり見応えがあります。
しかし、ヒッチコックに期待するものとは違ったということなんでしょうね。本人も言っている通り、サスペンスでもミステリでもないですから。夫婦愛のロマンスです。事前期待と違うということです。しかも、ロマンスならそれに徹すれば良かったかもしれません(ヒッチコックにはありえと思いますが)が、わずかなサスペンスの小道具として登場する”首”などが、唐突でものすごく安っぽく見えてしまうのです。結局は、”ヒッチコックブランド”を売り間違えたといことですね。
バーグマン年表にも書きましたが、撮影開始時に「バーグマンさえ獲得できればすべてうまくいく」とヒッチコックは思い込んでいたそうで、円熟期のヒッチコックほどの監督をしてもこれほどミスをしかねないのだという意味で一見の価値がある作品です。
個人的には
印象的だったのは、フラスキーの屋敷の造形。素晴らしいです。夜の全体が青く浮かび上がる色合いも美しいのですが、そこを長めのカットでなめるように撮影していくところが、屋敷の不気味さをゾクゾク感じさせます(なのにサスペンスに結びつかないところがこれがまた・・・)。
もうひとつ、この作品に登場する女中ミリーとレベッカに登場するダンヴァース夫人はどちらがキャラとしてインパクトがあるかという話があるようですが、個人的には文句なくダンヴァース夫人に軍配を上げます。死人に忠誠を誓っているようなアブノーマルな女に、主人をたぶらかそうとしている程度の小娘が勝てるわけも無し。
おすすめ度
★★★☆☆
次回はいよいよ50年代黄金時代にはいります。裏窓。


よろしくお願いします
今度、借りてみます♪
「裏窓」楽しみです。
はじめまして^^。ロミオとジュリエットのときは確か18歳くらいですよね。出演作品は、ロミオ〜と暗闇にベルが鳴るくらいしか記憶にないんですが、印象に残る女優さんですよね。
>かよちーのさん
事前期待がえらく低かっただけに、それなりに楽しめたって感じですかね。裏窓もその次の泥棒成金ももう観終わっているのに記事書く時間がないぞ・・・