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2006年01月30日

#0051『生きる』黒澤明監督 1952年日本

ikiru.jpg監督: 黒澤明 Kurosawa Akira
製作: 本木荘二郎
脚本: 黒澤明 Kurosawa Akira
    橋本忍
    小国英雄
撮影: 中井朝一
美術: 松山崇
編集: 岩下広一
音楽: 早坂文雄
 
出演: 志村喬 渡辺勘治
    日守新一 市民課課長・木村
    田中春男 市民課課長・坂井
    千秋実 市民課課長・野口
    小田切みき 小田切とよ


あらすじ
市役所の市民課長を務める渡辺勘治は胃癌であることを知る。余命半年の人生を振り返り、自分の生きてきた証と言えるものが何もないことに気付き愕然とする渡辺。生きることの意味を求めて歓楽街を彷徨うが救いは得られない。そんな時に町で彼の部下とよに出会う。彼女は何もしない役所の仕事に耐えられず職を変えると言う。渡辺は彼女を通して生きることの意味を見つけようとするが・・。

みどころ
題名通り”生きる”ということがなんなのか、否応なく考えさせられます。助役が葬式で手柄を自分のものにしようと一席ぶつ場面がありますが、渡辺を慕う町の住人達が無言で焼香し涙を流す姿を見て、取り巻きともども絶句しいたたまれなくなって退散してしまいます。

どんなに体裁を取り繕って自分勝手な理屈を並べてみても、何もしない人間は真剣に取り組んでいる人達の輪の中には入れないのです。何かを成し遂げようとしている人たちには彼らの間でしか通じない波動のようなものがありますから、おなじ波動を持たないものとは心を一にすることができません。

そのことに気がついた時に誰もが「よし自分も」と思うものの、ほとんどがいつしか日常生活に埋没していくことになります。

これまでの人生で、どちらの立場にも立つこともありました。輪の中にいる時の充実感も輪の外にいるときのむなしい気持ちも、なにかこう覚えのあるあの気持ちがこの映画から染み出すようににじみ出てくるのを感じます。そういう点で黒澤監督が根源的な人間らしさのようなものをこれだけ見事に描き出していることに感動しました。

個人的には・・・
日本のオールドムービーはほとんど観なかったのですが、最近小津監督の作品をいくつか観ています。で、どうしても比べてしまうのです。小津作品が非常に洗練された形で繊細に人間心理を映し出すのに対して、黒澤作品はなんというのか”生”に近い人間臭さががつーんとぶつかってくるような感じ。”東京物語”の笠智衆と”生きる”の志村喬ですかね。観ているほうも受け止める体力がいるのですが、これが結構心地よいんですよね。黒澤現代劇(時代劇も)もっと観てみようと思います。

今回のレビューは妙に力が入ってしまいました・笑

おすすめ度
やっぱり、★★★★★

さて、次ですがまたヒッチコックに戻ります。1942年の”逃走迷路”かなり面白いようです^^




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志村喬 黒澤明 小田切みき

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posted by FROST at 23:21| 埼玉 ☁| Comment(7) | TrackBack(3) | OLD:日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
●トム・ハンクスでリメイク中だけど・・・やはりこれが一番です。
人生に失望した時観るのには最適です。
ホリエモンもこれを観ておけば・・・。
Posted by moviemania1999 at 2006年01月31日 19:55
親友にこれはいいよと言われ観ました〜。
黒澤映画って自分の中では派手なイメージがありましたけど、これはしみじみいいですよねえ。
Posted by かよちーの at 2006年01月31日 20:39
>moviemania1999さん
ほー、リメイクされるんですか。新しい映画はあまり観ないので知りませんでした。興味津々ですね。

>かよちーのさん
しみじみしつつも妙に迫力があるんですよね。ちょっとはまりそうな感じ
Posted by FROST at 2006年02月01日 22:03
志村喬、いいですねえ。好きです。
必ずしも好人物ばかり演じる訳ではないけれど、あったかーい人という気がします。
この映画も懇親の作。一点一画を揺るがせにしない黒澤明の名作ですね。やっぱり泣けます。
Posted by sesiria at 2006年09月12日 19:00
>sesiriaさん
たまたま今日も志村喬観ました(日活アクション「帰らざる波止場」レビューはおいおい。。)。執念深くて策に長けた老刑事役でしたが、本当にこの方は演技の奥が深いですよね。素晴らしいです。
Posted by FROST at 2006年09月13日 01:35
11月28日小田切みきさんが亡くなりました。娘さんはチャコちゃんを演じた四方晴美さんということを訃報で知りました。
この映画の終わりは、役所という組織は変わらないという悲観的な見方と、若い部下が影響を受けてそれを変えていこうとする楽観的な見方と、どちらも考えられるようにできていますね。
Posted by まいじょ at 2006年12月10日 20:03
まいじょさん、TBありがとうございます。小田切みきさん亡くなったんですか、庶民的な笑顔が印象的でした。四方晴美さんの母親とはまたびっくり。
”変わるぞ”っと思っても、日常に流されてもとの波動に戻っていくんだなぁと、この年になると妙に納得できる部分も無きにしも非ず。それでもちょっとずつでも変えていかないといかんですな。頑張る気にさせてくれる映画です。
Posted by FROST at 2006年12月11日 00:41
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これで泣けるの??「生きる」
Excerpt: いわずとしれた黒沢明監督の大名作「生きる」。 アマゾンのレビューを見てものきなみ「泣ける」とか「感動作」といった文字が躍っている。 でも。 これって本当に「泣ける」のか? 感動作なのか..
Weblog: マンガ(DVD)ソムリエの今晩の一冊
Tracked: 2006-02-11 04:34

生きる
Excerpt: 今日は黒澤明監督の「生きる」を見ました。。。。。黒澤監督うまいですね〜!ビックリ!。。。。。当たり前なんですけど。(笑)30年間役所勤めをする市民課長の渡辺は胃ガンであることを知り絶望するが・・・・・..
Weblog: シネマうさぎ
Tracked: 2006-03-25 02:59

生きる
Excerpt:  たらい回し、判で押したような仕事、前例のないことはやろうとしない……、「お役所」の怠慢な仕事ぶりを描きながら、そんな組織であっても個人のやる気によってやればできるのだ、ということを示した作品です。 ..
Weblog: お楽しみはこれから!
Tracked: 2006-12-10 20:03
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