”Secret Agent"監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: サマセット・モーム Somerset Maugham
脚本: チャールズ・ベネット Charles Bennett
撮影: バーナード・ノールズ Bernard Knowles
音楽: ルイス・レヴィ Louis Levy
出演: ジョン・ギールグッド John Gielgud
パーシー・マーモント Percy Marmont
ピーター・ローレ Peter Lorre
マデリーン・キャロル Madeleine Carroll
ロバート・ヤング Robert Young
リリー・パルマー Lilli
第一次大戦下、ドイツとアラブの接近を阻止するため敵のスパイ暗殺指令を受けたブロディ。腕利き保険調査員のアシェンデンとして助手”モンテズマ将軍”とともにスイスに向かうが、ターゲットについての具体的情報は何もない。もう一人の女スパイエルサと合流して調査を続け、何とか探し出したターゲットを登山に連れ出して始末する。ところがこれは人違いであり関係のない民間人を殺してしまったことが判明する。
ヒッチコックがプロのスパイを主人公にするのは結構珍しいですね。大体は、事件にまったく関係のない民間人がちょっとしたきっかけで巻き込まれるパターンですが。
主役のアシェンデンを演じているジョン・ギールグッドは、イギリスで主に舞台を中心に活躍した俳優。”炎のランナー”の校長やってた人ですね。本作のころはまだ30歳そこそこですが絵に描いたような二枚目。このころはすでにシェイクスピア劇で高い評価を得ており、同じ36年には「ハムレット」の名演がありました。
調べてみるとギールグッドは、エミー賞(TV)、グラミー賞(音楽)、アカデミー賞(映画)、トニー賞(演劇・ミュージカル)のすべてを受賞した数少ない俳優でした。プロデューサーや作曲家なども含めて今までに9人しかいない4章受賞で、その中にはオードリー・ヘップバーンやバーブラ・ストライサンド(合計16回受賞!)、ライザ・ミネリ、ウーピー・ゴールドバーグなどの名前が見えますが、純粋に演者として4賞を受賞したのは彼を含めて3名ほどしかいないようです。
4年後にハリウッドに渡ったヒッチコックは、アメリカ社会におけるサスペンス映画の地位の低さに悩まされ、一流の俳優から出演を断られて四苦八苦することになりますが、1930年代のイギリスではすでにかなりの地位を得ていたのでしょうか。若いヒッチコック監督がギールグッドのような舞台の一流役者を起用できたことに感心しました。
そして今回のピーター・ローレは、スパイ助手の怪人モンテズマ将軍。別名”ハゲのメキシコ人”。ショートアフロ(パンチパーマ?)にドーランを塗って変な英語をしゃべります。女と見ると誰でも口説く軽いノリですが、実は暗殺などのダーティな仕事を一手に引き受ける凄腕スパイ。にわかスパイのアシェンデンをリードして任務遂行を助けます。
もともと、芸達者で作品ごとにまったく異なる雰囲気を漂わせるピーター・ローレですが、今回の役柄はひときわ愉快でした。軽くおどけた表情の合間に時々見せる暗殺者の凄みの効いた表情が絶品。
この作品、多少ストーリーの盛り上がり感に欠けるのですが、ギールグッドとローレの名演技に大いに助けられているなと感じました。(ラストシーンのローレの扱いはあんまりだ)
ということで、評価は星4つ★★★★☆(二人の演技に★ひとつ追加して4つ)
次回は、1937年の”第3逃亡者”。”暗殺者の家”の子役ノヴァ・ピルビーム主演。
| 間諜最後の日 | |
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サマセット・モームが原作というところに反応しました。わたしの中ではそんな作家というイメージがなかったので。
私もヒッチコック特集を始めました。当初は順不同でしたが、FROSTさんとは逆に「ファミリー・プロット」から遡ることに致しました。現在「トパーズ」まで来ていますので、是非ご贔屓に。最終的にはデビュー作「快楽の園」まで行きたいのです。
モヤモヤイメージ、この作品に限ってはよくわかりますよ。見た直後でももやもや気味です・笑 モームは確かに意外ですね。短編2本と舞台劇を原作としたらしいです。
>オカピーさん
お、オカピーさんのヒッチコック特集とは期待大ですね。ぜひ観させていただきます。”快楽の園”から”第十七番”までの作品がなかなか手に入らないんですよね。英国劇場DVD-BOXを必死で探索中です
第2作「山鷲」、第16作「ウィーンからのワルツ」は持っていない(従って未見)ように思います。恐らく残りは全て持っているはずです。手に入りにくいものは、輸入でゲットしました。
しかし、「暗殺者の家」以前のものは重要度が低い(「下宿人」を除く)ので、昔書いたものをそのまま載せてしまおうと思っています。