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2005年12月28日

#0039『アンナ・カレニナ』ジュリアン・デュヴィヴィエ監督 1948年イギリス

ANNA KARENINA.jpg”ANNA KARENINA”

監督: ジュリアン・デュヴィヴィエ Julien Duvivier
製作: アレクサンダー・コルダ Alexander Korda
原作: L・N・トルストイ L.N. Tolstoy
脚本: ジャン・アヌイ Jean Anouilh
    ガイ・モーガン Guy Morgan
    ジュリアン・デュヴィヴィエ Julien Duvivier
撮影: アンリ・アルカン Henri Alekan
 
出演: ヴィヴィアン・リー Vivien Leigh
    ラルフ・リチャードソン Ralph Richardson
    キーロン・ムーア Kieron Moore
    サリー・アン・ハウズ Sally Ann Howes
    ニオール・マッギニス Niall MacGinnis
    マーティタ・ハント Martita Hunt


「男の人は、心の中では不倫するような女を軽蔑して、家族とは区別して考えているものよ」

官僚カレーニンの妻アンナは才気あふれる魅力的な女性であるが、仕事一辺倒の夫との中は今ひとつうまくいっていない。モスクワの兄を訪れたアンナは、駅で義理の妹キティの婚約者ヴロンスキー大尉と出会う。ヴロンスキーの必死の求愛は、夫との仲に不満を持つアンナの心を徐々に引き寄せ、ついには家族を捨てて駆け落ちするに至る。幸せをつかんだかに見えたアンナだが、罪の意識と世間の中傷が徐々にアンナを押しつぶしていく・・・。

トルストイ原作のアンナ・カレニナ、7回映画化されているそうです。古くはグレタ・ガルボ(1927年サイレント、1935年トーキー)、新しくはソフィー・マルソー、ショーン・ビーン(1997年)。今回は1948年のジュリアン・デュヴィヴィエがヴィヴィアン・リーを主演に撮った作品です。

ヴィヴィアン・リーは当Blogでは初登場ですが、実はかなり思い入れのある女優です。中学生の頃深夜テレビで放映されていた”哀愁”(マーヴィン・ルロイ監督1940年)をビデオ録画して何回も観ましたね。親に隠れてこっそり観てはラストシーンに感動してよく泣いてたものです。

ということで、オールド・ムーヴィーの原体験はヴィヴィアン・リーにあるといってもいいくらいなのですが、本作のアンナも”哀愁”のマイラにかぶりますねぇ。ともに主人公として同じ結末を迎えるわけですが、徐々に追い詰められていって、もう我が身に救いは何もないのだと悟る瞬間の喪失感というか絶望感というか、ヴィヴィアン・リー以外にこれほどの感情表現ができる女優はいないだろうと思います。

ヴィヴィアン・リーは51年に”欲望という名の電車”で二度目のオスカー(一回目は39年の風と共に去りぬ)を獲得するなど女優として活躍しましたが、私生活においては結核に苦しんだり、熱愛の末結婚したローレンス・オリヴィエとの離婚など波乱も多く、67年に必ずしも幸せではない末期を迎えたようです。本作や”哀愁”で演じた悲劇のヒロインたちと通ずる人生を送ったことに感慨を覚えます。

さて、ヴィヴィアン・リーの演技には一もニもなく大感動なのですが、ストーリーの方は残念ながらかなり中盤が辛いです。アンナがヴロンスキーの愛を受け入れる決心をしてから、ヴェネチアでの駆け落ち生活を経てモスクワに戻ってくるまでの間にさまざまなイベントが起こります。アンナの病気やヴロンスキーのピストル事故(自殺未遂??)、義理の妹の結婚などなど。盛りだくさんなのですがそれぞれのつながりが良くないため観ているほうは若干おいていかれ気味です。このあたりのエピソードを整理して1時間半くらいの作品にしたほうがよっぽどすっきりしてよかったと思いますね。

ジュリアン・デュヴィヴィエは前回の”舞踏会の手帳”に続いて二作目の鑑賞ですが、前回はストーリー作りと演出に大いに満足しました。このあたりに秀でた監督かと思ったのですが、本作ではヴィヴィアン・リーの名演が目立つのみでストーリー面でも、演出面でも今ひとつぴんとくるものがなかったように思えます。物語の前半でアンナの最後を暗示する出来事やセリフがいくつか出てきて、ラストシーンではその暗示がいかにも効いてきます。このあたりはトルストイの原作もさることながら、デュヴィヴィエ監督の冴えなのかなと感じたのは確かですが、全体的にはもうひとがんばりという感じでしょうか。


ということで、評価は星4つ★★★★☆(本来星3つにヴィヴィアン・リーへの思い入れでひとつ追加)


さて次回は、デュヴィヴィエ監督を掘り下げたいのですが、手元に作品ストックがないので手に入り次第鑑賞するということで、ヴィヴィアン・リーを追いかけてみたいと思います。うちにあるのは彼女の二大オスカー作品ですが、うーむ・・・。”風と共に去りぬ”は年末忙しい中4時間もDVD見てると奥さんに追い出されそうだし、、”欲望という名の電車”は正月気分では観たくない映画・・。 ”哀愁”買って帰ることにします。

ということで、次回は実に久々の”哀愁”!

アンナ・カレニナ
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posted by FROST at 13:04| 埼玉 ☀| Comment(5) | TrackBack(0) | OLD:イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
7回も映画化されているのにどれも観たことないです。
勉強になります〜。
これがおすすめですか?
Posted by かよちーの at 2005年12月29日 01:32
原作を読んだ時のあまりの悲しさがショックで映画は観たことがありません(^^)今読み返せば印象はだいぶ違うのかもしれませんが、なにせ長いし、登場人物は複雑で読む気が起きないです・・。
原作のように映画もなかなかアンナは登場しないのでしょうか?
Posted by カカト at 2005年12月29日 15:23
>かよちーのさん
これです。なんたってヴィヴィアン・リーですから。(グレタ・ガルボの見たことないけど・・)

>カカトさん
映画の方も少しもたつくものの悲しいですよ。アンナは始まってすぐに登場しましたね。出ずっぱりです。
Posted by FROST at 2005年12月30日 17:01
私はロシア語学士なので、よろしくです。
映画版は6本見ているはずです。
一番は、グレタ・ガルボのトーキー版。
次はソ連版(但しヒロインの髭に問題あるかも)。勿論原作に一番近く、長大。
次は、ヴィヴィアン・リー版。
最悪は、ガルボのサイレント版。何しろハッピーエンド。トルストイが草葉の陰で泣いています。

この作品は英国で撮った都合もあり、デュヴィヴィエらしさが殆ど発揮できなかった凡作の部類です。仰るように、ヴィヴィアンのおかげで印象は良くなりました。

今年はお世話になりました。来年も宜しくお願い申し上げます。
それでは、良いお年を。
Posted by オカピー at 2005年12月31日 15:35
>オカピーさん
オカピーさん、ロシア方面に詳しかったんですね。なんといってもヴィヴィアンファンですから、それだけで満足(確かに映画としては?ですけど)(笑)
グレタ・ガルボのもぜひ見たいと思います。
本年もぜひよろしくお願いします。
Posted by FROST at 2006年01月03日 22:11
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