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2005年12月08日

#0032『彼岸花』小津安二郎監督 1958年日本

higanbana_1.jpg監督: 小津安二郎
製作: 山内静夫
原作: 里見 とん
脚本: 野田高梧、小津安二郎
撮影: 厚田雄春
美術: 浜田辰雄
衣裳: 長島勇治
編集: 浜村義康
音楽: 斎藤高順
 
出演: 佐分利信 (平山渉)
    田中絹代 (平山清子)
    有馬稲子 (平山節子)
    佐田啓二 (谷口正彦)
    桑野みゆき (平山久子)
    笠智衆  (三上周吉)
    浪花千栄子 (佐々木初)
    山本富士子 (佐々木幸子)



「結局子供には負けるよ。思う通りにはいかないものなんだ」


大手企業の常務取締役を勤める平山(佐分利信)は妻と娘二人の4人家族。適齢期を迎えた娘節子の縁談を心配し相手を探したりしているが、ある日突然、谷口(佐田啓二)という若者が訪ねてきて、節子と結婚したいという。自分の知らないところで娘が恋人を見つけ、結婚の意志を固めていたことが面白くない平山は、頑なに娘の結婚に反対し、挙句の果てに式には出ないと言い出すが・・・。

「週に一本、小津安二郎」。まだまだ続きそうですが、今週は前回の”お茶漬の味”から、佐分利信目当てで”彼岸花”にやってきました。開巻するとカラーだったのでちょっとびっくり(笑)。白黒の小津作品しか観たことが無いので違和感があるなぁと思うのもつかの間、冒頭駅員同志の会話のイントネーションに引き込まれてあっという間に小津ワールドへ。

今回のテーマは、結婚をめぐる父と娘のすれ違い。1958年だと私が生まれる少し前ですが、ちょうど戦前から続く家父長制的価値観の切替り時期だったんですね。結婚に対する父娘の価値観が激突。娘の結婚相手は親が決めるのが当然と考えている父は、いい人がいる気配の無い娘を心配し縁談話を取りまとめつつあります。ちょうど並行して、娘がバンドマンと駆け落ちして同棲したために落ち込んでいる三上(笠智衆)の相談に乗ってもいます。

突然「お嬢さんを下さい」と言われ、「この男で本当に幸せになれるのか」という心配と、「自分の知らないところでこんな男と付き合っているなんて許せん」という父親のプライドで憮然たる面持ちの佐分利信。三上の娘のことも頭を掠めたでしょうね。あんな風に不幸になっちゃうんじゃないかとか(この時点でまだ娘の文子本人に会ってませんから)。

この父の気持ちは良くわかります・・・と言いたいところですが、やっぱり現代とは価値観が違うなぁと言うのが正直な感想。私自身、高校生になる娘がいますが可能な限り娘の結婚を想像してみても”本人がいいならそれでいい”という考えしか浮かびません。まあ、相手が犯罪者かなんかでない限りは娘の結婚に反対するという事態にはなりそうもありません。同じく娘を持つ友人などは、「俺の目の黒いうちはめったな相手に嫁にやらない」などと強がっていますが、それは父としての威厳と言うよりも寂しさが原因と言うのが真相のようです。

higanbana_1.jpgなので、平山の気持ちは同じ父親として理解はできますが、”そこまで反対しなくてもなぁ”と節子の肩を持ってしまいます。実際、本作でも周りはほとんどが節子に味方するのですが、そのためにますます平山は頑なになっていきます(これは良くわかる)。このままじゃ解がないぞという袋小路を豪快に突破してくれるのは姪の幸子(山本富士子)。コロコロと良く笑いながら、怒る平山を手玉に取るエネルギーはさすが関西人(ちなみに関西キャラはセリフが長いですね)。

平山も彼女に対しては、なんのてらいも無く正論をはくところが面白く、「親は子供の幸せについていくべきものなんだ。子供が幸せならそれでいいものなんだ」と実の娘節子に対するのとは正反対のことを言っていたりします。幸子は平山の姪ですが、小津作品ではこの”姪”と言うポジションが物語のキャスティングボードを握っていたりするようですが、近からず遠からずの関係が良いのでしょうか。直接利害が衝突しない分、本音が出せると言うことでしょう。


とにかくこの明るい姪幸子のおかげもあり、なんだかんだと言いながらも徐々に態度を軟化させていく平山の風情がまんざらでもなさそうなところが実に微妙な描写でよかったです。やっぱり父親たるものなんだかんだと言っても本当は娘の幸せを一番に願うものですよ。当然ですよ。ということで、自分の娘が嫁に行くときは笑顔でしっかり送ってやろうと心に誓うのでした(笑)

評価は星4つ★★★★☆(佐田啓二が登場するまではちょこっと退屈)


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posted by FROST at 23:55| 埼玉 ☔| Comment(2) | TrackBack(1) | OLD:日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
FROSTさん、こんにちは。

バンドマンと聞くとなんだか結婚相手としては嫌な感じですが、この映画に出てきた彼は非常に真面目そうでしたよね。
FROSTさんは、娘さんが選んだ相手ならどんな職業でも承諾しますか??
Posted by カカト at 2007年01月17日 15:43
カカトさん、どうも^^。娘の相手はどんな職業でも良いか。犯罪者でなければというのは本音ですね。あと、自分より年上はちょっと困るかなと・笑。でも、私のようなのはあまり一般的ではないようで、かみさんなどは張り合いがないとあきれていますが。
Posted by FROST at 2007年01月17日 21:26
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「彼岸花」
Excerpt: 「彼岸花」 1958年日本 監督 小津安二郎 出演 佐分利信    田中絹代 あらすじ  平山渉は娘、文子には良い縁談をと考えていた・・・と、いう話。
Weblog: 私が観た映画
Tracked: 2007-01-17 15:39
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