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2005年12月04日

#0030『見知らぬ乗客』アルフレッド・ヒッチコック監督 1951年アメリカ

Strangers_on_a_train_1.jpg”STRANGERS ON A TRAIN”

監督: アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock
原作: パトリシア・ハイスミス Patricia Highsmith
脚本: レイモンド・チャンドラー Raymond Chandler
    チェンツイ・オルモンド Czenzi Ormonde
撮影: ロバート・バークス Robert Burks
音楽: ディミトリ・ティオムキン Dimitri Tiomkin
 
出演: ファーリー・グレンジャー Farley Granger(ガイ)
    ロバート・ウォーカー Robert Walker(ブルーノ)
    ルース・ローマン Ruth Roman(アン)
    レオ・G・キャロル Leo G. Carroll(モートン上院議員)
    パトリシア・ヒッチコック Patricia Hitchcock(バーバラ)
    ローラ・エリオット Laura Elliot(ミリアム)
    マリオン・ローン
    ジョナサン・ヘイル Jonathan Hale




ニューヨークへ向かう列車の中で出会ったガイ・ヘインズとブルーノ・アントニー。テニス・プレイヤーのガイは身持ちの悪い妻と別れて上院議員の娘アンと再婚しようとしているがうまくいかない。そんなガイのゴシップを知っていたブルーノは列車の中でガイに交換殺人を提案する。冗談だと思い軽くあしらって列車を降りたガイだが、ブルーノは本当にガイの妻を殺害し、ガイに約束の履行を要求する・・・。

1946年の”汚名”以降、4作品(”バラダイン夫人”、”ロープ”、”山羊座のもとで”、”舞台恐怖症”で興行的に失敗したヒッチコックの起死回生の一作。かなり周到に製作されたようで、出だしとラストシーンが異なる二つのバージョンを用意してアメリカとイギリスで公開しています。TUTAYAでレンタルしてきたDVDには両バージョンとも収録されており、アメリカ版のみに収録された有名な「聖職者のオチ」も見ることができました。

一方的に交換殺人を実行する狂った男と何とか逃れたい主人公。ストーリーが秀逸な作品ですが、原作はパトリシア・ハイスミス。脚本はレイモンド・チャンドラー(”三つ数えろ”)とチェンツイ・オルモンドの二人がクレジットされていますが、実際はチャンドラーとヒッチコックの協働がうまくいかず途中からオルモンドに交代したようです。実は、最初ヒッチコックは脚本をダシール・ハメット(”マルタの鷹”)に依頼しようとしたらしいのですが、ハメットの秘書のスケジュールミスにより実現しなかったというエピソードが残っています。ミステリファンには実に豪華なシナリオ陣でため息が出るばかりです。

なんといっても不気味でかつ印象的なのは、狂人ブルーノを演じたロバート・ウォーカーの怪演。ガイの妻を殺害した後、約束の履行を迫って徐々にガイの人間関係の中に入り込んでくる様が不気味な挙動を通して実に恐ろしく描かれています。有名なテニス観客席で一人だけボールを追わずじっとガイを見つめているブルーノの姿。久しぶりに見ましたがやっぱり怖いです。(下記リンクの予告編で見ることができます)

狂人ブルーノの目元が妙に優しげというか、涼しげというか、そこが異常な行動とのアンバランスで不気味さを増しているように思えるのですが、”澄んだ瞳の狂人”って他のヒッチコック作品にもいたような気がして思い出せないんですよね。”白い恐怖”のグレゴリー・ペック? うーん・・。ちょっと今まで見てきたヒッチコック映画で思い当たるものを見返してみようかと思います。

このブルーノ役のロバート・ウォーカーが妙に気になって、調べてみたのですがジェニファー・ジョーンズ(終着駅、慕情など)の元夫だったのですね。ジェニファーが有名になるにつれて夫婦仲はうまくいかなくなり離婚したようです。彼女との間にもうけた二人の息子も俳優になったものの大成はしなかったようです。ロバート・ウォーカー自身もかなり情緒不安定だったようで、本作が撮られたまさに1951年に睡眠薬の過剰摂取により急逝しています。

”疑惑の影(1942)”
のジョセフ・コットン、”汚名(1946)”のクロード・レインズ、そして”見知らぬ乗客”のロバート・ウォーカーの三人がヒッチコック映画の悪役ベスト3とトリュフォーは評価していますが、その中でも異常さにおいてはロバート・ウォーカーがダントツ。名優による上質のサイコ・サスペンスを十分愉しむことができました。

予告編はこちら

ということで、評価は星5つ★★★★★


さて次回ですが、ヒッチコックを一回お休みしてロバート・ウォーカーが同じ1951年に出演した西部劇”復讐の谷”にいってみたいと思います。バート・ランカスターとの共演でウォーカーの違う一面が見れるだろうと楽しみです^^

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posted by FROST at 23:48| 埼玉 ☔| Comment(6) | TrackBack(2) | OLD:アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
悪役ベスト3はみんな甲乙つけがたいですね〜。
ジョセフ・コットンも不気味でしたが、「異常」と言う点ではやっぱりロバート・ウォーカーの右に出る人はいない気がしますよね(^^)
Posted by カカト at 2005年12月05日 16:07
カカトさん
ホントに<悪役ベスト3 ブルーノの母親も、名前入りのさそり柄のネクタイを息子に贈っちゃうあたりやっぱり異常だと思いました。
Posted by FROST at 2005年12月06日 15:11
はじめまして。
TBさせていただきました。

ロバート・ウォーカー、睡眠薬の過剰摂取により急逝・・・そうなんですか。ビックリ!

またお邪魔しますね。
Posted by まっちゃん at 2005年12月27日 00:52
まっちゃんさん、はじめまして。ジェニファー・ジョーンズと離婚してからかなり生活が荒れてたらしいですね。残念です。
Posted by FROST at 2005年12月28日 00:01
これも好きですねえ〜。異常心理者による
犯行でかなり怖い設定です。
ブルーノと、その母親の異常ぶり・・・。
でも、これも随所にユーモアが散りばめられていて、楽しんで見られました。
でも、二つのバージョンがあるのは知りませんでした。DVD借りて見てみます。
Posted by sesiria at 2006年09月25日 12:09
sesiriaさん、私も見終わった後にいろいろ調べていてはじめて知りました<二つのバージョン。 是非見比べてみてください。ちなみに個人的には聖職者のオチの方が断然良いと思います。
Posted by FROST at 2006年09月25日 17:46
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『見知らぬ乗客』STRANGERS ON A TRAIN
Excerpt: 巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督のサスペンス映画 製作年:1951年 製作国 : アメリカ 出演:ファーリー・グレンジャー、ロバート・ウォーカー、ルース・ローマン、レオ・G・キャロル..
Weblog: ザ・シネマ
Tracked: 2005-12-27 00:46

映画評「見知らぬ乗客」
Excerpt: ☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 1951年アメリカ映画 監督アルフレッド・ヒッチコック ネタバレあり
Weblog: プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]
Tracked: 2006-04-09 13:50
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